Rainy day:3(吉祥寺恋色:佐東一護) | ANOTHER DAYS

ANOTHER DAYS

「orangeeeendays/みかんの日々」復刻版

ボルテージ乙ゲーキャラの二次妄想小説中心です
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日々の出来事など。

before

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ザーーーー…


変わらず雨は降り続いている。私の背後で。そして目の前には


「え…。」


手を握っている、好きな人…。


いっちゃん…。


いっちゃんは身を起こし私をジッと見つめた。私の好きなあの優しく切ない眼差しで。


「…ねぇいっちゃん。」


今なら…答えてくれそうな気がした。


「…あの時、……」


時々 考えていた。


七夕の夜 私たちがあのままキスをしていたら今はどういう関係でいるんだろうって。


「…タコ公園で…」


あのままキスをしていたら


「…あの時……」


私たちは幼なじみじゃなくなっている。それでも良いのって、もし私と同じ気持ちなら


「…あの時…どうして…」

それが良いのって…。


ハッキリと言葉に出来ない私をいっちゃんは見つめ続ける。そして、


「…どうして?」


瞳を揺らす私にそう聞き返し、


「…分からねー?」


え…


ギュッと手に力を込めた。


「今したら分かるの。」


・・・・


七夕の夜は、続いてる。天の川は雨で見えないけど


「分かれよ。」


「いっちゃ…」


グイッと手を引かれた時 目眩がするほどこの瞬間に上気せて


あ…


勢いで肩先に手をついた時、もう私は、


コンコン


え…


もう私は…?!


「一護〜、***ちゃーん。」


え、マスター?!


ドン!!

ガチャ


「ひどい雨だから迎えに来たよー。」


いっちゃんを突き飛ばしたのと、マスターがドアを開けたのはほぼ同時


「よ、一護。いやぁ、***ちゃん、長靴持って来た。」


「え?!」


「臨時休業って聞いたけど帰ってこないから。あーサンダルかって。」


「…あー…。」


突き飛ばしてしまった…仰向けになったままのいっちゃんに睨まれる。だとしても私は、


「…あ、わざわざ??ごめんなさい、ハハ!」


頬は真っ赤でまともに顔を見れなくて、荷物をまとめ早々に


なんで今?この瞬間なの??


「いっちゃんごちそうさま!バイバイきん!」


バタン。


「ハァー〜〜…!」


マスターと階段を降りて。


マスター、過保護過ぎ!っていうかタイミング悪すぎ!!


・・・・


「雨、止んだ…。」


この日の雨は夕方まで降り続く。空が暗くなってやっと虫の鳴き声が聞こえ始めた。


「ハァ…。」


なんか…色々遠い。


抜け殻のような私 掴まれた手はまだ熱い。胸はいつまでもうるさい。


飾った写真 まともにいっちゃんの顔が見れない。


「…なんだったんだろ…。」


幼なじみの壁は高い…。


そんなことを感じてしまう雨の日だった。



★END★

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