昨日の記事で宮城県産の牡蠣が世界に広まり、フランス産牡蠣のほとんどが宮城から持ち込まれた牡蠣だと書きました。

 

その宮城県の牡蠣ですが、2011年の東日本大震災により壊滅的な打撃を被りました。

 

今度はフランスが宮城の牡蠣を救うために、産業界、政府、NGOなどがFrance-Okaeshi(フランスお返し)プロジェクト」として国を挙げて復興支援をしました。France-Okaeshi(フランスお返し)」というのは、1970年代にフランスの牡蠣を救ってくれた「お返し」をしたいという意味です。

 

フランスの牡蠣の関係者は、「フランスの牡蠣が危機に瀕した時に日本が助けれくれなかったら、現在のフランスの牡蠣業界はない。だから、宮城の牡蠣を支援できることは何でもやる。」と言ってくれたようです。

 

プロジェクトでは、金銭的支援と物質的支援がされました。

 

金銭的支援はフランスの公的支援基金から約2,200万円、他にも牡蠣産地などの商工会議所からの支援金や募金などによって集められた資金が復興のために利用されました。

 

物質的支援では、フランスで牡蠣養殖の再開に必要な養殖用のロープ約8トンやブイ約4トンなどの資材を調達し、被災した養殖業者に届きました。資材はフランス漁具製造大手のMulot社が提供し、被災地までの輸送はフランス大手物流会社SDV社が行いました。

 

日本とフランスの牡蠣養殖のやり方は全く違うため、牡蠣養殖に必要な資材が異なりフランスでは見つかりにくいとい難題があったようです。

 

幸いにも海底に生き残っている種牡蠣が発見され、数々の問題を乗り越えて、震災のあった年の7月には種牡蠣の仕込みを行うことができました。

 

そこで、支援を受けることになった宮城の牡蠣業者は単に復興するだけでなく、新たなチャレンジに挑むことにします。フランスの資材を使い、牡蠣漁師がフランスに渡り現地の養殖場を見学をし、養殖技術の指導を受けるなどして、フランス式を取り入れて牡蠣養殖を行うようにしました。

 

日本の牡蠣は世界に広がったのですが、日本から輸出される牡蠣は極僅かしかありません。それには日本と世界の牡蠣に対するニーズの違いがあります。

 

日本では大型の牡蠣が好まれ、牡蠣を加熱調理して食べることが多いためにむき身で販売されることが多いです。外国では小型の牡蠣が好まれ、生食が主なため殻付きで販売されます。日本に来た外国人が、むき身の牡蠣を見てビックリすることが結構あるようです。

 

また、外国では殻付きで食べるために殻の形が揃っていることや、身や殻の大きさによって値段が異なるために身だけでなく殻の大きさも揃えることが求められています。

 

日本のこれまでの養殖では、殻の形や大きさを揃えて育てることが非常に難しかったのですが、フランス式を導入したことにより、それが可能になるだけでなく作業の効率性を高めることもできました。

 

牡蠣は殻付きで出荷することができれば、付加価値が上がることになります。それをこれまでより効率的な作業で行うことができるので、生産者にとっては採算性が高まることになります。

 

フランス式の牡蠣養殖を導入したことで、これまでは国内のみの出荷だったのが、海外への出荷も視野に入れることができるようになりました。

 

 

フランスの牡蠣養殖が危機に陥ったときに宮城に助けられたことを忘れずに、フランスは東日本大震災で壊滅状態になった宮城の牡蠣を支援してくれました。こういった思いを持っている国とは友好が成り立つと思います。

 

東日本大震災で日本が大きなダメージを受けているときに、日本が混乱している時が尖閣諸島を奪うチャンスだと言ったり、震災を祝うようなメッセージを送るような国とは友好な関係を築けないと思います。

 

日本が危機に陥っている時ほど、各国の日本に対する本性が現れるような気がします。その時のことを参考にすれば、どの国と友好的な関係が築けるのか、そしてどのような国に対して支援をするべきなのかを判断できると思います。


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