親しくしていた先輩が亡くなった
僕より5歳上
大学の運動部の先輩
なので同時期に練習、試合していない
だけど何故か親しくしてもらった
最初の出会いは僕らの新入生歓迎コンパ(多分)
通常は上下関係が厳しい大学の体育会系運動部
だけど先輩は後輩から「さん」付けではなく
「ベッチマン」「ベッチ」と呼ばれても
何等気にせず、むしろ喜んでいた感じ
宴会のクライマックスはいつも
火の着いた箸袋を口に入れ消火する芸を
一見嫌々そうながらうれしそうに演じてた
僕は何故か可愛がられ
よく「おい、飲みに行こう」と誘われた
母親と二人暮らしの先輩の家に呑みつぶれて行き
トイレで寝てお母さんに閉口されたこともあった
僕の結婚式では主賓席に座り
部長でないにもかかわらず
「営業部長」と紹介され
「馬鹿野郎!」と言いつつも嬉しそうに
火を口で消してくれた
「おい、俺らガンになった」と聞いたのは10月末
喉のガン。11月初旬に入院し治療を始め
最初の1ヶ月は抗がん剤で治療し
薬が合わなければ他の薬を色々試し
だめだったら最終的に切除という方針だった
先輩は切除すると発声が困難になるので
なるべく投薬で直したいと飄々と話していた
僕もその雰囲気から軽く考えていた
週1回程顔を出したが行く度に明らかに悪化
最後のコミュニケーションは筆談で
退院したら「俺らをスキーに連れて行って」と
いうような先輩らしい軽いノリだった
帰り際にした握手は力強く
この状態からのリカバリーもあり得るかもと期待を抱いた
期待が成就することは無かった
次に見たときは機械により生かされている状態だった
入院して2ヶ月未満で亡くなった
風になってしまうには余りに若い
受け入れ難く、無念さが宙を漂う
でも、僕もこんな風に最期を迎えれば
幸せじゃないかと思う
食べたいものを食べ、飲みたいだけの飲み、
やりたいことをして、好き勝手に生き、
体調を崩し入院して1ヶ月程で旅立つ
ある意味
"What a Wonderful Life!"
って思いません?
僕は思います。
***
2011/12/16(金) 午後 10:42