全く会話が弾まない。


弾まないままゴルフ場に行った。


ゴルフをしていても楽しめない。


杉原さんは時々冗談を言ったりはしていた。


私は杉原さんと美和子から言葉を掛けられたら無視はせずに答えていた。


美和子は初心者なので手がかかる。初心者なりにもっと努力してくれればいいのにマイペース。


少々イラっとした。


杉原さんは美和子にアドバイスを時々していたが、私が嫌な気持ちになるのではないかと思ったのであろうか控え目だった。


一睡もしていない私は眠さは感じないが空が黄色く見えた。


ゴルフの内容は全く覚えていない。
が、あんなに楽しめないゴルフは初めてだった。



ラウンドを終え、杉原さんが「俺はお風呂に入ると眠くなるから待っているよ。二人はお風呂に入って来ていいよ」と言った。


「じゃあ、そんなに汗も出ていないしお風呂やめて帰りますか?」と私は言ったが「大丈夫だよ。待っているから」と杉原さん。


杉原さんが待っているから私は急いでお風呂に入った。美和子はお風呂の洗い場でわざとだろう、私の横には来なかった。


お風呂から出て、さっと髪を乾かし簡単に化粧をして杉原さんの所に行こうとしたが、美和子はマイペースでゆっくりしていた。


また私はイラっとした。万事がこの調子の美和子。
今までは寛大になれたが今回はせっかちな杉原さんが待っているのに…とスローペースな美和子に腹がたった。


美和子に「先に行ってるから急いでね」と声を掛け、ロビーにいる杉原さんの所に行った。


朝になった。


一睡も出来なかった。


ずっと杉原さんを見ていた。


杉原さんが目をさました。


私が目を開けて杉原さんを見ているので「さぁ、眠れなかったのか、ごめん」と杉原さんが言った。


私は布団から出て、杉原さんにあったかいお茶を入れて自分にコーヒーを用意した。


コタツに入り、静かに話をした。


「今日のゴルフどうする?さぁがイヤなら止めてもいいよ」


「ホテルに泊まっているのにゴルフをしないで帰ったらゴルフ場の社長さんが変に思うよ。それに、あの人だってゴルフを楽しみにしてたし」と起きているのか眠っているのかわからない美和子の方をちらっと見た。


この段になっても美和子の事を気付かってしまうバカな私。しかも、あの人って言っている。


「そうか、さぁがそう言うならゴルフして行こう」と杉原さんが言った。



話は少しそれます。
例えば、旦那さんに不倫された奥さんは不倫相手の女性を恨み、悪者にする傾向にある。「うちの旦那を奪った」等と。

でも、不倫相手の女性だけが悪いはずがない。旦那さんにも同等の罪がある。

実際に杉原さんと長い年月不倫していた私が言うのもおかしいが、テレビの何かの番組で、言っていた。



そう、美和子だけが悪いはずがない。杉原さんにも同等の罪がある。



頭の中では理解出来る。

誰かに相談されたとしたらたぶん私は同じように言うと思う。


杉原さんも同罪なのだ。
しかも私が同じ部屋にいるのに。



「俺にはおまえが必要なんだ」
「おまえが俺の一番だ」
と杉原さんは私に言った。

私も杉原さんのことを「私はこの人じゃなきゃダメ」と思って来た。



何でこんな事になってしまったの???


そう、確かに寒かった。


でも、寒さよりショックが大きく平気だったのかもしれない。


美和子が私の隣に来て椅子に座った。


謝罪の言葉はなかった。


「私、朝になったら帰ればいいの?」
「あなたと杉原さんの関係を知らなかった」
等、的外れな事を少しだけ言っていた。あのおしゃべりな美和子が。


私は無言のまま。
返す言葉なんて見つからなかった。


「あなたなんて一人で帰れば?」って言えば良かったのか…


「よく杉原さんを誘えたよね!どういうつもり?」って言えば良かったのか…


「私の目の前から消えて」って言えば良かったのか…


二人とも無言のまま時が過ぎた。


杉原さんが迎えに来た。


私は立ち上がり部屋へ向った。美和子も立ち上がった。


「少し眠らないと」と杉原さんは私に布団に入るように言った。私はわざと真ん中の布団寝た。


杉原さんは私に毛布や布団を掛けてくれて、自分も私が寝ていた布団に入りずっと私を見つめていた。


美和子は無視されていた。


「さぁ、目を閉じて…眠らないとダメだよ」杉原さんは私の頭を撫でた。


眠れるはずがない。


美和子に背を向け、杉原さんを見ていた。杉原さんは私にくっつくように私の方を向いて眠っていた。