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城郭模型製作工房

城郭模型作家・島 充のブログです。日本の城郭および古建築の模型やジオラマの製作過程を公開しています。

先週から連日、九州は大雨でした。
隣の大牟田市は大規模冠水で、この辺りも危険水位が近づき、消防団で待機したりと心が休まりませんでした。いつ出動になるかと雨が強まるたびにそわそわ。
消防車でパトロール中の写真です。川が溢れそう…

今夜も大雨らしい…

熊本はまた桁違いに大変です。

早く梅雨明けしてほしいです。
湿気が強くて木材が反るし…


さて、本日はアーマーモデリング 8月号の発売日です!

植物特集で夏らしい緑に溢れた表紙。

連載は二条城寛永度天守です。

中井家の建地割図をもとに図面化、そしてなんと、新出資料の情報が入り、ある程度の確証を持って造形することができました。

1/150です。模型の見上げ。

全貌は誌面でご覧ください。

詳しい考証内容と模型図面は公開しています。
あと、大ニュースです…
なんと
















福知山城の古写真を入手しました。



これは歴史的発見です。


値段も歴史的価格でした。

だって明治まで残っていたのに一枚も写真が無かった珍しい城なんだから!!!


古写真の観察報告も公開しましたので併せてご覧ください。↓
模型図面・考証など

締切などなどなど休みなくやってます。
ブログの更新が出来ずすみません。

ご報告です。
本日、大西熊本市長より、熊本城模型の制作に対して、感謝状を頂きました。


本当はもっと前の予定でしたが、コロナで延期となり、本日、式典を設けて頂きました。
ニュース映像はこちら。

 

[TKU-NEWS 夕方 20.07.02 ] 熊本城の模型制作 島充さんに感謝状贈呈水の国くまもと 応援プロジェクト進行中。TKUリンクTKU テレビ熊本 

 


市長にも模型のご案内をさせていただきました。

報道各社も集まってくださいました。


「往時の姿を未来に伝える功績」など、そんな大きなことを目指してつくったわけではありません。
このような光栄をいただけて、恐縮します。
私こそ感謝の思いでいっぱいです。

出発は多分、熊本地震です。

地震がなければ、この模型の光景が、生きているうちに原寸大で実現していたかもしれない。

地震がなければ、この模型は生まれていないし、私も熊本城にこんなに向かい合うこともなかったかもしれないし、この模型を通して繋がったたくさんの人たちとも出会っていなかったと思います。

私からも心ばかりの記念品を、市に贈呈致しました。

野外撮影の模型写真です。
市長様には市役所からの眺め。

熊本城調査研究センター様には古写真のアングルで。

熊本城ミュージアムわくわく座様には、展示にご尽力下さった事務局長一推しの本丸正面からの眺め。


本当にありがとうございました。


今週で色々なことがひと段落する予定です。

特別見学通路のことや、豊臣大坂城の電飾のこと、最新作の二条城寛永度天守のこと、…順次更新していくつもりです。




最近発売されました、山川出版の『古写真で見る 幕末の城』です。

三浦正幸先生の巻頭言です。

そこになんと

拙著を一節の題名にまで挙げて取り上げて頂いております。

Twitterでお知らせくださる方があり、急ぎ注文したのでした。
驚くやら、感謝するやら、冷や汗かくやら。

どうぞお近くの書店にて。


一点だけ、私から事実を書かせていただきます。

三浦先生が特に取り上げてくださった、熊本城大天守の忍び返しですが、正確に言うと、私が最初に発見したわけではありません。

熊本城の古写真には、富田紘一先生の先行研究があります。私も古写真観察の手法は、富田先生に大きな影響を受けています。
肥後上代文化研究会発行の『古写真に探る 熊本城と城下町』(富田紘一・著)がそれで、富田先生は「古写真考古学」の手法で、古写真をつぶさに観察して、その撮影年代を絞り込む成果を纏めておられます。
この本の中の、数寄屋丸から撮影された大小天守の観察を描写した本文内に、大天守の忍び返しへの言及があります(同書p15)。

ただ、私が拙著で取り上げた冨重利平の宇土櫓からの写真に忍び返しの影があることは、これまで発行された書籍においてはどなたの指摘も無かったと思います。

前掲書は全国に発売されたものではありませんので、正確に言うならば、全国発売の書籍で、冨重利平の宇土櫓からの大小天守の写真の中に、忍び返しの影が写っていることを、その部分を拡大して特に取り上げたのは、私が最初かもしれません。

この写真は日本橋高島屋での展覧会の折に、壁面いっぱいに拡大して展示してありましたので、そこで見つけられた方もおられたと思います。

新発見はかなりあるのですが、本の編集過程で、キャプションの文字数に限りがあったことと、専門書ではないため、最後に参考文献をまとめて掲載する方針を取ったため、どれが新発見か分かりにくいことになってしまいました。

しかしながら、新発見云々は別として、熊本城の古写真はその後も新たなものが出ていますので、おっしゃっていただいたように、確かに、熊本城の古写真を本丸全体に渡ってあれほど細かく観察して、建物の形状復元の視点から分析したのは他に例が無いと思います。

模型を作るためには、例えばある一面の壁についても、窓はいくつ、どの場所に、どんな幅で、どの高さに、ということをはっきりさせないと作れないわけなので、自ずと古写真を細部まで分析することになります。模型製作の副産物として、古写真分析はあるのです。さらに言うと古写真を分析するには、遺構(石垣)や古絵図も参照しないといけないので、各種資料をまたいだ総合的な分析が必要になります。逆に言うと、城郭の総合的な分析をするためには模型に起こすのが最適とも言えるかもしれません。

いずれにせよ、実際に建物を復元するという場合を除いて、城郭研究においての古写真研究は実はまだまだ進んでいないのが現状で、城郭古写真を集成した本の中で古写真の重要性と新発見の可能性を指摘して下さったことは、大変嬉しく思います。

お礼のお手紙書かなきゃ。


拙著発刊記念の対談【城と復元】、無事終わりました。

視聴してくださった方、ありがとうございました。

企画して下さったロフトプラスワンウェスト様、ありがとうございました。

とても貴重なお話を伺うことができました。

◉名古屋城のエレベーター問題
◉首里城
◉江戸城天守の復元
◉戦後のコンクリート天守の評価

から

◉熊本城から見た近世城郭の特質
◉天守の建築様式

まで。

まだまだお話ししたいことがありましたが、2時間とても楽しい時間でした。

有料コンテンツのため、全編は公開できませんが、2時間の対談から7分程度をYouTubeで公開しました。

ご購入はコチラから6月7日まで可能です!
視聴頂ければ幸いです!