平成27年の第3四半期(79月)のGDPは、速報値ではマイナス成長でしたが確報値ではプラスに修正され、第2四半期に続いてのマイナス成長になることは避けることができました。実質GDPの前期比が2四半期連続でマイナスになれば、景気後退(リセッション)となるところでした。

 

しかし、下の実質GDP推移のグラフを見ても、まだまだ景気が回復しているとは言えない状態であることが分かります。


実質GDP推移
資料出所:内閣府「実質GDP

 

平成264月の消費税率8%への引き上げが影響して、景気が停滞していると言われています。実際に、消費税率引き上げ後の平成26年第2四半期には、実質GDPが大幅に落ち込みました。

 

財務省など増税推進派は、平成26年第2四半期の落ち込みは税率引き上げ前の駆け込み需要の反動だと主張していました。しかし、その後も実質GDPは消費税率引き上げ前の水準には達していません

 

実質GDPが消費税率引き上げ前より少なくなっているのは、民間最終消費支出が低迷しているからです。下のグラフは民間最終消費支出の推移を表したものですが、8%への引き上げ後に伸び悩んでいることが分かると思います。


民間最終消費支出推移
資料出所:内閣府「実質GDP

 

民間最終消費支出が伸びないのは、ある意味当然と言えます。消費税増税は、景気が過熱している時に抑制をする政策だからです。

 

消費税率引き上げの影響を上回るくらい景気が良い状態であったのであれば、民間最終消費支出が増える可能性がありましたが、消費税率引き上げをした平成264月はデフレから脱却できていない時期で、とても景気が良いという状況ではありませんでした。

 

このままの経済の状態で更に消費税率を10%に引き上げたら、消費意欲がもっと落ち込み民間最終消費支出が低迷して、日本経済に大きなダメージを与えることになってしまいます。

 

現在必要な施策は、景気抑制策ではなく景気刺激策です。財政出動による景気刺激策が必要なのですが、政府の補正予算は小規模なもので、とてもではないですが消費を上向かせる規模にはなっていません。それに、財政出動は一時的な効果しかありませんので、完全に景気回復するまで継続して実施する必要があります。

 

最も効果があって即効性がある景気刺激策は消費税減税です。消費税率を8%から5%に戻せば、財政出動は最小限に抑えても景気は上向いていくことが考えられます。それを実施すれば、他の経済刺激策はほとんどやらなくても済むのですが、財務省は自らの間違いを認めたくないので猛烈に反対するでしょう。


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