長女のボーイ・フレンドと長女と三人で会食する
普通は男同士緊張するシチュエーション

始まりは去年の10月。
家に帰省した長女が
「私。ボーイフレンドができた。」
その言葉自体何等珍しくない

前月末長女と二人っきりのとき
全然男っ気がない長女に
「君は異性に対するときめきは無いのか?」
「全然。」
だったので
「?]

正月明けに上京する際、
長女に「三人で飯喰おう!」と聞いてみた。

渋谷の焼き鳥屋で逢った

盛り上がった

彼の瞳はすっきりと澄み、彼を見詰める長女は
僕の評価を気にしつつも自信に満ちていた

客観的に見ると非常にナーバスに成りかねないシチュエーション
だけど僕は何か絆を感じた

「この先君らがどうなるかは分からないけど
 僕は応援するよ」

2軒目でオーバードランク気味だった彼と長女は
彼の家に行き、僕は長女不在の姉妹の住まいで寝た。

その晩の次女のツイッター
「ぱぱのいびきがうるさくて寝れない( ̄^ ̄)」

***

 

2012/1/29(日) 午後 9:46

親しくしていた先輩が亡くなった
僕より5歳上
大学の運動部の先輩
なので同時期に練習、試合していない
だけど何故か親しくしてもらった

最初の出会いは僕らの新入生歓迎コンパ(多分)
通常は上下関係が厳しい大学の体育会系運動部
だけど先輩は後輩から「さん」付けではなく
「ベッチマン」「ベッチ」と呼ばれても
何等気にせず、むしろ喜んでいた感じ

宴会のクライマックスはいつも
火の着いた箸袋を口に入れ消火する芸を
一見嫌々そうながらうれしそうに演じてた

僕は何故か可愛がられ
よく「おい、飲みに行こう」と誘われた
母親と二人暮らしの先輩の家に呑みつぶれて行き
トイレで寝てお母さんに閉口されたこともあった

僕の結婚式では主賓席に座り
部長でないにもかかわらず
「営業部長」と紹介され
「馬鹿野郎!」と言いつつも嬉しそうに
火を口で消してくれた

「おい、俺らガンになった」と聞いたのは10月末
喉のガン。11月初旬に入院し治療を始め
最初の1ヶ月は抗がん剤で治療し
薬が合わなければ他の薬を色々試し
だめだったら最終的に切除という方針だった

先輩は切除すると発声が困難になるので
なるべく投薬で直したいと飄々と話していた
僕もその雰囲気から軽く考えていた
週1回程顔を出したが行く度に明らかに悪化

最後のコミュニケーションは筆談で
退院したら「俺らをスキーに連れて行って」と
いうような先輩らしい軽いノリだった
帰り際にした握手は力強く
この状態からのリカバリーもあり得るかもと期待を抱いた

期待が成就することは無かった
次に見たときは機械により生かされている状態だった

入院して2ヶ月未満で亡くなった
風になってしまうには余りに若い
受け入れ難く、無念さが宙を漂う

でも、僕もこんな風に最期を迎えれば
幸せじゃないかと思う
食べたいものを食べ、飲みたいだけの飲み、
やりたいことをして、好き勝手に生き、
体調を崩し入院して1ヶ月程で旅立つ

ある意味
"What a Wonderful Life!"
って思いません?

僕は思います。


***

 

地獄門(1953)を観る

 

平清盛の全盛期、清盛が厳島詣で
都の警備が手薄になったときに起きた平康の乱
騒乱の中、袈裟(京マチ子)という女性を
救い出した盛遠(長谷川一夫)が武勲により
清盛からの褒章の申し出を言い渡された際
袈裟と一緒になりたいと申し出るが
彼女は人妻だった

 

それでも執拗に彼女を追い回す
夫(山形勲)と別れて俺と一緒になれと迫る
拒絶され、だんだんとエスカレートしていく手口

 

大映の第1回総天然色映画(死語ですね)
今回(今年3月)NHK-BSでの放送に合わせ
デジタル・リマスターされている
なので、58年前のフィルム作品だけど画質は見事
セット室内の装飾、女性の衣装、
男性の甲冑武具の色彩があっぱれなほど鮮明

 

1954年度のアカデミー特別賞(後の外国語映画賞)を受賞
因みに、この年の作品賞「波止場」、前年「地上より永遠に
翌年「マーティ」全ての作品賞は白黒映画
当時はまだ、芸術的要素が高い作品は
白黒が多かったようだ。
主演賞男優賞「波止場」のマーロン・ブランド

 

女優賞「喝采」のグレース・ケリーともに白黒

 

「地獄門」の特別賞受賞はカラー撮影に対する評価が
かなり含まれているような気がする
その他カンヌ国際映画祭グラン・プリ、
ニューヨーク映画批評家協会最優秀外国語映画賞も受賞している

 

なお、「地獄門」はキネマ旬報ベスト10には入ってない
その年の1位は「にごりえ」(今井正)
2位が「東京物語」、翌年は「七人の侍」が3位
映画の評価は時点修正されるようだ

 

天下の2枚目長谷川一夫が主役ながら
ほとんど悪役のストーカー
悪役のイメージしかない山形勲が
大岡越前の加藤剛のような爽やか
清廉潔白な役でびっくり

 

平清盛役(千田是也)が
どうみてもペナルティのワッキーにしか
見えないので現れるたび笑える
千田是也の画像が出て来なかったのが残念

 

衣装協力が松坂屋とあったのは
名古屋人の誇りだね


 

***

 

2011/12/15(木) 午後 11:30