国宝期名古屋城模型⑤完成その2 | 城郭模型製作工房

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城郭模型作家・島 充のブログです。日本の城郭および古建築の模型やジオラマの製作過程を公開しています。

童友社のスタンダード名古屋城を使用した、焼失前の天守模型です。
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指が写り込んでいます(笑)。
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残っている写真は白黒のみですので、いつかカラーで立体化したいと思っていました。
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現在のコンクリート再建の天守も、木造での復元が決定したようですね。早ければ来年から取り壊しでしょうか。
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生きているうちに、再び木造で蘇ったこの巨大天守を見ることができるかと思うと、今から楽しみでなりません。
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今回も最低限手を加えただけで、ほぼキットのままです。もちろん石垣も塗装のみです。フェイスブックの方で、彫らずにここまでできますか!とのコメントを頂き、嬉しくなったのですが、単に天邪鬼なだけで、みんながやっていることをやらないだけです。
一時期出たお城のプラモデルの作り方本の影響もあるのか、石垣のディティールアップといえば、彫り直し。でも、ものによっては彫ることによって逆にスケール感を損ねてしまうことがあるように感じます。彫ったから凄いのではなく、彫ったあとでそれがどう見えるかを大切にしないと本末転倒です。
もちろん拡張したジオラマの場合は、均一な石垣にするために彫りますけれど。
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特徴的な雨樋を追加するだけでぐんと表情が出てくれました。格子も入っていますが、銅板で巻いてあるものなので、闇に溶け込んで目立ちません。これが名古屋城の美意識の一つですね。
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童友社のスタンダードシリーズは天守のみというものがあり、なんと挑戦的なキットだろうと前々から思っていました。ジオラマ無しということは、建物だけで勝負ですから、ごまかしがききません。
最近、シリーズのようにこの単体に挑戦しています。この名古屋城と
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大阪城はいずれもご注文による製作。
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触発されて江戸城も周辺を全部捨てて天守のみで挑戦。
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日本はマイナスの美学。足し算ではなく引き算の美学。これは日本独特ですね。極限まで無駄を無くしてエッセンスだけにしてしまう。お茶も、動作を極限までそぎ落として、一つ手順を飛ばしてしまうと先に進めないという…
盛っていかずに捨てていく。そしてスッキリしたもののほうが格式が高いという…

ですので、フジミの建築モデルシリーズにしても、建物だけというところが、日本的だなあ、と前から思っていました。これはジオラマとは全く違う難しさがあります。個人的には、こちらの方がいつまでも飽きずに、ちょっと高級なインテリアになる可能性を持っていると思います。(その、ちょっと高級で、いつまでも飽きないようにつくるのが至難の技なのですが)
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思い返してみると、最初の衝撃は、小学生の頃にお店のショウウィンドウで見たフジミの陽明門。何がってそのケースと陽明門との空間のバランスの絶妙さでした。昔はこの周囲の空間がもっと広く感じられて、高級な空間とはこういうものか、と子供ながらに驚いたものです。ケースにきゅうきゅうに入っている日本人形とはわけがちがいます。
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そのオマージュとして、自分なりにケースとのバランスを毎回考えています。
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建物と台とケースだけ。これは古建築模型作家を志す者として究極のテーマですね。