ANOTHER DAYS

ANOTHER DAYS

「orangeeeendays/みかんの日々」復刻版

ボルテージ乙ゲーキャラの二次妄想小説中心です
吉恋一護 誓い大和 怪盗流輝 スイルム英介 お気に入り
日々の出来事など。


before

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それからのオレ達 客がいないことをいいことにマスターをガン詰めした。


「えええ…俺はなにも知らないぞ…!」


マスターは知らぬ存ぜぬを通そうとするがオレ達はしつこい。根負けし渋々話し始めた。


「その彼のことは以前から知っていたんだよ。」


「は。担任になって惚れたとかじゃないのか?」


剛史が前のめりになる。マスターは気まずそうにゆっくりと話し始めた。


「結果惚れちまうのは仕方がないというか…。」


***とその男の出会いは一昨年の夏らしい。夏祭りで***は携帯を落としてしまった。拾ったのがその男だ、友人の携帯から鳴らした自分の携帯にソイツは出た。


「年頃の女の子が夢見る出会い方だよなぁ。」


会話をしながら約束の場所に向かう二人。


頭上に上がる花火を観ながら 時折笑い話をしながら…雑踏のなか互いを捜した。まるで赤い糸を辿るように。


「彼の印象が相当良かったんだろうな。『すごく素敵な人だった』『連絡先を聞いておけば良かった』と当分話していたらしいから。」


そんな彼との思わぬ再会は翌年の春。入学式で教員席に座る彼を見つけた時、『運命かも!』と随分喜んだ。


「俺でも運命の相手だと思うよ。」


「かもね。」


相槌を打つ剛史。一護は腕を胸の前で組みマスターを冷めた目で見つめ続けている。


気分の良い話ではないよな。好きな子が別の男に恋する様子なんて。


「苦手科目の担当だったんだが、頑張って成績も上げて…委員会やら生徒会やらに立候補してさ、なんとか先生の目に留まるようにって頑張っていたらしいよ。」


***同様ソイツに惹かれる生徒は大勢いた。ルックスも生徒対応も全てがパーフェクト、卒業時には告白のラッシュ


「***ちゃんも卒業時に想いを告げると決めていたんだが…。告白をした卒業生が一貫して同じ理由を告げられたことを耳にしてさ。」


「…結婚してる、って?」


「ああ。『俺は既婚者だ。応えられない。』って。」


***は信じなかったらしい。家庭の匂いがしない、奥さんを見たことがない、絶対ウソ…。


「だが、自分の担任になって接することも多くなって…気持ちにブレーキが利かなくなった。期待もあったかもしれないよな…。」


マスターは大きくため息を吐きしんどそうに続けた。


「夏休み前三者面談の日、姉ちゃんが時間に遅れたんだ。面談室で二人きりになった。…そこで想いを告げた。」


その時の***の様子が想像できる。頬を真っ赤に染め今にも泣きそうな顔でやっとの思いで声にして…。


「で、他生徒と同じセリフでフラれたと。」


「ダル…。」


思わず声にしてしまったオレは…腹が立っていた。


「あまりにも落ち込んでいるから姉ちゃんが心配してな。」


いつまでもへこんでいる彼女を見るに見かねた姉ちゃんは、気分を変えてみたらとこの夏この街で過ごすことを提案した…か。


「ま、失恋なんて一度はするもんだよ。まだ若いんだ、すぐ乗り越えられる。」


「…。」


引越しなんて大げさだとマスターはブツブツ言う…オレ達はため息ひとつも出ないでいた。


ただ好きになっただけ…伝えただけ。それなのに、彼女の恋には無駄なものが多い。


運命の相手だと疑わなかった相手が担任であり既婚者であり…その雑音は想いまで強くさせた気さえし…。


「さっきの電話はあれ以来の接触だったから驚いたんだろ。きっともう切り替えてるよ。」


「…。」


一護はずっと難しい顔をしていた。コイツからすれば要らぬ情報だったろう。


むしろ聞かなければ良かったと思っているかもしれない。なぜなら、


「うーん…。」


…この話に、どうも引っかかることがあったからだ。


・・・・


「さっきの話、どう思う。」


どうもこうも…。


剛史は接客をしている***を見ながらオレ達に疑問をぶつけた。


「おかしくないか。」


「おかしいよ…。な、一護。」


「…。」


しばらくして***が部屋から降りてきた。目はまだ潤んでいたけれどなんでもない風を装って。


それまでオレ達、大した会話もせず考えちまっていたよな。マスターの話を何度も頭のなかで繰り返していた。


「なーんか引っかかるんだよな…。」


剛史が同意を求めるようにオレと一護に目を向ける。


オレはそれについて口にするか迷ったが、疑問を投げかけてきた剛史も無言で考え込んでいる一護も…オレと同じ引っかかりを感じているんだと伝わって、


「まぁどうでもいいことなんだけどね…。」


それだけを声にしたんだけど…。


「俺帰るわ。」


「え。」


その疑問をそのままに一護がすくっと立ち上がり帰ろうとするから


「え、一護…。」


オレと剛史は焦った。なぜなら…なんというか、もしかしてコイツは、


「お前まさかアイツに言うのかよ?」


…その引っかかった部分を***に伝えようとしてるんじゃないかと思ったからだ。


どうでもいいことなんだ。***がフラれたっていう結果は変わらないんだから。だけど話すのはやめておけとオレと剛史は念を送る。


「言う必要ないと思う。」


なぜならそれは下手すれば一護が自らの首を絞めることになるからだ。


「…。」


一護は肩で大きく息を吐き***に目を向けた。しばらく難しい顔のままでいたが、


「…分かんね。」


え、どっち…。


店を出ていく一護の背を見ながら思う。***にチラッと目線だけを向け颯爽と出ていくアイツの胸の内を。


「…葛藤してる?」


「してるな…。」


マスターの話を聞いて…オレ達、そして一護が感じた違和感


「で、だ。ハル、なんで担任はウソをついてると思う。」


「知らないよ。なにかしら事情があるんじゃないの。」


担任はウソをついている。既婚者じゃないと感じたことだった。



next

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