ビル街を一羽の烏花水木
思ったよりは、黄砂が少ない気がしますが、花粉症には刺激が強過ぎます。
芽吹く樹々玻璃の向かうで会議せり
嬰児のやうな空とも若葉風
新緑の色引き寄せてゐる瞳
花水木客誰もゐぬドッグラン
新緑へ見開きてゐる瞳かな
青野ゆく手を離さざる二人かな
林間に人の気配や花水木
鶯や野草の小径手を繋ぎ
積乱雲みたひに伸びて花水木
葉桜や老木なほも華やげり
昼の空清し満天星躑躅かな
片隅に追ひ詰められて諸葛菜
岸壁へ怒涛逆巻く立浪草
風のなき日も高みへと立浪草
立浪草荒波寄せぬアスファルト
鈴蘭の音を蔵してをりし庭
鈴蘭やひそかに高きシャッター音
春蘭に秘めたる祈りありにけり
春蘭と眼差しの似て観世音
青麦の何処かで迷ふ吾が魂
たんぽぽの首なく芝にねまりをり
残花かな眠けを誘ふ水車小屋
新緑や小流れに沿ふ里の道
新緑を盛り上げてゐる山の風
八重桜鎮守の杜を背にしたる
紅白の躑躅に埋まる長屋門
蔵の空重くしたるよ八重桜
小手毬の揺れて神棚ありし部屋
新緑より蔵の白壁眩しけり
笹分けて奥へ奥へと春の鳥