秋の雨弾きし鞭や競馬場 昼の月世間話となりにけり なにごともなにごともなく刈田かな どぶろくは酸い教訓は苦かりし 秋の波結ばれ難き二人かな 新藁の褥の中に埋もれけり 定住は安息に似て鳥渡る 牛蒡引く土や関東ローム層 豊年のお預け徳利なりしかな 唐辛子夜這の風習ありし里 夕焼の飛行機雲に及ぶ秋 鶏頭の炎を立てて尽きにけり 二三片欠けて程よき野菊かな 竜胆の唯我独尊なりし向き 深海で出会ひし記憶竹の花 手の内に山河を置きて花芒