矢川湿原の蛍袋 | 俳句とお星様と山歩き

俳句とお星様と山歩き

俳句は、日々の散歩の頂きものです。お星様の話は、今は中断中です。山歩きは、主に奥多摩周辺が主です。2006年1月6日に開設したヤフーブログから移転してきました。よろしくお願い申し上げます。

 

青梅や名のみが残る山の城

 

午後になって、時にかなり強い雨となりました。

 

視野ぐいと狭めてをりぬ梅雨曇り

南天の花や垣根を突き上げして

昼顔を支へてをりし垣根かな

曇天の日をあざやかに花柘榴

曇天にある静謐や花柘榴

花柘榴空へくつきり滲みをり

葉が抱く闇の深さよ花柘榴

夏蝶のまとはりてくる園の道

夕顔の待ちくたびれること知らず

夕顔に昼闇ほのと忍び寄る

貸畑垣根の上に茂る草

ひと鉢の紫陽花の毱数知れぬ

湿原を涼しき風の渡りくる

木道の濡れおさまらぬ梅雨晴れ間

蛍袋水面の調べ聞きをりぬ

蛍袋夜こそ灯れ水の辺に

十薬のどこまで伸びるつもりかな

草茂る森の息継ぎ激しかり

林床は風湧くところ山紫陽花

額の花水辺に沿へる小径かな

学校のチャイム聞きをる銭葵

青柿や赤線といふ里の道

ひとつ家にひとつ橋あり濃紫陽花

約束のあるかに増ゆる薮枯らし

栗の花縄文土器の出土の地

栗の花天へたつぷり嗅がせをり

縄文の頃の青空栗の花

赤煉瓦敷ける小径や夏椿

夏萩やどこからかして水の音

夏萩の奔放に伸ぶ小径かな

木下闇空気の濃ゆきところかな

枇杷の実の樹より弾丸なせる鳥

紫陽花や城山といふ小暗がり

真つ直ぐてふさまざまな線植田かな

梅雨雲を押し返しをる神楽殿