欧米では伝統的に生の海産物を食べることが少なかったのですが、例外として牡蠣の生食があります。牡蠣の生食はフランスが発祥であり、シーズンになると欧米では多くの牡蠣が食べられています。

 

フランスでは牡蠣の養殖が行われており、大西洋沿岸地域が大産地となっています。フランスには3種類の牡蠣があります。ブロンと呼ばれているフラットオイスターのオステレア・エデュリス、1860年代にポルトガルから導入したクラッソストレア・アンギュラータ、クラッソストレア・ギガと呼ばれているマガキです。

 

そのうち、実際に市場で売られているのはブロンとマガキの2種類だけです。

 

ブロンはフランス牡蠣養殖生産量の僅か23%で、市場に出回っているものはほとんどがマガキです。プロンはフランスの在来種ですが、マガキはそうはありません。

 

以前は、クラッソストレア・アンギュラータが生産量の9798%と大部分を占めていました。しかし、1960年代後半と1970年代前半の2度にわたり、フランスの生産地で牡蠣が病原性微生物によって壊滅的な打撃を受けました。

 

そこで、宮城県産のマガキを輸入して、大量死滅で危機に瀕していたフランスの養殖業者を救いました。マガキは病原生微生物に強く、養殖が容易で味も良く、フランスの牡蠣養殖の主流となりました。2011年にもフランスの養殖牡蠣に病気が蔓延し、更に宮城産の牡蠣の比率が高まったようです。

 

宮城産の種牡蠣は、大正時代からヨーロッパやアメリカに輸出されていました。フランスやアメリカの種牡蠣は世界中に輸出されてきたので、フランスだけでなく世界中に宮城産の牡蠣が広まっているということになります。


ちなみに世界でも有名なアメリカの牡蠣は「クマモトオイスター」であり、熊本に自生していた牡蠣が戦後にアメリカに輸出され、その後アメリカで養殖に成功した品種です。


日本国内では、牡蠣の出荷量は広島が最も多いのですが、種牡蠣としては宮城県産が病気に強く良質だということで、広島を含めて各地に出荷されて養殖されています。


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