clouds ― 友人のこと
数年前の年明けすぐだった
私を慕ってくれていた友人が
亡くなったことを想いだす
自分で命を絶ったのだ
指先を少しばかり切っただけで
大騒ぎするような気の弱いやつだった
だが反面 人のことをわが身のように
一喜一憂できる もの珍しい愛すべき友人だった
なぜそんなに死に急がねばならなかったのか
死のうと思えば いつだって出来ることだ
地球の一生
宇宙の一生のなかで
ほんの ほんの少しばかりの一瞬
それくらいのわずかな時間
たとえ絶望しながらでも生きていけるではないか
たった一瞬を我慢するだけでよい
たった一度の やり直しや繰り返しの無い人生
どんなに苦しくても辛くても
どんなに惨めでも 生きてさえいたら
それだけでとても素晴しい事ではないか
苦しみも辛さも悲しみも
生きていればこその感情
たった一瞬の命の中で感じられる事を
精一杯感じ尽くし
命果てるまで生きたって
大した差は無いではないか
どうしてもう少し生きていてくれなかったのか
どうして彼の苦悩に気づけなかったのか
どうして誰にも何も言ってはくれなかったのか
どうして彼が自分に刃を向けねばならなかったのか
それを止められなかった自分を
今でも許せないのだ
正直わたしは生まれ変わりというものは
無いと思っている
だが
もしもあと1度だけ生まれ変われることが出来るならば
彼には鳥になって欲しい
人間は 彼には辛すぎた
大空を自由に飛び回るのが彼には合っている
そして時々
私の家の庭でさえずってくれたらそれでいい
Mozart - Ave verum corpus
モーツァルトのアヴェ・ヴェルム・コルプス
聖体聖歌
アインシュタインが
モーツァルトの音楽は宇宙にかつてから存在していて
彼の手で発見されるのを待っていたかのように
純粋だと評価していたそうだ
正直 合唱曲は興味が無かったが
この曲で好きになった
生まれてから受難に至るまでの救い主が
この短い曲に音楽的にも凝縮され表現されている
ここ最近どろどろした世界にいたので
耳に染み入る
