大前研一氏は、以前マッキンゼー日本支社長をしていた経営コンサルタントであり起業家です。かつてはシンガポール経済開発庁のアドバイザーを務めるなど、経済政策についても様々な提言をしています。

 

大前氏は以下の記事で、チャイナの経済は失速しており、実態はチャイナの政府が発表している以上に減速していると言っています。

 

中国の海外プロジェクトはことごとく頓挫と予測

 

大前氏は、アジア・インチキインフラ投資銀行(AIIB)はチャイナ国内で余剰となった生産能力を、海外に持っていくためにチャイナが創設したと解説しています。

 

この記事に書いていることは、概ね賛同できます。チャイナのGDP成長率についても、実態よりもかなり高く発表しているのではということも言っています。

 

また、チャイナの製造能力は余剰になっており、特にインフラ関連企業では本来なら大規模なリストラが必要だと言っています。但し、インフラ関連企業の多くは国営企業で、リストラは難しいという見方をしています。

 

このような指摘をしている大前氏ですが、以前はひたすらチャイナを礼賛していました。

 

大前氏は盛んにチャイナを持ち上げて、日本はチャイナを見習うべきだ、日本企業はもっとチャイナに進出するべきだと訴えていました。チャイナのことを「目覚める大国」と称して、チャイナについてのレポートを次々と発表し、「チャイナインパクト」などの著書も出して、チャイナの宣伝を懸命に行っていました。

 

「チャイナインパクト」の中では、チャイナの市長が市のGDP成長率7%の目標を中央から与えられ、それを2年連続で達成できないと市長をクビになることを紹介し、これは良いことで日本の市長にも導入した方が良いと主張していました。

 

結果として自治体へのこういったノルマが、虚偽の経済データを生み出すことになり、チャイナの経済統計は信用できないものになっています。上記の大前氏の記事でも、チャイナの経済データは信用できないと言っています。

 

また、大前氏は赤字の国営企業はさっさと潰してしまって、そこで働いていた労働者が失業しても、チャイナには旺盛な労働力の需要があるため、すぐに他で雇われると言っていました。

 

一方で上記の記事では、国営企業は潰せないと言っています。ここでも以前とは矛盾したことを主張しています。

 

これほどまでに見事な掌返しは、中々見ることが出来ないと思います。最近のチャイナについては正しい見方をしているようですが、その前に以前のチャイナについての自分の発言や主張の誤りを認めるべきだと思います。

 

まあ、大前氏はチャイナの自治体の経済顧問を就任していたので、そういった利害関係から様々な提言を行っていたのかもしれないですね。

 

 

大前氏は、米国の大学で学んだことがあり、考え方は米国のグローバリストと非常に似ています。グローバル化は良いことで避けられないものであるという大嘘をついています。もしかしたら本人は嘘をついているつもりはなく、本当にそうだと思っているかもしれません。

 

そして、グローバリズムを体現しているEUについては、日本はEUを見習ってEUのような仕組みを取り入れることを推進しています。

 

EUに関する問題は新たな仕組みを作るための産みの苦しみで、日本もいずれEUと同じ道を通らなければいけないと言っています。

 

そのため、EUが直面する問題について日本は積極的に協力して関わり、日本がEUと同じ問題に直面する時に備えろと主張しています。

 

大前氏は他のグローバリストと同様に、移民を推進しています。移民流入による現在のEUの混乱が、大前氏の目には全く入ってこないようです。EUを見習って、EUと同じ失敗を日本もするべきだと思っているのでしょうかね。

 

また、政府債務が1千兆円を超えて日本政府は財政危機にあり、そのような状況で財政支出を増やすのは愚行だと指摘してます。

 

ちなみに、政府が保有している膨大な金融資産を差し引いた政府純債務は約650兆円で、日銀が国債を買い取り続けることで実質的な政府純債務は200兆円を下回っています。

 

不必要な政府支出を増やすべきではないですし、景気が過熱しているときにも同様です。しかし、現在はデフレ脱却を目指していて、需給ギャップがマイナス10兆円もある財政支出が必要な状態です。そのような時に、財政支出を削減してしまえば日本経済は暗黒のデフレ時代に逆戻りしてしまいます。

 

 

大前氏は、AIIBへの参加には反対しており、韓国からの集りについても応じるべきではないと、まともなことも主張しており、言っていること全てが間違えているわけではありません。そのため、大前氏に騙されてしまう人も少なくありません。

 

実は平成7年に東京都知事選に大前氏が立候補したときは、私は大前氏を支持していました。結局、その選挙ではタレントの青島幸男氏が当選して、全く都知事らしい仕事はしていませんでしたが、青島氏は余計なこともしませんでした。もし大前氏が当選していたら、余計なことをして青島氏よりも東京都に大きな傷を残したかもしれません。

 

大前氏の主張には見るべき物もありますが、自身の間違えを認めるようなことはしていませんので、少なくとも信用はできない人間のような気がします。


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