日本は長期に渡るデフレ状況にあり、日本経済は長年低迷している状態でした。アベノミスは、デフレを脱却して、日本経済を立て直そうとしています。では、デフレというのはどういうことなのか、皆さんは説明することができるでしょうか?

 

デフレとは、物価が上がっていくインフレの反対で、物やサービスの値段が持続的に下がっていき、お金の価値が上がることです。

 

物価が下がれば、サービスを受ける時や物を買う時に安く済むので良いのではないかと思う人もいるのではないでしょうか。しかし、デフレになると、サービスや物の値段を安くするため企業などの売り上げが落ちて利益が減り、結果として給料も低くなってしまいます。

 

物価と給料が同じだけ下がればいいのですが、実際には物価の下落以上に給料が下がってしまいます。そうなると、以前と同じだけサービスや物を買うためのお金が少なくなり、更にサービスや物が売れなくなるという悪循環に陥ります。

 

デフレの説明としては「物価が継続して下落し、所得が縮小して実質賃金が物価以上に下落して貧困化すること。」が、正解だと言えます。

 

私もデフレというのは単に物価が下がることだと思っていたのですが、実はそれだけではなく物価の下落以上に賃金が低くなることというのは、最近知りました。しかし、私と同じような勘違いをしている人は、経済の専門家と言われている人の中にもいるようです。

 

経済ジャーナリストの田村秀男氏が、民主党政権時代の2011年当時、消費税増税案を作成していた与謝野馨経済財政担当相と会ったときに「デフレ下での消費税増税は避けるべきではないか」と助言をしたそうです。そのとき与謝野氏と一緒にいた官僚が「消費税増税すると物価が上がりますから。」と言ったようです。

 

この官僚の考えには2つ誤りがあります。ひとつはデフレを単なる物価上昇のことだと考えており、所得の下落による貧困化が全く頭の中にないことです。

 

もうひとつは、消費税増税すると物価が上がるのではなく、逆に下げることになるからです。消費税率を上げることはデフレを推進することになってしまいます(詳しくは以前の記事を参照 してください)。

 

官僚は法学部出身者がほとんどで法律の専門家ですので、経済のことを知らなくても仕方がないかもしれません。しかし、経済学者や経済評論家と言われている人の中でも、デフレを正しく理解していない人がいるようです。

 

そのような誤った認識に基づいて提言をしたり、経済施策を作成したりしているのですから、日本が迷走してきたのも納得できるような気がします。


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