気管支ぜん息
発症する原因
アレルギー性鼻炎は、ヒスタミンなどの物質が鼻の粘膜などを刺激して現われる病気ですが、これらの化学物質が気管支を刺激して症状が現われるのが気管支ぜん息です。
アレルゲンが体内に入ってきて、ヒスタミンなどの化学伝達物質が遊離するメカニズムは以前に述べた通りですが、このヒスタミンは平滑筋という内臓の筋肉を収縮させ、血管を広げる作用があります。
気管のまわりにある筋肉は平滑筋ですから、ヒスタミンが気管を刺激すると筋肉が収縮して気道が狭くなります。
さらに、化学伝達物質は粘膜をむくませたり粘液を増やして痰(たん)をつくったりします。
こうした結果、ぜん息特有の呼吸困難の症状が起きるわけです。
もともとぜん息そのものは、かなり古くから知られた病気です。
紀元前1550年ごろに書かれた古代エジプトのパピルスには、マンダラゲという薬草を焼いてそのにおいを嗅ぐと ぜん息の発作がおさまるとあり、東洋でも中国最古の医学書『素問(そもん)』や『霊枢(れいすう)』にぜん息のことが書かれているとあります。
もっとも、ぜん息とアレルギーが深い関係にあることが分かったのは今世紀に入ってからのこと。1906年、ブラックレーというイギリスの学者が、花粉を吸うとぜん息発作が起こることを実証したのが最初です。