御礼 | 城郭模型製作工房

城郭模型製作工房

城郭模型作家・島 充のブログです。日本の城郭および古建築の模型やジオラマの製作過程を公開しています。

2017年も残すところあと48時間を切りました。

城郭模型製作工房にとって、今年はとても濃い一年となりました。
たくさんの製作のご縁をいただき、改めて感謝の気持ちでいっぱいです。



2017年、最初の作品は広島城からでした。年をまたいだ製作でお正月明けに完成しました。
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広島城は思い入れの深い城の1つで、また違った形で手がけてみたいと思っています。

続いて1月発売のアーマーモデリング2月号には「姫路城における廃頽の美学」が掲載されました(誌面には「姫路城幻想」のタイトルで掲載)。明治期の古写真に着想を得て、姫路城を廃墟として表現しました。
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雑誌のつくり下ろし作品は発売まで製作過程を公表できません。秘密裏に進めているので、ブログの更新が滞ります。

秘密裏に進めたといえば熊本城の模型群。
日本橋高島屋さんからのご依頼で、展覧会に合わせてつくりました。

宇土櫓
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飯田丸五階櫓
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天守
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製作期間は実質2ヶ月弱。納品の数時間前に完成という突貫製作で、睡眠時間を限界まで削って体力と気力を振り絞りました。
製作ドキュメントの記事を改めて読み直すと、今でも胸が熱くなります。

熊本城の復興を願って、ただその一心だったと思います。自分でもあの時何が起きて出来上がったのか、よく思い出せません。
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(日本橋高島屋正面玄関での展示)

模型は展覧会終了後、熊本市へ寄贈され、熊本城内に展示されていますので、お越しの際はぜひともご覧ください。

その後5月のホビーショーを経てウッディージョーの木製建築模型、知恩院三門を手がけました。
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この作品は現在、ウッディージョーさんの所蔵になっています。

そして豊臣大坂城の全域模型。
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1250分の1(二の丸以下は一回り小さくなっています)という小さなスケールで、建物は全て自作。地道な作業が延々と続きました。
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とにかく気力の持続が鍵でした。
最新の発掘調査の成果も取り入れ、意義のある模型になったと自負しています。

夏には竹田城跡を1000分の1と100分の1の両極端スケールで。
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アーマーモデリング10月号掲載のための作り下ろしでした。石垣だけの城郭ジオラマを成り立たせるということがテーマでした。
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合間にオンラインショップの完成品もちょこちょこ出ていまして、日光東照宮陽明門は修復後の色合いになっています。彩色だけで80時間を要します。
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江戸城は地階の明かり取りの窓を追加するようになりました。
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全て完全手塗りの一品ものなので、全く同じものは作れません。

秋には彦根城と銀閣を紅葉の景色で。
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どちらとも同じ方のご注文で、Nゲージのレイアウトに組み込まれるとのこと。
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鉄道模型のアクセントになるよう強めの表現を心がけました。

11月には妻の作品がアーマーモデリングに掲載されました。いつも陰で力になってくれている妻を表に出していただけて、私も嬉しかったです。
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そして年をまたいでの彦根城。
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来年は太鼓門櫓と天秤櫓の製作から始めます。とても大きなジオラマになります。

こうして一年を振り返ってみると、(何度も書きますが)全ての模型がご依頼がなければこの世に無かったものばかりです。たとえ自分がつくりたいと思っていたとしても、尻込みしたり、いつかいつかと言いながら後回しにしてりしてなかなか実現しないのが常です。
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何が何でも作らなければならない!

熊本城にしても豊臣大坂城にしても、自作の彦根城にしても、ご依頼を受けた時に不安が無かったといえば嘘になります。

ひとつひとつのご依頼が、今までの自分の枠を打ちこわし、育てて頂いた、そのことのありがたさを噛み締めています。
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来年は一メートル四方の岡山城全域復元模型を中心にたくさんのご依頼を頂いています。年内にと思いながらできなかったもの(豊臣大坂城天守)や構想に時間がかかっている案件もあります。ホビーショーには熊本城の古写真精密再現模型をと思っています。


さらに表現の幅を広げて、みなさんの心を動かせる作品を作りたいと思っております。

今年も一年間ありがとうございました。
2018年も何とぞよろしくお願いいたします。

どうぞ良いお年をお迎え下さい。



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城郭模型製作工房
島  充