パイロット不足になったのは、格安航空会社の相次ぐ参入によって運航数が増えて、それに伴ってパイロットの需要が高まったことが主な要因と言われています。
パイロットというのは、不足したからといって簡単に増やせるわけではありません。航空会社が自社でパイロットを養成する場合は、2年~2年半の訓練を経て副操縦士となり定期便の操縦桿を握ることになります。
更に、副操縦士として8年くらい乗務してから、機長になるための訓練を乗り越えてようやく機長になることができます。訓練を始めて機長になるまでは、10年以上の期間が必要となります。
下のグラフは、日本のパイロット出身構成です(データは平成25年1月1日時点)。
資料出所:「我が国における乗務員等に係る現状・課題」国土交通省
航空大学校と自社養成で全体の約4分の3を占めています。自社養成では、上記のように副操縦士となって乗務するまで2年以上かかり、それまでは全く利益に貢献しないのですが給料を支払わなければなりません。したがって多くの費用が掛かり、格安航空会社ではとてもではありませんがそんな余裕がなく、他の方法に頼らなくてはなりません。
また、ANAやJALの国内大手航空会社と格安航空会社のパイロットでは、年収で2倍ほどの差があるようですので、ANAやJALから転職させてくるというのはかなり難しくなっているようです。外国のパイロットの年収レベルは、日本の格安航空会社と同様に数百万円ですので、ANAやJALのパイロットの年収が異常に高いということになっています。
防衛省からの転職については、平成21年から平成26年3月までストップしていました。平成21年9月に当時の民主党政権が公務員の再就職を府省庁が斡旋することを禁止したことを受け、国土交通省が自衛隊パイロットの民間航空会社への転職を自粛していたからです。こんなところにも、民主党政権時の負の遺産が残っていました。
外国人パイロットは、待遇が良い航空会社が見つかればすぐに転職してしまうことから定着率が低く、今後も世界的にパイロットが不足する見込みなので、現在よりも確保が難しくなることが予想されます。
国内には約5,700人のパイロットがいると言われていますが、2022年には約7,000人が必要と予測されており、今後もパイロット不足の状況は続くことが予想されます。
日本国内のパイロットの年齢別分布では、30代後半と50代後半が他の年代に比べてかなり多くなっています。今後数年で50代後半のパイロットが定年を迎えて、退職者が多く出ることになります。上記のようなパイロットの賃金格差があると、今後も国内格安航空会社はパイロット不足に悩まされることが予想されます。
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