風船の工房まちに白紫陽花
そろそろ泣きそうな空になってきました。
曇天の日の昼顔の笑顔かな
昼顔や眉くつきり描きあり
白薔薇や道を隔てて保育園
洋館の真白き窓辺山帽子
白壁に真紅の薔薇の一樹かな
カルミアや人住まぬ窓閉ざされて
飛火するやうに咲きをる芥子の花
固まりてみな軽々と小判草
緑陰に長椅子置かれ鳥の声
蕾はも天へと伸びて立葵
遊具みな原色なりて街薄暑
自転車で来る公園や青葉光
倒れては起き上がる子や青葉光
緑蔭にスポーツ新聞広げをり
文庫本開ける人や青葉光
群なさずにをれぬ人間紫蘭咲く
立葵まるで喇叭を吹くやうに
家々にテレビ受信機立葵
背を正しま向かふ人や立葵
立葵伝ふることの大かりぬ
葉桜や車の中でとる昼餉
添へ木みな整然として茄子の花
曇天の空低き日や茄子の花
青楓森の精かと思ふほど
濃緑や枝々魔女の手のごとく
卯の花や小流れ昏き水面なり
夏鳥の声くぐりゆく森の径
新緑の色様々な森をゆく
桑の実の土橋に潰れをりにけり