岡山城大納戸櫓の 望楼の謎解ける | 城郭模型製作工房

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城郭模型作家・島 充のブログです。日本の城郭および古建築の模型やジオラマの製作過程を公開しています。

昨日の続きです。

岡山城の大納戸櫓です。
復元図面では望楼は三間に四間の長方形となっていますが、古写真を見ると、下見板の比率などから望楼が正方形に見えるという内容を前回の記事に書きました。上重の望楼は正方形では??
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皆さんの目にはどう見えますか?

長いこと模型をつくっていると、直感的にこれはおかしい、と感じることがあります。そして、おかしいと感じたことはだいたいおかしいです。

この復元図面を引いた石井正明氏による復元考察は、歴史群像の『岡山城』に掲載されています。
望楼部分に関する記述を抜粋してみます。

明和二年(1767)の「御尋之品々書上」の大納戸櫓に関する記述は、(中略)
     ニノ重 三間ニ四間
     三ノ重  同右断
であって、(中略)ニノ重(三階)と三ノ重(四階)が梁間三間に桁行四間であったという。「牙城郭櫓実測図(元小作事棟梁秘書)」に載せる平面図では(中略)上重が三間に四間である。

となっています。




それで牙城郭実測図を見てみる。
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どこが三間に四間やねん!!

と思わずつっこんでしまいました。

四間に四間の正方形ですけど…

それにしてもこの図面はよくできていますね。一枚ですべての階の規模、窓の位置、屋根の形まで全部わかります。

古写真と牙城郭実測図の平面図から、大納戸櫓の望楼は四間に四間の正方形として模型にしようと思います。


ちなみに、牙城郭実測図には大納戸櫓の平面図が別にもう一つありまして、そちらは
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たしかに三間と文字で書き込んである。

でも窓の位置や柱まで上の図よりも詳細に書き込んだこちらの平面図も当然考察すべきでしょう。
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なぜこちらの図面を退けたのか?
そして古写真の比率との整合性もきちんと確認したのか?
疑問がつきないのでありました。