このところ、外に出ると、よどんでいた熱風がまとわりつくようです。
早く、秋らしい風を肌で感じたいもの。
この「秋風」は典型的な歌語の一つで、前漢の武帝の「秋風の辞」
をはじめとして、古くから多く使われてきたとか。
万葉集には、56例が見られ、古今集に19例、後撰集には25例が
見られます。
秋風の吹きにし日より音羽山峯の梢も色づきにけり
紀貫之(古今集)
この歌は、秋風を感じた触覚と紅葉を見た視覚との対比が妙と
言われてい.るもの。
また、周知の通り、和歌では、秋に吹く風を「飽き」にかけて、男
女の愛情のさめるたとえに使うことが。
忘れじの言の葉いかになりにけん頼めし暮れは秋風ぞ吹く
(新古今集)
(忘れまいと言ったあの人の言葉はどうなってしまったのであろ
う。来ると約束して、あてにさせたこの夕暮れには、あの人が私
に飽きたことを暗示するかのように秋風が吹くことだ)
俳句では、芭蕉が『奥の細道』で、次のような句を。
あかあかと日は難面も秋の風 芭蕉
(あかあかと照らす太陽の光。もう秋だというのに、そんなことは
関係ないように。風はもう秋の涼しさなのに。)
この場合の「秋の風」は、「秋の初風」の意で、「あかあかと」と「秋
の風」が対照的です。
石山の石より白し秋の風
こちらの「秋の風」は、爽秋の風と言われ、芭蕉は、風の微妙な差
というものを詠んでいます。
[今日の一句]
・表札に二つの名前秋の風
[これから俳句を始めたいかたへ]
俳句生活で学んだことを、初心者向けに、131回に亘って、綴って
います。
「はじめまして」
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