岡山城の櫓の製作 大納戸櫓の石落しと望楼の謎 | 城郭模型製作工房

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城郭模型作家・島 充のブログです。日本の城郭および古建築の模型やジオラマの製作過程を公開しています。

昨日から櫓の製作に入っています。

外壁を作ろうと思い、参考にと思って撮影してきていた岡山シティミュージアムの復元模型の写真をふと見ると…ぎょぎょ!
石落しが、ある。
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復元図面にはありません。
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古写真を見てみる。
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つぶれていてよく分からない!!

この写真の右側(南東)隅は白壁に段差があるように見えなくもない。

ここで「牙城郭櫓実測図」を見てみます。
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石落しは描かれていませんね…

シティミュージアムの模型はあれだけのものなので、考証がしっかりしているはずという信頼感があるゆえに、未知の資料を根拠に石落しをつくったのか??などと悩まされました。

悩んで石落しは作らないことに。

というのも、よくよく見るとこの模型の大納戸櫓は形状自体が記録と違うようなのです。

この模型では大入母屋の上に乗った望楼は正方形になっているようです。
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しかし記録によると望楼は三間に四間の長方形。
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古写真でも…と言おうとして….
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これ長方形??
正方形に見える…

分からなくなってきたぞ…

ともかくも、破風が木連格子じゃなかったり、望楼の出窓の板庇が瓦葺きに表現されていたりと、細部まで考証が徹底されていない箇所がある、という判断をしました。
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牙城郭実測図を根拠に石落しはつくりません。

望楼の寸法はまだ悩んでいます…


ということを一日かけて考えながら、今日は櫓のエッチングパーツの原稿づくりをしました。天守は全部お任せでしたが、櫓は自分でやりました。
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あとは測量図と古絵図から櫓の実寸平面を起こしたり
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しばらくぶりにパソコンにかじりついての作業。
少しずつ進んでいます。