立ち上がった杉原さん。
私もあわててバックを持った。


「払って来てくれ」
お金を渡され私は支払いに行った。


先に駐車場で杉原さんは待っていた。
この車の停め方、すごく杉原さんらしいなぁと私は思った。

どこへ行っても、バックで駐車しない。
私もだけど…
でも、杉原さんは運転は上手だとは思う。
前に付き合っていた頃は、よく私が杉原さんの車を運転していた。


「ごちそうさまでした。お釣りです」


「おいしかったか?さぁの今日の服、素敵だし似合っているよ。」


「おいしかったです。お腹が一杯になりました。今日は天気もいいし、オシャレして来ました」


「すごくいいよ。まぁ、さぁは元がいいし身長もあるから何を着てもサマになるけどな」


「え~?ほめてるの?」


「俺は30年前からそう思っていた」


「ふ~ん、今日の杉原さんの服はマフラーがポイントかな?」


「このマフラーも長い間使っているよな、何だっけこのブランド」


「ダックスでしょ?今日の時計はロレックスだし」


「俺はブランドは気にしない。何でもいい。さぁのバッグは何だっけ?」


「これはルイヴィトン。長持ちしてますわ」


「それ持ってる人、多いな。好きなのか?」


「今はブランド物には興味がなくなったよ」


等と、会話をしながら来た道を戻った。


「ここ右でいいよな?」


「えっ?あっ、はい」


高速のインター側のラブホ街に行く道。


珠里の住む所から5分以内だから、その周辺の地理には私はすごく詳しくなっていた。


「どこがいい?」


「どこでも…」


杉原さんの車は、三軒目のラブホに入って行き、頭から入って駐車した。






念入りに支度をして、杉原さんとのランチに出掛ける私。


前回久しぶりに逢った時みたいな顔を見れないとかはなく、私は以前よく逢っていた頃のような感じがした。


「今日は、豆腐・湯葉を食べようか?」


「はい。ヘルシーで優しい気持ちになれるかも」



ランチにしては高価過ぎるお値段のコースを杉原さんは選び、ゆっくり話をしながらいただいた。



私の心の中のどこかでは、誰に教えられて一緒にこの店に来たのだろう…と思っていた。



杉原さんは、会社の事、家族の事、たぶん他の誰にも話さない弱さの部分まで私に語った。



1月にしては穏やかな日差しが射す窓側の席での穏やかなランチタイムだった。


「エクセル教えてくれ。俺パソコン持って来たから」と言いながら杉原さんは立ち上がった。






杉原さんとまた逢ってしまい、またエッチしてしまった私。


なんだかんだ言っても嫌いにはなれず、押しの強さに負けて…
何やってんだろ…


次の日からも朝から「おはよう」メール。


メールや電話がないと気になってしまう。

ダメダメ、こんなはずじゃなかった。

と、思いながらも心のどこかで待っている気がする。

私と逢った翌日の夜にも、私も知る杉原さんの昔からの友達と飲んでいたと代行運転で帰宅中の杉原さんから電話があった。



日曜日の早朝からメールがあった。
「今日、時間とれますか?パソコン教えて下さい。食事ごちそうします」

寝ていたので気付かなくて、起きてから
「今、起きました。娘の所に昨夜から泊まっています」と返信した。


電話があり、杉原さんは娘の住む所に来ると言った。

わざわざ、しかも高速道路を利用して30分余りかかるのに。


ランチを一緒にする約束をした。


多少の残雪はあるものの、道路は乾き、とても良い天気。


私は、お風呂に入り、念入りに支度した。


お気に入りの服を着て、お気に入りのピアスに替えた。


待ち合わせの時間ぴったりに杉原さんから電話が入りデートのような気分で出掛けた。


前は、待ち合わせ場所がいくつかあったけど、よく杉原さんが私の自宅に迎えに来てくれた。


懐かしい気がした。