創発戦略とは、経営トップと現場とが対話を重ねながらダイナミックに戦略を創造していく経営戦略策定と実行のスタイルです。
複雑で変化の激しい現代において、環境にフィットし実行される戦略は創発戦略をおいて他にありません。
現代の企業において、目まぐるしく変化する経営環境に適合した戦略を策定するのは、容易ではありません。
経営トップや経営企画部門が策定した公式計画的な戦略は、その実行段階において、必ずと言ってよいほど現実とのズレが発生してしまいます。
このような状況において、公式計画的な戦略が硬直化していると、企業活動は有効に機能しません。
経営トップが策定した戦略は実行されないか、実行されたとしても表面的でなおざりになってしまいます。
また、現実とのズレに関して、現場から経営トップに対するフィードバックがなされることもありません。
優秀な現場人材を有する企業においては、経営トップに明確な戦略がなくても、直面する経営環境に応じて現場が主体的に戦略を生み出している場合があります。
これを、創発戦略と呼んでいる人もいるかもしれません。
しかし、これは創発戦略ではありません。
経営トップが明確な経営戦略を打ち出さずに戦略的な意思決定を現場任せにしてしまっては、大局を見誤る危険性があります。
また、有効な戦略が生み出されたとしても、その活動と成果は限定的になってしまい、企業全体での組織学習が進みません。
創発戦略は、まず経営トップが自分自身の思いや未来に対する洞察を込めた戦略を力強く打ち出すことからスタートします。
経営トップの打ち出す戦略は、仮説であり、概念的です。
現場において戦略を実行することは、仮説の検証であり、概念を具体化することです。
その際に生まれるギャップや違和感、視点の違いこそが、新たな戦略を生み出す糧となります。
現場が自律的であれば、経営トップが打ち出した戦略は、実行段階において現実にフィットする形に変化されたり、実行段階で生み出された新たな戦略が付け加えられたりします。
そして、その内容は経営トップにフィードバックされ、対話を通じて公式計画的な経営戦略に反映されます。
その結果として、企業組織全体としての学習が進むことになります。
このような経営戦略の在り方が、創発戦略なのです。
創発戦略の中心には経営トップのリーダーシップがあります。
けっして、経営トップと現場との合議制で戦略を決定するのではありません。
経営トップは、対話の場を通じて、自分の思いやひらめきを現場に伝えるとともに現場の声に耳を傾けます。
結果的に、現場との意見の一致ができなくとも、最終的な判断は経営トップの役割です。
適切な対話が日常的になされていれば、意見の不一致があったとしても、戦略の意味は深く現場に理解されるので、その実行が表面的でなおざりになることはありません。
仮説としての公式計画的戦略は、継続的に現場によって検証され続けるのです。