零の町並み分譲
仙台の工務店。建築工房零さんは、
自らで宅地造成を行い、植栽のレイアウトや外観の統一性を行っています。
それにより、町並みが良くなり、価値観の同じ世帯が移り住むことで、
豊かなコミュニティーができることを意図しております。
その様子を動画作品で公開しましたら、
コメントで、分譲地の選び方や隣人との関係に対する感想をいただきました。
「隣人がクレーマーだったり、ゴミ屋敷だったり、家の見た目が奇抜だったりすると、すべてが台無しになる」という不安が述べられ、さらに「美しい町並みに共感し、同じ価値観を持った人々が集まる場所なら、ストレスのない暮らしが実現できる。」 といった希望も語られています。
このような理想のコミュニティについて考えると、
最近の分譲地が抱える問題点が浮き彫りになります。
現代の新規分譲地が抱える問題点
現代の分譲地の多くは、コスト削減を優先するあまり、土地の区画割りが小さくされる傾向があります。これは、以下のような問題を引き起こすことが少なくありません。
区画の狭さ:
例えば、45坪の土地に標準的な住宅を建て、さらに駐車スペースを2台分確保すると、ほとんど庭や余裕のある空間が残りません。このような狭い区画では、住まいにゆとりがなく、住宅間の距離も近いため、隣家とのプライバシー問題や騒音トラブルが発生することがあります。
砂漠のような住宅街:
家庭に余裕がなく、手間がかかる管理を嫌う人が増えているため、植栽などの美しい景観を維持する意識が低下しています。その結果、緑が少ない、殺風景な住宅地が生まれがちです。
コミュニティの崩壊:
管理が行き届かず、コミュニティとしてのつながりも希薄な地域は、30年後にはスラム化する可能性すらあります。特に、住民同士の関係が希薄である場合、助け合いやコミュニケーションが取れないまま、管理が行き届かない地域になってしまうことがあります。
競争心とストレス:
同じ子育て世代が一斉に入居する分譲地では、親同士が横並びを気にし、余計な競争心を抱くことがあります。周囲の家と比べて、見栄を張ったり無理をしたりすることが、ストレスの原因となることも少なくありません。
このように、あまり望ましくない現象が非常に出現してきていると問題意識を持っております。
新築を考えた場合に、真っ先に新規分譲地を購入して、好きなように注文住宅を建てることを思いつく人は多いと思いますが、他にも住宅を手に入れる手段は多くあるので検討すると良いでしょう。
近年の傾向と代替策
このような問題を抱える分譲地に代わる選択肢も存在します。実際に、近年では以下のような代替策を取る人が増えてきています。実際にオガスタの場合は、圧倒的に新規分譲地でないケースが多いです。
住宅街にある単品売りの土地を選ぶ:
すでに形成された住宅街で、空き地が出た際に購入することで、すでに住環境が整った場所で新築を建てることができます。この方法は、新規分譲地にありがちな景観や管理の問題を避けることができます。
住民のそれぞれが木を植えている所や、特に熟成した公園の脇などは、緑化率が高くて、良い結果に繋がります。
郊外生活:
郊外に土地を求め、より自然に近い環境で暮らす選択肢も人気です。広い敷地を手に入れ、自然と調和した暮らしが実現できる点で、都市部の狭い分譲地とは対照的です。
特に首都圏などからの移住者は、環境を求めて土地の広い郊外を希望する方が多いです。
中古住宅の購入とリノベーション:
既存の住宅を購入し、リノベーションすることで、自分の好みに合った住まいを手に入れることができます。さらに、周囲の家もすでに整備されている場合が多く、予算の割には好立地を手に入れるケースも。
実家の建て替えや同居:
実家を建て替えて、二世帯住宅にすることで、新たに土地を購入する必要がなく、家族との距離感も程よく保つことができます。また、実家の周辺環境に慣れ親しんでいるため、新しいコミュニティに馴染む必要もありません。
ここ1年で特にこうした多世帯同居の計画が増えている印象です。背景には建築費用の高騰があり、親の財布と合わせることで住宅の質と量を確保したいという考えでしょう。
結論として: 新規分譲地の時代は終わったのか?
かつては、新規分譲地に土地を購入し、それぞれが自分の好きなように新築を建てるというスタイルが主流でした。しかし、現代では、このスタイルに対する見直しが必要となっているのかもしれません。狭い区画や管理の行き届かない住宅地が増える一方で、持続可能なコミュニティの形成が難しくなっている現状があります。
もちろん、新規分譲地にも良い点はありますが、それぞれが自分のライフスタイルに合った住まいを慎重に選ぶことが重要です。どの選択肢が自分にとって最適なのか、ライフスタイルや価値観に応じて検討することが求められています。