ぼく、動き回るから、お母さんたいへんだね。
よーくわかってるんだ。
お母さんを困らせるようなことばかりしてしまうよね。
お母さんはきれい好きだから、おうちをいつもきれいにしてるよね。
でも、ぼくが起きだした途端、たちまちおうちの中がグチャグチャになっちゃう。
べたべたしたおててで、いろんなものを触るし、踏んづけるし、こぼすし、割るし・・・
その度に、お母さん「あー、もうー」って、あわててぼくのこととっ捕まえるよね。
「あーあ」って言いながら後片付けしてるのを見て、「ごめんね」って思ってるんだよ。
わざとお母さんを困らせているわけじゃないんだ。
「つかめるかな」と思ってつかんだら、手がすべっちゃたり、「これくらいの力なら大丈夫」と思って投げたら、割れちゃったりね。
ぼくはね、今いろんなことをいっぱいして覚えないと、大きくなってから困るんだ。
ぼくが今やっていることは全部、ちゃんと生きていくための練習なんだ。
何一つ無駄なことはないんだよ。
きっと、お父さんやお母さんも子どもの頃、いまのぼくと同じだったと思うよ。
今度、おじいちゃんとおばあちゃんに聞いてみて。
だから、お父さんやお母さんは今、たくさんのことを知っているし、いろんなことができるんだよね。
ぼくのお友達はね、お母さんがおうちをきれいにしておきたいからって、何にも触らせてもらえないんだって。
だから、柵の中のおもちゃのことしか知らないんだよ。
「これ、かたいね」って言っても「かたいってなに?」 「あっちへ探検に行こう」って言っても「あっちってなに?」って聞かれちゃうんだ。
もっともぼく達の会話は、大人には聞こえないけどね。
ぼくたちは、3歳くらいになれば、やっていいことや悪いことがわかるようになるよ。
だから、それまでの間だけ、散らかすのを我慢してくれるとありがたいなあ。