美和子は熱しやすく冷めやすい。
優しい旦那さんが好き放題させてくれるのをいい事に何度か不倫をしていた。

旦那さんも薄々気がついてはいたようだが、美和子は不倫相手に熱中している時には私に会いには来なかったので詳しい内容は知らなかった。
相手に飽きて来てから私に別れたいんだけどどうしたらいい?と相談に来る。

私は、自分が以前に不倫してた事もあり、美和子に対しては強く避難は出来なかったが「あんないい旦那さんと子供が3人もいて、いい加減にしないとダメだよ」とは言っていた。

旦那さんに「何か知らない?」と聞かれたが本当の事は言えなかった。
私と出掛けると言って不倫相手と会っていたこともあった。


ある日、美和子の旦那さんから携帯に電話があった。「悪いけど、病院に来てくれないかな。美和子が薬を大量に飲んで明け方病院に連れて来たんだ」


私は驚いてすぐに病院に行った。


病室の前で旦那さんと美和子のお母さんが私を待っていた。


「どうしたんですか?」と聞くと、「眠れないって言うから睡眠薬をもらっていたんだけど、それを大量に飲んだみたいで…夜中に苦しみだして…明け方ここに運んだよ」と旦那さんは答えた。

「どうしてそんなバカな事を…最近、連絡がないなぁとは思っていたんだけど」と私。

「実は、最近一日寝室にこもって出て来なかったり、子供達に急に怒鳴ってみたり精神的に不安定になってて…さぁさんになら心を開くと思って来てもらった」と旦那さん。

「忙しいのにすみません。何とか美和子と話をしてもらえませんか?私達には何もしゃべってくれません。お願いします」美和子のお母さんが私に頭を下げた。

私は一人で病室に入って行った。

珠里は小学校が終ったら私の実家に行き、私が迎えに行くのを待っていた。

晩ご飯も実家で食べていたし、お風呂にも入っていたので、実質的には家には寝に帰っていた感じ。

近所に仲良しの友達も出来て楽しそう。

絵を描くのが好きで、暇さえあれば、絵を描いている珠里。


離婚する前のママ友の美和子ファミリーとも付き合いを続けていた。

東京ディズニーランドに一泊で出掛けたり、軽井沢に滞在したり、時には美和子だけが家にやって来たりとても仲良くしていた。

美和子は、天真爛漫、明るい性格で、感情を表に出さないどちらかといえば無口な私とは違っていた。

いつも私に美和子は言っていた。
「あなたは何故何でもそつなく上手にこなせるの?何をやっても上手だよね?」確かその時はまだ一般的には普及していなかったパソコンを始めて、ブラインドタッチを普通にしていた私に向って言った。

「誰でも最初から出来る人はいないよ。多少努力くらいしなきゃ」と私は答えた。

「何で何をしても上手なの?私は出来ませんって感じなのに」
確かその時は美和子に誘われてカラオケボックスに行ってリクエストされた曲を歌った時だった。

確かに誘われなければカラオケには行かない。めちゃくちゃ上手くはないがそれなりに歌えるというレベル。

美和子の「何であなたは?」は時々私に向けられた。

挙げ句には「あなたには常に私の一歩先を歩いていて欲しい。よろしく」と。

私は「お気楽な奥様が何を言ってるんだか」と軽くあしらっていた。

美和子は熱しやすく冷めやすい。
私は熱中したら納得するまで突き進む。

当時は私と美和子は本当に仲良しだった。美和子が私にとてもなついていた的な部分が多かったが。




私は、仕事に熱中していた。少しずつ色んな事を任されるようになって来た。

お給料もそれなりにもらえるようになった。

一年に数回、会社の仕事がらみのゴルフコンペに行ったり仲良しだった同年代の男友達とゴルフに行ったりするようになった。


県外で就職していた私の弟が結婚する事になった。

弟は実家に住むわけではなく当然、県外の勤務地で新婚生活を始めるのだが、私の両親は、地元のお嫁さんだし、いくら県外に住むと言っても家に出戻りの小姑がいるのは良くないと、私に近くに住む所を探すように言った。

弟は珠里をとても可愛がってくれていたので、自分が結婚するから私と珠里が実家を追い出されるのが気に入らないと両親と喧嘩をした。

私はいつまでも両親の世話になるのも申し訳ないから珠里と一緒に実家を出る事には異存はなかった。

両親は珠里の世話も出来るように、車で5分もかからない同じ小学校区内で私と珠里の住む家を見つけてくれた。


弟の結婚式の前に私と珠里は実家を出て、二人で暮らし始めた。
離婚してから一年余りの実家での生活だった。


珠里は小学生になった。