城郭模型製作工房 -11ページ目

城郭模型製作工房

城郭模型作家・島 充のブログです。日本の城郭および古建築の模型やジオラマの製作過程を公開しています。

昨日の続きです。

写真がブレていましたので改めて。
石の塗り分けです。地色と違う色味を加えていきますが、あまり多色にしない方が自然に出来ます。石の表現のし分けは、色味の違いではなくて、濃淡だったり、表面のかすれ具合の違いだったりでニュアンスを変えています。

参考に、姫路城では、石垣は基本、砥粉色一色で表現しています。

こんな感じに出来上がります。

石垣といえばグレーだとの思い込みがあるかもしれませんが、私はあまりグレーを使いません。


次に、薄めた色で一枚ベールをかけるように全体を塗ります。これで下地の赤墨とのコントラストを抑えて全体の色相を統一します。

溝が弱くなってしまうので、陰の色で溝を描き起こしていきます。

描き起こしは延々としばらく続きます。
次回は地面まで作りましょう。



【コロナ巣籠り日記】
3日目。
朝、息子の節句飾りが届く。
地元の老舗の人形店さん。わざわざ届けて、飾り付けまでしてくれるのも昔ながら。

本当だったらもっと気を入れて早くから用意してあげたかったのだが、コロナ禍で気が乗らず、やっと先週選びに行った。


初節句の時は大変だったんだよ、と話せるように、みんな無事で乗り越えたいと願う。

節句飾りもそうだし、模型も、この状況ではまさに「不要不急」だ。でもこんなことになってみると、不要不急のものを楽しんで大切にできる余裕こそが、平穏と豊かさの証であったのだと感じずにはいられない。


昼からは買い出しに出かける。
いつも車でいっぱいの駐車場は、思った以上に空いている。こんな田舎でも、みんな外出を控えているらしい。

スーパーの中も人はまばら。本当は買い物は一人で行かねばならないのだろうけれど、人が少なかったので子供も下ろした。気分転換になったようだ。
もちろん手はしっかり消毒させて。

次の買い物は一週間後だろう。
その時はどんな状況になっているのだろうか。






石垣の彩色をやっています。

いつものように、まずはモデリングペーストで下地をつくります。
ポイントは溝まで塗り残しなく覆ってしまうこと。

次に下塗りです。
今回は赤墨を使いました。

下塗りが終わったところです。造形が浮き出てくるので、ここで修正点をチェックします。

石垣面にまずはかすれさせながら色を乗せていきます。

次に石の塗り分け。色を加えていきます。
ブレた写真ですみません。

今日はここまで。


夜はNHKの放映。どんな編集になっているか…

およそ10分ですが、よくまとめて下さっていました。画面をいくつか。




嬉しかったのはこのコメント。

また放送範囲が広くなる時は告知します!





【コロナ巣籠り日記】
緊急事態宣言下2日目。
昨日は全国での新規感染者数が500人を超えた。

昨夜、寝る前に娘が怖いと泣いた。
コロナ関係のテレビしか見ていないことを反省した。気づかないだけで子供にもストレスがかかっているのだろう。

昼前に、友人が娘の入学祝いにとケーキを届けてくれた。玄関ではソーシャルディスタンスを取りながら、テレビ電話からもメッセージをもらう。

これから1ヶ月、毎日が日曜日の娘をどうやって飽きさせずに面倒を見ようか。
二階の工房にこもりっきりになると相手ができないから、下の縁側に製作スペースを急ごしらえした。

隣の座敷では、母子でようやくお雛さまを片付けている。

何気ない日常が特別な時間に見える。

気づけば異常事態になっている。
そう、日常と非日常は、ある日突然転換するのではなくて、ゆるやかに地続きなのだ。

全国の新規感染者数は昨日から500を超え始めた。
スピードが上がってきている。






豊臣大坂城の詰の丸ジオラマ。
奥御殿の製作です。
今日は完成まで行きます。

その前にお知らせを一つ。もうすぐ熊本地震から4年となります。それに関連して、NHKさんが特集を組んでくださることになりました。

といっても初回は福岡県のみです。
9日木曜の夕方6時からのニュース番組の中で放送されます。

そののち九州各局、全国と放送される予定ですが、コロナの関係でどうなるかは未定です。

撮影は熊本ロケと2日がかりでした。
結構急に話が来て進むので、打ち合わせも含めると丸4日かかりました。

作業場でも撮影。
これだけ撮影して喋りまくっても、使われるのはほんのエッセンスだけ。どんな編集になっているでしょうか。


さて、製作です。
屋根のガイドを取り付けます。
今回は屏風絵の雰囲気もちょっと加味していますので、屋根勾配は気持ち急にしています。引き渡し勾配で七寸です。屋根自体にほんの少し反りを付けています。

次に屋根面を張ります。入母屋の展開は『熊本城超絶再現記』の88ページをご覧ください。

続いて破風面を作成します。

蓑甲部分を整えて、彩色して出来上がり。柿葺の屋根はモデリングペーストでテクスチャをつけています。

唐破風の玄関がいい感じにできています。

このあと大台所に煙出しを追加して、破風面には紋章を取り付ける予定です。桃山風に。


次回は石垣に色を入れます!


【コロナ巣籠り日記】
福岡県に緊急事態宣言が出され、今日はその1日目。
これから1ヶ月、5月6日まで、外出を控えなければならない。国の方針では、人との接触を8割減らすという。
つまり、今まで1日に10人と会っていたら、それを2人にまで減らすということだ。

私の住んでいる柳川市でも、3日前に初めての感染者が確認された。感染経路は不明だという。

音もなく、身近に迫ってきている緊張感がある。
一方で庭の桜は満開、緑も芽吹いて去年と変わらない春の日和である。
テレビで延々と流れているニュースの緊張感と目の前の景色の落差にクラクラと目眩がする。

本来ならば、今日は娘の入学式だった。
突然1ヶ月の休校になり、その知らせを聞いて娘はベソをかいていた。
今日はまだタグの付いたランドセルをしょって、家の中を走り回っている。

昼頃にNHKのディレクターさんから電話。
明日、スタジオに持ち込んで放送する予定だった模型の受け渡し。緊急事態宣言が出たため、取りに来ることが出来なくなったという。明日こちらから運んで、手渡しか、なんなら置き渡しでも、と提案してみたが、市内に出て行ってもし感染したら責任の取りようが無いとのこと。
福岡は感染経路が分からない感染者が急増している。つまり、市中感染がかなり進んでいる可能性があるのだ。
結局スタジオに模型を持ち込むことは諦めた。


まだ未完成だったものを突貫で今日の夕方までに完成させるところで、昨日は深夜に進めたのだった。

製作は止めた。この一月の間に、ゆっくり完成させよう。

昼過ぎ、桜と竹が届く。
熊本城本丸模型を作っていたときに、樹木の製作を手伝ってもらった。私のやり方を伝えて、それを基本に自分でも改良を重ねられ、今ではこんな桜を作られるまでになった。
玄関の内と外で、離れて会話を交わす。
この桜は近々オンラインショップで販売する予定だ。


市内は閑散としているようだ。1ヶ月の外出自粛は長い。


どんな1ヶ月になるのだろうか。

今日、東京の新規感染者144名。






【絵図】

[多門]
鶴ヶ丘城、江戸城、福井城、村上城、小浜城、高島城、名古屋城、駿府城、岩村城、豊臣大坂城、徳川大坂城、二条城、福知山城、丹波亀山城、彦根城、膳所城、福山城、岡山城、和歌山城、久留米城

[多モン]
和歌山城

[多門櫓]
松本城、彦根城、津山城

[多門長屋]
久保田城

[長屋]
盛岡城、福井城、金沢城、富山城、徳川大坂城、水口城、福山城、萩城

[長屋櫓]
津山城

[走長屋]
会津若松城

[平長屋]
岡城

[走櫓]
三原城、鳥取城

[渡櫓]
姫路城、尼崎城、福山城

[長櫓]
広島城、津山城

[廻櫓]
大洲城

[用途を記入]
弘前城(供待所)、伊勢亀山城(番所)、鹿児島城(御兵具所)

[◯間櫓]
熊本城


御殿の製作を二回に分けて。

1回目は屋根を取り付ける前まで。

今回のジオラマは詰の丸をギュッと凝縮していますので、御殿を完全に造形できません。
そこで、屏風絵のようにデフォルメを加えて象徴的に形にしていきます。

冬の陣図屏風の奥御殿。

夏の陣図。

実際の平面。

かなり建物が混んでいますね。
これをぐんとまとめます。
平面をゾーンごとに分けるとこのようになります。
大きくみっつのゾーンに分かれます。
  ①玄関、広間、対面所などの表向きゾーン
  ②台所のゾーン
  ③寝室、風呂などのプライベートな奥ゾーン

これを念頭に置いて、天守の大きさに釣り合うように平面を大まかにまとめます。

これをもとに一間の長さを念頭に置いて基礎を切り出します。

上のゾーン分けに対応させるとこのようになります。

建物を造形するためにラフ図を引きます。
妻側、平側両方がこの一枚で造形できます。

壁面をつくります。先に色も入れておきます。

これを組み立ててメインの建物の壁面を立ち上げます。

廊下で繋ぎました。

これに屋根を取り付けていきます。

次回は御殿の完成までです!