診断を待つ間の桜紅葉かな 山塊の岩が足場や昼の月 松姫の名の付く峠烏瓜 肝心のことを忘れてそぞろ寒 目裏の寒風山や今年米 ひと渓の村を狭めて秋の雨 眉毛はも雨だれとなり霧の中 草木のうなだれてをり露の朝 どんぶりのとろろ飯まず出されけり 豊年の金融危機の見出しかな 竹林の七賢人の菊枕 絡まりて絡まりて空蔦紅葉 蛇行してうねる川波崩れ簗 樹々も地も渓流もみな照葉かな 黄葉や石垣高き漁師町 柿紅葉歯のなき老婆笑ひをり