出張から土曜日に戻った杉原さんから電話が来た。


「夜、食事に行こうか」


あの悪夢以来、初めて杉原さんに逢った。


中華料理を食べながら話をした。
日曜日、杉原さんは朝早くからゴルフだったので、明日ゴルフが終わったらまた逢うことにして別れた。


次の日、杉原さんから電話があった。
「ゴルフは終わったんだけど皆で飲みに行く事になってしまって…さぁ、ごめん。今日は逢えない」


「わかりました。飲み過ぎないでね」と私は言った。


その時から杉原さんは、大嘘つきになった。




インターチェンジまで美和子の車で来た私。


杉原さんの車から荷物をおろし美和子の車に積んだ。二人っきりになりたくなかったが仕方がない。


「家に着いたら電話します」と杉原さんに言い、美和子の車で自宅に向った。


私は重い口を開いた。
「私と杉原さんの関係ってわざわざ説明しなくてもわかったでしょ?楽しみにしていたゴルフ旅行がこんな事になってショックだよ」


美和子は何も言わなかった。


私の家に着いた。


荷物をおろし、美和子に「ありがとう」と言った。


美和子は「お疲れさまでした」と今までに私に言った事がない丁寧さで頭まで軽く下げて言った。


珠里を実家に頼んでいた私は電話をし、戻った事を伝えた。


「明日、珠里を迎えに行きます」と言い、電話を切ったら美和子から着信があった。


「杉原さんに電話したら出ないんだけど」と言う。


私は「どうしたの?」と聞くと「色々失礼な事をしたし、謝っておこうと思って」と答えた。


???


美和子の本心がわからない。


「お風呂に入ってるんじゃないかな?私から言っておくから。もう、杉原さんに電話しないでくれる?」と私は言った。


美和子の電話を切り、私は杉原さんに電話をした。


杉原さんは電話に出た。
「お疲れさま。今、美和子から電話があって杉原さんに電話したけど出ないって言ってた。色々失礼な事をしたから謝ろうと思ったらしいよ」と言った。


杉原さんは「電話があったのはわかっていたよ。でも出る気になれなかった。旦那がいるのに俺に手を伸ばして来て…酔っていたとはいえ乗ってしまった俺も悪いが、そういう節操の無い女は好きにはなれない」と言った。


私は少し安心した。


「ねぇ、お腹すきませんか?食事に行きませんか?」と私は言った。


杉原さんは「うん、でも俺、ビール飲んでしまったから…疲れたし寝るよ。さぁも早く休みなさい」と答えた。


そして、「明日、出張先に向うから週末までいないよ。戻ったら食事に行こう」と言った。


前日、一睡もしてなかった私はいつの間にか眠ってしまった。




ロビーで私と杉原さんは美和子を待った。


なかなか来ない。


杉原さんは、「さぁの分のゴルフ代は払っておいたよ。ホテル代と食事代は俺が三人分負担したから」と言ってくれた。


「ありがとう。いつもすみません」私は言った。


「それにしても遅いな」と杉原さんは苛立ち始めた。


それを察した私は「見て来ます」とお風呂に行った。美和子は洗面台の前でゆっくり髪をブローしていた。

「もう、精算も済ましたよ。ホテル代と食事代は杉原さんが負担してくれたよ」 と言うと「ゴルフ代いくら?払って来てよ」と私にお金を渡す美和子。


おいおい、あんた何様?と思ったが我慢してフロントで美和子のゴルフ代を払った。


それでも美和子は来ない。少しは配慮出来ないのかと腹立たしかった。


しばらくして現れた美和子に「ゴルフバッグ、車に積んでおいたよ。はい、これお釣り。じゃあ行こう」と急がせた。


杉原さんが運転し、私は助手席、美和子は後部座席。


杉原さんが眠くならないように私と杉原さんはずっとしゃべっていた。


美和子は何も言わないで目を閉じているようだ。


「さぁ、少し眠ったら?」と杉原さんが言ってくれたが私は「大丈夫、眠くないよ」と答えた。



途中のサービスエリアで、「コーヒー飲もうか?」と杉原さんが言った。出発してから時間も過ぎているし、眠気覚ましもあったのだろう。


サービスエリアの駐車場に車を停め、降りたが美和子は動かない。

美和子に「コーヒー飲むけど行かないの?」と聞くと「行ってくれば?」と低い声で答えた。
「何か買って来ようか?」と聞くと「いらん!」と言った。


私は思わず「何、その態度!」と言おうとしたら、杉原さんに「行こう」と止められた。


「放っておけ」
杉原さんは歩きながら私に言った。


杉原さんと二人でコーヒーを飲み、車に戻った。
美和子は無反応。
その後も一言も発しなかった。


待ち合わせた地元のインターチェンジの駐車場に到着した。