鳩待峠からアヤメ平を経て見晴(六月五日 | 俳句とお星様と山歩き

俳句とお星様と山歩き

俳句は、日々の散歩の頂きものです。お星様の話は、今は中断中です。山歩きは、主に奥多摩周辺が主です。2006年1月6日に開設したヤフーブログから移転してきました。よろしくお願い申し上げます。

 

友と尾瀬 へ出かける約束の前日、 急に腹痛がありこれは友に一人で行ってもらわねばと夜中の十一時頃に思って、また睡眠も取れずにいたら、二時過ぎにようやく熟睡して、途中寝汗があったが、二時間は熟睡出来、目覚めた時に、寝汗でその病気が回復した気がして、そのまま起きて出かける。友とは大宮の新幹線のホームで待ち合わせで、 高崎で新幹線を下車して、 沼田まで鈍行で行き、八時四十分発のバスに乗り込めば、 このバスは上毛高原からのバスなので尾瀬へ行く客で満杯であるが、 席の荷物をどけて席を作って頂きどうやら友と二人の席を確保して、尾瀬戸倉へと出発である。 バスの 乗車時間は一時間二十分で いささか長いが、 そこは皆さん我慢の子である。客はほとんどが尾瀬のハイキング 客で、団体と個人様々である。天気は良好で雨の気配はない。 尾瀬戸倉は十時過ぎに到着して、橋を渡って鳩待峠の連絡便の切符を購入して乗り込む。満杯になったライトバン三台で出発して森を見ながら、 渓流を見ながら、 新緑の色合いもブナの種類によって、 広葉樹の種類によって、色合いが全く異なる。 新緑と一口には言うが、 その色々な様々な色合いをそれぞれに楽しむのも一興である。オオカメノキの木の花は今時は、車内から見ても目立つものの一つであろう。卯の花のピンクの色合いも森の中ではよく目立つものの一つである。 真っ白い木の花は ウワミズザクラである。これも 森の中では今の時期多いものの一つである。 さて、 鳩待峠は十時四十分過ぎに到着して、友と二人で、すぐ昼食の場を確保して、昼食とする。 私はパン食、 友はおにぎりである。さあ、十一時である。 登山口へと行こう。 アヤメ平への道は、 鳩待通りと呼ばれている。中原山が一番標高が高くて千九百六十八メートルである。その中原山の向こうにアヤメ平がある。 従って、なだらかに山道を登っていく感じである。 ブナの森の息吹の中をオオカメノキの真っ白な花を見ながら行けば、 登山道である木道の脇に出てくるのはコミヤマカタバミである。群生とまではいかないが、ポツリポツリと見られるが、一番美しいなと感じさせてくれるのは、苔の中に咲いているコミヤマカタバミであろう。 文句なしに美しい。白い小さな花が恥じらうように咲いているのである。それにしては全開している花は少ない。木道や泥混じりの道の森の中を登ってゆくと、一番最初に現れるのが 横田代という湿原である。その湿原の入口あたりに水芭蕉の群落が見られる。 尾瀬ヶ原の水芭蕉はほぼ終わっているようだが、 ここ横田代は今が盛りで、まだ大中小のとても品性が感じられるものが多い、 それが特徴ではないだろうか。ワタスゲは綿のあり様が今一貧弱な感じではあるが、一応見ることが出来る。横田代であるが、アヤメ平で一番初めてに出会う湿原であるので、 やはり驚きと感動がある。湿原そのものにである。湿原の上にいきなり空があり、湿原に空が続いているという幻想を抱かせてくれる。それが高層湿原の特徴でもあるだろう。なんという伸びやかさであろうか。 リンドウもたくさん咲いているが、今の時期タテヤマリンドウであり、 今の時期多いもののひとつだろう。ショウジョウバカマも群生しているとまではいかないが、木造の脇にちらほらと散見する。チングルマの黄色はとても印象的であり、 木 道の隙間を埋めていたり、木道に沿っていたりと数も多い。ヒメシャクナゲも湿原に色を添えているものの一つで、 とても美しい。ヒメイワカガミも数は多くはないが、見るもののひとつであり、 この花たちはアヤメ平も植生は同一に違いない。横田代からは至仏山の 残雪が見え、 百名山の平ケ岳も見え、 日光の山々も遠望する。湿原にはベンチも 設けてあるので、 そこでゆっくりと休憩をして大景を楽しむのも一興である。 さて、 まっすぐに登っていけば 中原山の頂上へと至る。まるで通過点のような頂上であるところが 面白い。 そこを下って行けばアヤメ平で、天空の楽園へと足を踏み入れた感じがする。 ここは燧ヶ岳が嫌というほど圧倒的な存在感を示しているところが素晴らしい。 天上の楽園を燧ヶ岳が統べているような感じがするのである。 書き忘れたが、ミツバオーレンもよく見ることの多い花の一つである。雪解けを象徴する花の様にも私には思われるが、ここでは実に普通に咲いている。アヤメ平自体の展望とアヤメ平を取り巻く展望の素晴らしさ、 そして、木道を進む 都度に変化して展開する景の宜しさ、 全く素晴しいとしか言いようがない。さて、アヤメ平を下り行く途中で、苔の中に咲く素晴らしく美しいミツバオーレンを発見する。 何という 美しさ。前日の雨滴もまた輝いている。さて先を急ごう。高層湿原の最後のひとつセン沢田代である。小湿原でありながら、池塘に映る燧ヶ岳と白雲、森林の姿は誠に見事としか言いようがない。吾が眼には、くっきりとは見えないが、写真に撮ると燧ヶ岳も森も空も鮮明に池塘の水面が映している。なんという美しさ。 そこで しばし、 休憩をして、後は一目散に下山である。雪渓は残っているが、 木道にはもう雪がないので安心して下山できる。軽アイゼンを持ってこなくて良かったと思う瞬間である。オオカメノキの木の花を見ながら降りよう、 木道以外の泥状のところもあるが、 木道が多い。 それは土場を越えてからも長い木道がある。長沢の標示が出た辺りであったろうか、ムラサキヤシオツツジの一木と出会う。 白ヤシオ 赤ヤシオとも違う。ムラサキヤシオツツジの質感と色合いの素晴らしさに魅了されるばかりで、しばしカメラに収めて、また、 下山途中のムラサキヤシオツツジを楽しみながら下山しよう。そうそう、ミヤマスミレも愛しみつつ、 下山しようではないか。 瀬の音が聞こえて、木橋を渡り、巨木の森を行けば、 水芭蕉の大きな花と葉が現れる。尾瀬ヶ原に到着である。至仏山の姿を写真に収めて、チングルマをタテヤマリンドウをヒメシャクナゲを見ながら、 竜宮を越えて、今日の宿である燧小屋へと行こう。今日は五時間強の山歩きでした。 何とか体調が持ちました。

 ありがとう、アヤメ平。

 ありがとう、友よ。