アーマーモデリング掲載「竹田城跡」ジオラマ裏話とか | 城郭模型製作工房

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城郭模型作家・島 充のブログです。日本の城郭および古建築の模型やジオラマの製作過程を公開しています。

現在発売中のアーマーモデリング10月号に作り下ろしにて竹田城のジオラマが掲載されています。
「築城名人」の称号(笑)を頂きました。思わず
ひゃぁ〜  とも  ひぇ〜  ともつかない声を上げてしまいました。
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今日作品が返ってきました。
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1000分の1と100分の1の両極端のスケールで竹田城を表現しました。
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返ってくるなりワタで雲海を作ってみました。
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製作の話が決まったその時から、ドライアイスで撮影するという構想があったので、ベースは乳白色半透明のアクリル板を使ったのでした。
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ことの発端は昨年末、アーマーモデリング2月号に姫路城の廃頽が掲載されるということで、編集部に足を運んだ時。
その時に金子辰也先生と次回作の話題になり…

普段は需要を考えてテーマを選んでいるのですが、模型誌では需要とは関係なくやりたいことがやれます。

いくつかアイデアが頭をよぎりつつも、
恐る恐る

「竹田城…石垣だけ!というのも面白いと思っていて…」

と切り出しました。

すると金子先生、

「そうなんですよ!実は今日電車に乗りながら、竹田城…撮影はドライアイスを使って…とそこまで考えていたんですよ、そうなるとやっぱり島さんかなと思っていたところでした。」

とのこと。思わずのけぞってしまいました。
さすが金子先生、もうすでに先回りしておられました。やりましょう!と即決したのはいいけれど、言うは易しでカタチにするのがいかに思い通りに行かないか、そのあと思い知ることになるのでした。
そのあとのことは誌面に書きましたのでお近くの書店でご覧ください。


石垣しかないわけなので、いかに力強く、魅力的な石垣にするか。
ツタの葉っぱ一枚一枚と石の表面に生えた白緑の苔。これは初めからやりたかったことでした。
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あとは周辺の草。と石の色。
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本物はこちら。
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最初は天守台周辺を作りかけていました。結局、情景が生まれる範囲の切り取りがうまく行かずストップしました。
幻の竹田城天守台ジオラマ。
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1000分の1の全景は、城郭談話会/編の『但馬竹田城』収録の実測図が基礎資料です。
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今回、掲載にあたっては、戎光祥出版と、作図されたお二人の先生方に、編集部を通して許可をいただくという手続きを踏みました。快諾してくださり、掲載が実現しました。

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標高差1メートル単位での立体化ができたのも、資料のおかげです。

このスケールでの石垣の表現として、KATOのシーナリーペーパーを使う方法をご紹介しました。
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これは豊臣大坂城の本丸全景を作った時に、石垣の表現としてこのシートが使えるのではないかと思いつき、それ以来1000分の1前後のスケールでは必ず使っています。

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【現地取材の裏側】
製作にあたっては現地取材をしたのですが、北海道での友人の結婚式の帰り、急遽、竹田城へ足を向けました。改めて出かけるのも大変だから、とその場で決めて姫路で途中下車。在来線でガタゴト。

しかし妻子連れ、しかも結婚式帰りで革靴!雨も降っている!
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「危ないよー!」とか
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「だっこー!」とか
もう汗と雨でびしょ濡れの背中…
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誌面に載せる顔写真、撮れども酷い顔にてどれも使えず。
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急に決めたので城跡滞在時間約一時間…。もう一度ゆっくり行きたいです。

ちゃんとお土産のジオラマセットは買ってきました。こちらは1200分の1。
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1500円という値段もだけど、何がすごいって、付属のワタがすごい。こんなワタ見たことない。
この雲海のワタはそれを使っています。
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アーマーモデリング掲載の三作品が工房に揃いました。それぞれにアクの強い作品ですね…。炎上、廃墟、城跡、と不思議と城の終焉の姿ばかりです。
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お気付きの方もおられるかと思いますが、作品ギャラリーの「模型誌掲載作品」のカテゴリの記事内容を充実させています。


来月、竹田城も写真など公開します。