豊臣大坂城最終調整と法隆寺五重塔の製作方針 | 城郭模型製作工房

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城郭模型作家・島 充のブログです。日本の城郭および古建築の模型やジオラマの製作過程を公開しています。

ホビーショーの豊臣大坂城を納入させていただくことになりました。
アクリルケースが出来上がるまでの間に、さらに最終調整を進めています。

細部の修正を行い、せめて水面はまっさらな状態でお納めしようと思い、新しくシリコンを流し直しました。
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波紋を入れたり、石垣とのキワの処理など、緊張する作業がこれから続きます。
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このあと堀外には屏風絵に描かれる木の柵を取り付ける予定です。
また発送前に、最終的な状態をアップいたします。

それと注文製作の法隆寺五重塔の製作方針を施主様と打ち合わせさせていただいています。
制作中の北山大塔をご覧になって、まだ朱塗りの色鮮やかだった頃の法隆寺五重塔の模型をご希望です。

フジミのキットを使うことは決定していたのですが、このキット、予想以上にデフォルメがキツイことが判明。古建築キットとして突出した造形を誇るフジミにしては珍しく、この五重塔は全体的に潰れた印象で、おそらく最上階の屋根が、実物のように二重構造になっていないからだと思っていました。

しかし、実際に図面と突き合わせてみると…それどころではありません。

全ての階の高さが桁1つ分低い。
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飛鳥時代の建物の一番の特徴である雲形肘木が再現されていないばかりか、全く違う場所に謎の突起が。
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尾垂木が軒裏の垂木と一体化して成形されているため、辻褄合わせをかなり無理やり行っていることがわかりました。そのため全体のシルエットが実物とかけ離れたものになっています。

同じスケールの金堂の方はきちんと雲形肘木と尾垂木が独立パーツで再現されていますので、こちらのパーツを移植するなどして再現することを考えています。
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当初の予定より、全体に渡ってかなり大きな造形のやり直しをせねばならないようです。

卍崩しの高欄も再現されていませんし課題は多いです。