その3:イデオロギー闘争の末路
時々見受けられる論評に、「ホリエモンは、フジTVと会話すべし。」というものがあるが、「利益集団vs挑戦者間の闘争」という歴史上よくある「定番劇」に対して、「コミュニケーション(会話)」を持ち出すのは、如何にも、今日の日本では有りそうなアドバイスだが、「今日の日本」というステージをはみ出して考えてみると、このアドバイスはむしろ不見識ではないだろうか?
歴史上よくある「定番劇」については、多くの説明を要しない。
・奈良/平安から鎌倉に至る武士階級の台頭
・江戸徳川幕藩体制に対する明治政府の登場
・明治維新から第二次世界大戦につながる大日本帝国の登場
・ヨーロッパの第二次世界大戦に至るドイツ台頭
・第二次世界大戦後のイスラエル国家創設に至るユダヤ人の台頭
・国際石油業界へのイスラム勢力の台頭
・戦後の日米貿易摩擦/バブル崩壊に至る日本企業の台頭
のような複数の世代、民族、国家を歴史がそうであるし、また、
・郵便/宅配業界へのヤマト運輸/佐川急便の登場
・日本の通信業界に対する京セラ/SoftBankの登場
・日本の政界への田中角栄の登場
・国際石油業界への山下太郎(アラビア石油)の登場
等々、不勉強のために十分にリストアップできないが、「利益集団に対する挑戦」は権力を得るプロセスにはつきまとう。 大きな権力が対象ではないとしても、若者が大人になるプロセスにおいては、このプロセスのミニチュア版の関門が待ち受ける。
このような表現は、多少、挑戦的過ぎるかもしれない。
ステイタス・アップの「挑戦」は、「体制に対する闘争」、もしくは、「体制への参加(インサイダー化)」という手段にて行われる。
一般に、「インサイダー化」によって、「ステイタス・アップ」を計るのは賢いやり方と言われる。 そこでは、争いが少なく、また、「和議/和解」を通じての権力の獲得が可能と信じられている。 そこに必要なのが、「コミュニケーション」である。
しかしながら、「話せば分かる筈の論理」と「コミュニケーションの重視」とはイコールではない。 いずれにしろ、挑戦者が狙うのは、序列の逆転であって、序列の維持ではない。 「コミュニケーション」にしろ、「和議/和解」にしろ、「序列の維持」のための詭弁でしかない。
現代の日本の風潮から見ると、「コミュニケーション/和議/和解」の破綻は「悪」である。
それは、社会(体制)が「体制への参加(インサイダー化)」を重視しているからであるが、その隠れた目的/方針は、あくまでも「体制/序列維持の維持」である。
更に、「話せば分かる筈だ論理」には、「若者の体制への動員」を強要する論理が隠されていることに注意する必要がある。 この国には、「若者を体制に動員する(隠された)社会システム」が存在する。
この国には、歴史上、ほぼ常に、このような「動員システム」が存在していた。
・奈良・平安時代における律令
・江戸時代における農民統治システム
・明治における「工業化への農民の動員システム」
・昭和前期における「平民の戦闘員への動員」
恐らくは、この国にては、「和議/和解のイデオロギー」にて理論武装(建前と)した「動員システム」を統治方法とする政治の伝統が存在するのである。
ライブドア/フジTV戦争を、「既得権者(旧世代)vs 挑戦者(若者)」という世代間闘争の構図にて論評されることがあるが、「和議/和解のイデオロギー」にて理論武装(建前と)した人達によって、「体制/序列」と「動員システム」が破綻しつつあることに対する不安・いらだち・嫌悪感があることに注意しよう。
Notice.
All the copyright and the contets written in this page belongs to the Oriento's Smart Club & the person; Ori Ento.
歴史上よくある「定番劇」については、多くの説明を要しない。
・奈良/平安から鎌倉に至る武士階級の台頭
・江戸徳川幕藩体制に対する明治政府の登場
・明治維新から第二次世界大戦につながる大日本帝国の登場
・ヨーロッパの第二次世界大戦に至るドイツ台頭
・第二次世界大戦後のイスラエル国家創設に至るユダヤ人の台頭
・国際石油業界へのイスラム勢力の台頭
・戦後の日米貿易摩擦/バブル崩壊に至る日本企業の台頭
のような複数の世代、民族、国家を歴史がそうであるし、また、
・郵便/宅配業界へのヤマト運輸/佐川急便の登場
・日本の通信業界に対する京セラ/SoftBankの登場
・日本の政界への田中角栄の登場
・国際石油業界への山下太郎(アラビア石油)の登場
等々、不勉強のために十分にリストアップできないが、「利益集団に対する挑戦」は権力を得るプロセスにはつきまとう。 大きな権力が対象ではないとしても、若者が大人になるプロセスにおいては、このプロセスのミニチュア版の関門が待ち受ける。
このような表現は、多少、挑戦的過ぎるかもしれない。
ステイタス・アップの「挑戦」は、「体制に対する闘争」、もしくは、「体制への参加(インサイダー化)」という手段にて行われる。
一般に、「インサイダー化」によって、「ステイタス・アップ」を計るのは賢いやり方と言われる。 そこでは、争いが少なく、また、「和議/和解」を通じての権力の獲得が可能と信じられている。 そこに必要なのが、「コミュニケーション」である。
しかしながら、「話せば分かる筈の論理」と「コミュニケーションの重視」とはイコールではない。 いずれにしろ、挑戦者が狙うのは、序列の逆転であって、序列の維持ではない。 「コミュニケーション」にしろ、「和議/和解」にしろ、「序列の維持」のための詭弁でしかない。
現代の日本の風潮から見ると、「コミュニケーション/和議/和解」の破綻は「悪」である。
それは、社会(体制)が「体制への参加(インサイダー化)」を重視しているからであるが、その隠れた目的/方針は、あくまでも「体制/序列維持の維持」である。
更に、「話せば分かる筈だ論理」には、「若者の体制への動員」を強要する論理が隠されていることに注意する必要がある。 この国には、「若者を体制に動員する(隠された)社会システム」が存在する。
この国には、歴史上、ほぼ常に、このような「動員システム」が存在していた。
・奈良・平安時代における律令
・江戸時代における農民統治システム
・明治における「工業化への農民の動員システム」
・昭和前期における「平民の戦闘員への動員」
恐らくは、この国にては、「和議/和解のイデオロギー」にて理論武装(建前と)した「動員システム」を統治方法とする政治の伝統が存在するのである。
ライブドア/フジTV戦争を、「既得権者(旧世代)vs 挑戦者(若者)」という世代間闘争の構図にて論評されることがあるが、「和議/和解のイデオロギー」にて理論武装(建前と)した人達によって、「体制/序列」と「動員システム」が破綻しつつあることに対する不安・いらだち・嫌悪感があることに注意しよう。
Notice.
All the copyright and the contets written in this page belongs to the Oriento's Smart Club & the person; Ori Ento.
その2:ステージは、時間軸
ステージは、時間軸。
1990年を境に、経済活動のステージが、空間軸から時間軸に変わった。
経済活動の基本は、2者の間の価格差(マージン)を取引によって受け取ることだが、1990年以前には、国家間(工業国/原材料生産国)、地域間(工業地帯/都市部/農村)に存在す価格差を「物流」によって、利益に変えることだった。
現在、情報と物流の移動速度が早くなるにつれ、相対的に地球の地理サイズは、小さくなってきた。 移動速度が早くなるにつれ、空間軸に依存した価格差よりも、時間軸にに依存した価格差の価値が高くなった。 時間軸方向の価格差を取引することは、時には「虚業」「バブル」と言われたが、一方では、「在庫の削減」「棚卸し資産の削減」とも言われる。 いずれにしろ、この分野での利益の向上こそが、企業活動のフロンティアとなった。
数分/数時間/数日の間の価格差が利益の源泉であり、企業活動は時間方向に存在するリスク(不確実さ)を如何に減らし、如何に最大化するかに追われている。 過去と未来の関係には、後進国と先進国、既知の事実と未知の将来の関係がある。
時間方向に存在する価格差の取引の最もプリミテイブな形態は、株式・資源・通貨(為替)・権利に関する金融取引である。 数分で変動する価格の行方を予想できれば、過去と未来の間の取引が成立し、取引を仲介した者には利益が生ずる。 つまり、未来に対する情報を正しく持つ者、未来を望む方向に誘導できる者が、利益を持つ。
更に、時間軸方向の価格差の取引は、実取引では無く、物流を伴わない権利の取引であるために、取引金額を実需要以上に大きくすることができる点が重要である。 「掛け金」を大きくできる。 現実の利益は、実需要の数倍から数十倍の規模で行われるために、実は、非常にリスクも大きい。 「情報」に価値が生ずる理由がここにある。(欧州/日本と北米の経済成長率の根本的な差はここに起因するのかもしれない。)
この変化は、工業社会の変化としては(恐らくは)必然性がある。 本質的(根源的)でもある。 過去に起こった「進化」に対して、別の「進化」があり得たかどうか不明である。 いずれにしろ、そのような「進化」が起こったのは事実であり、既に歴史でしかない。 遺伝子は既に変わってしまったのである。 虚業の繁栄に対して、感覚的に拒絶反応を持つ人達も、セピア色のアナクロニズム(懐古趣味)を楽しむ権利を有するかもしれないが、歴史を反転させる力は持ち得ない。
全ての人は、この新しい遺伝子の引き起こす社会の中に住んでいる前提で時を過ごしてゆくしかないのである。
Notice.
All the copyright and the contets written in this page belongs to the Oriento's Smart Club & the person; Ori Ento.
1990年を境に、経済活動のステージが、空間軸から時間軸に変わった。
経済活動の基本は、2者の間の価格差(マージン)を取引によって受け取ることだが、1990年以前には、国家間(工業国/原材料生産国)、地域間(工業地帯/都市部/農村)に存在す価格差を「物流」によって、利益に変えることだった。
現在、情報と物流の移動速度が早くなるにつれ、相対的に地球の地理サイズは、小さくなってきた。 移動速度が早くなるにつれ、空間軸に依存した価格差よりも、時間軸にに依存した価格差の価値が高くなった。 時間軸方向の価格差を取引することは、時には「虚業」「バブル」と言われたが、一方では、「在庫の削減」「棚卸し資産の削減」とも言われる。 いずれにしろ、この分野での利益の向上こそが、企業活動のフロンティアとなった。
数分/数時間/数日の間の価格差が利益の源泉であり、企業活動は時間方向に存在するリスク(不確実さ)を如何に減らし、如何に最大化するかに追われている。 過去と未来の関係には、後進国と先進国、既知の事実と未知の将来の関係がある。
時間方向に存在する価格差の取引の最もプリミテイブな形態は、株式・資源・通貨(為替)・権利に関する金融取引である。 数分で変動する価格の行方を予想できれば、過去と未来の間の取引が成立し、取引を仲介した者には利益が生ずる。 つまり、未来に対する情報を正しく持つ者、未来を望む方向に誘導できる者が、利益を持つ。
更に、時間軸方向の価格差の取引は、実取引では無く、物流を伴わない権利の取引であるために、取引金額を実需要以上に大きくすることができる点が重要である。 「掛け金」を大きくできる。 現実の利益は、実需要の数倍から数十倍の規模で行われるために、実は、非常にリスクも大きい。 「情報」に価値が生ずる理由がここにある。(欧州/日本と北米の経済成長率の根本的な差はここに起因するのかもしれない。)
この変化は、工業社会の変化としては(恐らくは)必然性がある。 本質的(根源的)でもある。 過去に起こった「進化」に対して、別の「進化」があり得たかどうか不明である。 いずれにしろ、そのような「進化」が起こったのは事実であり、既に歴史でしかない。 遺伝子は既に変わってしまったのである。 虚業の繁栄に対して、感覚的に拒絶反応を持つ人達も、セピア色のアナクロニズム(懐古趣味)を楽しむ権利を有するかもしれないが、歴史を反転させる力は持ち得ない。
全ての人は、この新しい遺伝子の引き起こす社会の中に住んでいる前提で時を過ごしてゆくしかないのである。
Notice.
All the copyright and the contets written in this page belongs to the Oriento's Smart Club & the person; Ori Ento.
その1:ステージは、この国の歴史
ニッポン放送株関連で、ホリエモンが注目されだして、数週間が経ちましたが、当初から、これは戦後最大の事件だと見ていました。 その理由は、
1)明治~大正の「株主資本主義」の復活を提起している。
第二次世界大戦直前からの国家資本主義とそれと裏表にある国民動員体制に対する「戦い」を挑んでいる状況が出来上がっている。 ホリエモンがこのような戦いを意図して行っているのかは不明だが、この国の「歴史」を健全にするには、これは「画期的な挑戦」であり、「戦後最大の事件」と呼ぶのも決して大げさではない。
2)経済力(Power)を背景にした本気の戦いである。
「戦争前後以来の出口の無い閉鎖思考と閉鎖体制」に対して、矛先の間違った「学生運動」や、影響力の無い「政治闘争(平成維新のような動き)」とは違い、「戦い」を挑むだけのPowerを持った戦いであり、また更に、驚くべきことに、敵の弱点(閉鎖思考と閉鎖体制の弱点)を突いた本格的な戦いである。
3)時期を得ている。
小泉政権が掲げる「構造改革」「金融改革」「民間主導の景気快復」の途上にあり、その効果が認知され始めているタイミングにおいて、今更、戦争前後以来の動員体制(村の論理による全体主義)と疑似資本主義(非法治行動をベースにした縁故支配体制)の状況を擁護する声は出て来ない「圧倒的に有利な世情(トレンド)」を背景にしている。
もちろん、彼が選んだ「戦い」の場は「経済社会」であり、「企業活動としての結果をださなきゃならない」というプレッシャーとリスクにどれだけ太刀打ちできるのかという懸念はある。 しかしながら、上記の社会問題をまな板に載せた彼の功績は既に非常に大きいといえる。
戦後経済の行き詰まりの中で、閉塞感を強く持つ人達の陰ながらの支持と、戦後経済の利益受益者(既得権者)の無節操な反発を浴びながら、彼は、今の所非常に良くやっているといえるが、IT産業、金融業、娯楽・サービス業関連の経済界からの支持を与える(何らかのコンソーシアムを結成し彼を取り込む、もしくは、祭り上げる)という動きに展開しなくては厳しいのかもしれない。
ホリエモンを支持しましよう。 これはこの国の不幸な歴史との戦いです。
Notice.
All the copyright and the contets written in this page belongs to the Oriento's Smart Club & the person; Ori Ento.
1)明治~大正の「株主資本主義」の復活を提起している。
第二次世界大戦直前からの国家資本主義とそれと裏表にある国民動員体制に対する「戦い」を挑んでいる状況が出来上がっている。 ホリエモンがこのような戦いを意図して行っているのかは不明だが、この国の「歴史」を健全にするには、これは「画期的な挑戦」であり、「戦後最大の事件」と呼ぶのも決して大げさではない。
2)経済力(Power)を背景にした本気の戦いである。
「戦争前後以来の出口の無い閉鎖思考と閉鎖体制」に対して、矛先の間違った「学生運動」や、影響力の無い「政治闘争(平成維新のような動き)」とは違い、「戦い」を挑むだけのPowerを持った戦いであり、また更に、驚くべきことに、敵の弱点(閉鎖思考と閉鎖体制の弱点)を突いた本格的な戦いである。
3)時期を得ている。
小泉政権が掲げる「構造改革」「金融改革」「民間主導の景気快復」の途上にあり、その効果が認知され始めているタイミングにおいて、今更、戦争前後以来の動員体制(村の論理による全体主義)と疑似資本主義(非法治行動をベースにした縁故支配体制)の状況を擁護する声は出て来ない「圧倒的に有利な世情(トレンド)」を背景にしている。
もちろん、彼が選んだ「戦い」の場は「経済社会」であり、「企業活動としての結果をださなきゃならない」というプレッシャーとリスクにどれだけ太刀打ちできるのかという懸念はある。 しかしながら、上記の社会問題をまな板に載せた彼の功績は既に非常に大きいといえる。
戦後経済の行き詰まりの中で、閉塞感を強く持つ人達の陰ながらの支持と、戦後経済の利益受益者(既得権者)の無節操な反発を浴びながら、彼は、今の所非常に良くやっているといえるが、IT産業、金融業、娯楽・サービス業関連の経済界からの支持を与える(何らかのコンソーシアムを結成し彼を取り込む、もしくは、祭り上げる)という動きに展開しなくては厳しいのかもしれない。
ホリエモンを支持しましよう。 これはこの国の不幸な歴史との戦いです。
Notice.
All the copyright and the contets written in this page belongs to the Oriento's Smart Club & the person; Ori Ento.