外部環境に支配されない経営術:創造思考型 経営コンサルタント 中村文彦 -3ページ目

「噂の!東京マガジン」というTBSテレビの番組があるが、2012年4月1日の放送の中で『切って!切らないで!住民を悩ます見たことないヤシの木みたいな松』という現場レポートがあった。

問題になっているのは、静岡市安倍川沿いの56本の松並木である。

この松並木は徳川幕府時代に植林されたものだが、この松並木の伐採をめぐって、住民間で意見対立が発生しているらしい。



「切って欲しい」のは、この松並木の周辺に住む住民である。

松葉が頻繁に落ちてきて雨どいが詰まったり、枝が折れてきて瓦やアンテナが破損したりすることも度々だが、その修理費はすべて自己負担だという。

風の強い日には大きな枝が飛んでくることもあり、住民や通行人にあたったら大けがになる危険性もある。

これまで、行政に要望して何度か枝の伐採を行ってきたが被害は収まらず、とうとう全部伐採を要請せざるをえない状態になってしまった。



一方、「切らないで」欲しいのは、松並木を保存して欲しい市民団体である。

番組の取材を受けた市民には「子供の頃から馴染んできた松なので切らないで欲しい」という声が多かった。

周辺住民でさえも取材に対して、「被害を受けていない立場だったら、やはり切らないで欲しいと言う」と答えている。



番組を観たかぎりでは、残念ながら全部伐採せざるをえないと感じた。

周辺住民の感情としても「できれば全部伐採はしたくなかった」ようなので、結果的には誰も望まない決着に進みそうな状態である。



周辺住民からの要望でこの松並木の全部伐採を決めていた行政は、全部伐採を保留とし、両者の話しあいの決着を待つという状態である。

行政としては「この松は自然に生えたものであり、自分たちの管理外である」という認識がある。

「他の住民から反対意見があるなら自分たちとしては伐採することはできない。全部伐採するかどうかは住民どうしで決めてください。我々はその決定にしたがいます」

という姿勢である。



そもそもこの行政の姿勢や自分たちのミッションのとらえ方が、この問題を招いたもっとも本質的な原因であると私には思える。

この問題を少しでもポジティブに解決するには、行政が自分自身の在り方を書き換える必要があると考える。この問題を「創造思考型経営」の視点で論じてみたい。

(つづく)


創発戦略とは、経営トップと現場とが対話を重ねながらダイナミックに戦略を創造していく経営戦略策定と実行のスタイルです。


複雑で変化の激しい現代において、環境にフィットし実行される戦略は創発戦略をおいて他にありません。



現代の企業において、目まぐるしく変化する経営環境に適合した戦略を策定するのは、容易ではありません。


経営トップや経営企画部門が策定した公式計画的な戦略は、その実行段階において、必ずと言ってよいほど現実とのズレが発生してしまいます。



このような状況において、公式計画的な戦略が硬直化していると、企業活動は有効に機能しません。


経営トップが策定した戦略は実行されないか、実行されたとしても表面的でなおざりになってしまいます。


また、現実とのズレに関して、現場から経営トップに対するフィードバックがなされることもありません。



優秀な現場人材を有する企業においては、経営トップに明確な戦略がなくても、直面する経営環境に応じて現場が主体的に戦略を生み出している場合があります。


これを、創発戦略と呼んでいる人もいるかもしれません。


しかし、これは創発戦略ではありません。


経営トップが明確な経営戦略を打ち出さずに戦略的な意思決定を現場任せにしてしまっては、大局を見誤る危険性があります。


また、有効な戦略が生み出されたとしても、その活動と成果は限定的になってしまい、企業全体での組織学習が進みません。



創発戦略は、まず経営トップが自分自身の思いや未来に対する洞察を込めた戦略を力強く打ち出すことからスタートします。


経営トップの打ち出す戦略は、仮説であり、概念的です。


現場において戦略を実行することは、仮説の検証であり、概念を具体化することです。


その際に生まれるギャップや違和感、視点の違いこそが、新たな戦略を生み出す糧となります。



現場が自律的であれば、経営トップが打ち出した戦略は、実行段階において現実にフィットする形に変化されたり、実行段階で生み出された新たな戦略が付け加えられたりします。


そして、その内容は経営トップにフィードバックされ、対話を通じて公式計画的な経営戦略に反映されます。


その結果として、企業組織全体としての学習が進むことになります。


このような経営戦略の在り方が、創発戦略なのです。



創発戦略の中心には経営トップのリーダーシップがあります。


けっして、経営トップと現場との合議制で戦略を決定するのではありません。


経営トップは、対話の場を通じて、自分の思いやひらめきを現場に伝えるとともに現場の声に耳を傾けます。


結果的に、現場との意見の一致ができなくとも、最終的な判断は経営トップの役割です。


適切な対話が日常的になされていれば、意見の不一致があったとしても、戦略の意味は深く現場に理解されるので、その実行が表面的でなおざりになることはありません。


仮説としての公式計画的戦略は、継続的に現場によって検証され続けるのです。




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現在の国内企業を取り巻く外部環境は複雑さを増しています。


国内外の財政や政情不安、天災による悪影響、国際競争の激化、少子高齢化による国力低下等、不安要素をあげれば限りがありません。


経営者にとっては、先行きの見通しがきかず、自分ではコントロールできない外部環境の影響を大きく受ける時代となっています。


かつてこれ程までに、経営の舵取りが難しい時代は無かったのではないでしょうか。



しかし、経営者がその気になれば、外部環境に影響を受けることがあっても支配されない経営を実現することは可能です。


外部環境をコントロールすることはできなくとも、外部環境に影響を与え、変化させることはできるからです。


開かれた意志で自らの未来を創造し、外部環境に支配されない経営を実現することができるです。


そして、そのような経営を実現する在り方が「創造思考型経営」です。


創造思考型経営は、ユーザーや顧客の真のニーズは何かを常に考え探索しながら進む経営スタイルです。

複雑で変化の激しい時代においては、ユーザーや顧客が自分のニーズを正しく理解しているとは限りません。


求められるがままに、顕在的なニーズを満足させる製品やサービスを提供しても、それが相手の役に立つとは限らないのです。


言われるがままに製品やサービスを提供してさえいれば、当面の売り上げや利益を確保することはできるかもしれませんが、いずれ衰退に向かうことになります。



創造思考型経営においては「深く聴く、深く観る、深く考える、深く対話する」ことで潜在的なニーズを見つけ出し、より付加価値の高い製品やサービスを提供することを目指します。

創造思考型経営は、顧客や仲間との生成的な対話を通じて、ダイナミックに製品やサービスを生み出していく経営スタイルです。

アイデアを生み出すには、優秀な一人の頭脳から沈思黙考と醸成により生み出す方法と、複数の人々が集まっての対話等によりワイワイガヤガヤと生み出す方法があります。



創造思考型経営においては、チームの頭脳を集めてアイデアを生み出す方法を主に用います。


他者との会話を通じてひらめきを生み出し、そのアイデアを皆で発展改良することでよりチームとしての創造性を向上させます。


また、そのアイデアを自分たちのアイデアとすることでモチベーションを高め実現力を向上させます。

創造思考型経営は、人間中心の経営スタイルです。

提供する製品やサービスは、機能中心ではなく、人間中心の視点で生み出します。


その製品やサービスによってユーザや顧客の生活や仕事がどう変わるのかを考えます。


デザインするのは製品やサービスではなく、どのような変化を起こすかということです。


相手に共感することと観察することで未来を洞察し、ユーザーや顧客に感動を与えることを目的とします。

創造思考型経営は、全体システムからのアプローチを行います。

現代社会は、あらゆる要素が有機的に関係しあって複雑なシステムを形成しています。


たとえ小さな規模であっても、自分たちの活動や生み出した成果物が、社会全体や未来に大きな影響を及ぼす可能性があります。


創造思考型経営においては、全体システムに中で、自らが及ぼす影響を意識をはらい、より全体的な視点で物事を観ること心がけます。


そのために、異なる視点に立つことや異なる意見と対話することを大切にします。

創造思考型経営は、自分自身の常識やパターン等を常に見直す経営スタイルです。

人間には無限の可能性がありますが、その潜在能力を発揮させることは容易ではありません。


なぜなら、我々の中にある


「思い込み」
「間違った前提条件」
「役に立たなくなっているルールやノウハウ」
「染みついてしまった考え方や生き方のクセ」


等が、それを妨げるからです。



創造思考型経営においては、深い内省を習慣化し、このような「手放すべき過去の何か」に気づくことで「未来を拓く新しい何か」を迎え入れます。

創造思考型経営は、変化に対する迅速で柔軟な対応を重視する経営スタイルです。

現代は何が正解かわからない時代です。


中長期的なゴールや経営計画を策定しても、世の中の変化にあわなくなってしまいます。


また硬直化したゴールや計画に縛られることで創造性が発揮できなくなってしまう危険性があります。



創造思考型経営におけるゴールには適度な曖昧さがあり、ゴール自体を探索しながら進みます。


仮説と検証を繰り返し、状況に応じてゴールを変更します。


経営目標は、ノルマとしてではなく、チャレンジ精神と創造性を発揮させるための手段として設定します。

創造思考型経営は、他者とのコラボレーションを重要視するオープンな経営スタイルです。

自分たちが保有する資源だけで何かを成し遂げようとする閉じた経営ではなく、世の中にある多くの資源や才能との協働で価値を生み出すことを身上とします。


オープンなコミュニティや場への参加を通じて新たなテーマを発見し、そのテーマを進めるためのプロジェクトを創造します。

創造思考型経営は、ポジティビティ(自己肯定的な心の状態)が持つ力を重視する経営スタイルです。

人間の創造性は、「愛、喜び、愉快、誇り、感謝、興味、希望」といったポジティブ感情から生まれます。


ポジティビティが高い職場やプロジェクトからは、高い価値を生み出す創造性が発揮されます。



創造思考型経営においては、職場やプロジェクトにポジティビティ生み出すためのさまざな工夫や施策を講じます。



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