もうすぐお盆休みというとき彼は亡くなった
ジョン・アービング原作の
不思議な余韻の
映画「サイダー・ハウス・ルール」を見終え
朝食時にH君から電話がかかった
「Tが死んだ」
高校1年の校内サッカー球技大会
僕は試合をコントロールし、
チャンスがあればゴールを狙う中盤ポジション
全く同じ位置に彼はいた
指示する声は耳に障る、
パスコースは塞がれる、
僕より華奢だが当たりは強い
ずっと引きずっている僕に比べて
彼はいきなり「カモさん」と「さん」付けだった
度量の大きさに驚いた
僕らは友達になった
もう端正な彼ではなかった
でも彼だった
僕も呼ばれた
僕は出席しなければという義務感から出た
だけど、毎年足取りは重かった
奥さんと小学生の子供を残し無念の内に亡くなった彼
能天気に生きている僕
今年初めて呪縛から解放された
奥さん、小学生だった子、お母さん
みんな仲間になれた
お母さんから
「もう、十年やってもらったから
息子も満足していると思うから
今年限りにして下さい」
と僕に連絡があった
僕は「お母さんの気持ちは分かりますので
みんなに聞いてみて下さい」
当日お母さんからその旨伝えられたが
誰一人肯定しなかった
時間がその記憶を中和、発酵させて
違う次元に連れて行ってくれたのかなと思った
何故好きなのか今日判った
サイダー・ハウス・ルール・メインテーマ
2011/8/13(土) 午後 10:03