童友社のスタンダード名古屋城を使用した、焼失前の天守模型です。
現在のコンクリート再建の天守も、木造での復元が決定したようですね。早ければ来年から取り壊しでしょうか。
一時期出たお城のプラモデルの作り方本の影響もあるのか、石垣のディティールアップといえば、彫り直し。でも、ものによっては彫ることによって逆にスケール感を損ねてしまうことがあるように感じます。彫ったから凄いのではなく、彫ったあとでそれがどう見えるかを大切にしないと本末転倒です。
もちろん拡張したジオラマの場合は、均一な石垣にするために彫りますけれど。
最近、シリーズのようにこの単体に挑戦しています。この名古屋城と
大阪城はいずれもご注文による製作。
触発されて江戸城も周辺を全部捨てて天守のみで挑戦。
日本はマイナスの美学。足し算ではなく引き算の美学。これは日本独特ですね。極限まで無駄を無くしてエッセンスだけにしてしまう。お茶も、動作を極限までそぎ落として、一つ手順を飛ばしてしまうと先に進めないという…
大阪城はいずれもご注文による製作。
盛っていかずに捨てていく。そしてスッキリしたもののほうが格式が高いという…
ですので、フジミの建築モデルシリーズにしても、建物だけというところが、日本的だなあ、と前から思っていました。これはジオラマとは全く違う難しさがあります。個人的には、こちらの方がいつまでも飽きずに、ちょっと高級なインテリアになる可能性を持っていると思います。(その、ちょっと高級で、いつまでも飽きないようにつくるのが至難の技なのですが)
思い返してみると、最初の衝撃は、小学生の頃にお店のショウウィンドウで見たフジミの陽明門。何がってそのケースと陽明門との空間のバランスの絶妙さでした。昔はこの周囲の空間がもっと広く感じられて、高級な空間とはこういうものか、と子供ながらに驚いたものです。ケースにきゅうきゅうに入っている日本人形とはわけがちがいます。
そのオマージュとして、自分なりにケースとのバランスを毎回考えています。
建物と台とケースだけ。これは古建築模型作家を志す者として究極のテーマですね。