日を垂らす枝垂桜の紅葉かな
こちらは、これから雨のような感じですね。
冬の蝶ひと筋の道あるごとく
日と風のなすがままなる枯尾花
母と子の落葉の道を弾みゆく
八の字の富士の稜線蔦紅葉
落葉道日の斑に弾みゆきにけり
葉はすべて枯れを尽くしてミニトマト
切つ先を競ひをる葱貸畑
寒菊に宿るひかりの白さかな
冬菊に深き陰翳ありにけり
ひと叢の終の棲家や冬の蝶
背広着て立ちてをりしよ葱畑
一本葱刃鋭く天へ向く
貸畑大葱小葱それぞれに
葱ぴんと天へと反りてをりにけり
湿原の及ぶ限りの枯尾花
枯尾花天の明かりとなりにけり
青空を映して冬の水面かな
水鳥の静かに地球蹴りにけり
湿原の黒き水面を冬の鳥
枯柳風が運んでゆきにけり
うねりつつ空と遊べる枯柳
木道が二つに分けて草紅葉
木道の動かぬ冬の蜻蛉かな
石垣に寝転びてをり穴まどひ
小流れへ黄葉の一枝垂れてをり
鴨の居るところに架かる土橋かな
追憶のやうに落葉の小径かな
夕暮れにひと声入れて冬鴉
そつぽ向きトントントンと冬鴉
斎場を知つてゐるかに冬鴉