飯塚豊さんとのコラボで得られるもの | オーガニックスタジオ新潟社長の奮闘記 │ おーがにっくな家ブログ

オーガニックスタジオ新潟社長の奮闘記 │ おーがにっくな家ブログ

「オーガニックスタジオ新潟」社長のブログ。かっこいいエコハウスを提供するために日夜奮闘中。役立つ「家づくりの知識」は、オーガニックスタジオ新潟のHPにて更新。このブログでは個人的な関心ごとと「工務店経営」についてがテーマ

飯塚豊さんとのコラボで得られるもの

 

前回の記事では伊礼智氏の、

全国の工務店の設計に与えている影響について記事にしました。 

伊礼さんは「自身の型」である「伊礼スタイル」は、しっかりと決めておきたいようだった。

例えば車で通りがかった時に「お!伊礼さんの設計?かな」と思わせるような再現性。

かつて新建ハウジングでは、「TTP工務店」という言葉を使っていた。

日本の芸能の修練においては、先ずは師範から「型」を学ぶ。

 

伊礼さんは多くの著書などで設計図書を公開している。

それを工務店の設計では、徹底的にパクることで(TTP)、伊礼スタイルを体得し、

実力を身に着けて、  いずれそこから離れればよい。 

そういった趣旨での「伊礼智TTP工務店」のススメである。

 

それと対比して 飯塚氏コラボはどうであったか?

オガスタ的には、飯塚氏と2年連続のコラボを通じて得たものは多くある。

 

飯塚氏のプランニングメソッドは、2冊の本において明確に体系立てられている。 

飯塚スタイルは 大まかなテイストはあるけれど、 建築の形態は変幻無碍である。

ひとつの「型」を作り出す方法論ではなく、

「その場・その人に最適な解を発見する」 メソッドである。

 

基本設計に入る前の準備段階で、似たような事例の写真を収集するなどして手間をかける。

めんどくさそうだが、むしろ こうしたプロセスこそが面白い。

次に予算や容積から建築のボリューム検討しつつ、屋根の掛け方を考える。

まだ 間取りはおあずけで まだである。

 

 

次に、その屋根を作り出すための構造はどうなるのかを考える。

全体の形と構造を決めてから、ようやく間取りを考えるというプロセスである。

原石を削りだしていく彫刻のような、  

外堀から攻めていく戦のような手順である。

 

一般的には、いきなり間取りを考えるだろうがその逆である。

実は 新潟を代表する建築家の天野一博氏の手法も同様であった

敷地全体と周辺も踏まえて 建物をどう構えるか?  

植栽のありかたはどうか?

前面道路からの見え方と 屋根の掛け方。 

すべて同時に並行処理でフォルムを考える。

自然と 間取りの輪郭線はできるから

「あとの間取りは考えてくれるかなぁ?(笑」という具合である。

 

10数年前に、設計の全プロセスを拝見した時があるが、

石像を彫り出すような手法は同じであった。

 

たとえ話で、プランニング導入の話をしたが、

プレゼンテーション・コーディネート・仕様選定など、設計の実務においてやることは山ほどある。

コラボしたことで、「正統的な手順」を目の当たりにできたことが得られた果実である。

 

「笹口の家」においては、施主は建築士であることもあり、

建物の趣向性や空間に対してまで けっこうな意見をぶつけてきた。

我々にも、オガスタ・スタイルと言えるような一連のテイストというものもある。

普通は、一流のセンセイと組むからには黙っていなければならぬが、飯塚さんは違った。

 

3者の素敵なマリアージュというか、出来上がった結果としての住宅は、

飯塚的でもあるし、オガスタ新潟的でもある。

もちろんお客さんの暮らしに完全にFITして大満足である。

 

コラボを組むことで、「オガスタ新潟の型」は何だろう?

と再確認するプロセスができたことは大きい。

 

アイデンティティを表現するうえで、どういったものがふさわしいか?

飯塚氏のエゴの無いキャラと、膨大な建築知識の引き出し。

それと 「新米建築士のための教科書」にもあるような、教える力がある。

師範というよりコーチのような存在か。

 

地域工務店の差別化戦略としての「世界観の構築」を 仕事を通じて再確認したいとする。

具体的な建築アイテムや設計ルールの落とし込みを、一緒に考えてくれるコーチとして

建築家を招へいするならば、飯塚豊さんは最高級の仕事をする。

 

 

急速に訪れようとしている 家余りの時代。

工務店は15年で半分が淘汰されるだろう。

設計事務所も同様で、生き残りは工務店以上に過酷かもしれない。

そこで お互いがどのように協業することで 相乗効果を発揮するか?

最善の事例を全国に見せつけたのではないか?

 

トークイベント翌日は、結構な雨の中でしたが、新潟建築巡りを午前中にしました。 

カーブドッチの建築群・ わらアート。 弥彦の二村建築さん連合設計モデル。 

そして 昼食は 岩室のKOKAJIYA  にて