「それぞれ」・「どちらも」

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「先生、はい。」

そう言って、
課題のプリントを私に預けに来たのは
Y君です。

入塾して1か月目。
ただいま小学5年生。

低学年期から、
ずっとこの調子で、
親御様も思いあぐね、
いろいろと試されたそうですが、

 

如何せん、
「この調子」の原因が特定できない、
ということで、
塾生さんのご紹介で
来て下さったのです。

どんな「調子」なのかというと、
こんな感じなんですね。


*****************

1個45円のおかしと
1個60円のおかしを
それぞれ5個買うと
ぜんぶで何円になりますか。

45+60×5=345

*****************

1個180円のシュークリームと
1本100円のジュースを
どちらも4人分買いました。
ぜんぶで何円になりますか。

180+100×4=580

*****************


3桁どうし、4桁どうしの
足し算や引き算の筆算はOK。

ただ、このような数式に出くわすと、


5+5×120÷10=22

と、答えているのです。

でも、正解を導き出せている数式も
あるのです。

なので、
理解できていないわけでは
ないのですね。

だからこそ、
親御さんが原因を突き
止められないのです。

そこで、もっとも手近に探れる、
いわゆる、
原因究明の切り口というのか
糸口にしやすいのは、

「計算の決まり」という単元の
数式なのです。

5+5×120÷10

このタイプの計算式に類似したものが
連続する形で構成されている
課題プリントをしてもらったら、

この思考回路を持つ子がする
独特の間違い方をしました。

つまり、同じような問題なのに、
初めのうちは正解を導き出していて、
3問目か4問目になると
ダッチロールを始めるのですね。

本来なら真っ直ぐに
安定して飛行するはずのものが、
突然、妙に不安定になり
蛇行を始めたような感じに
なるのです。

「1番と2番の問題は合ってて、
 おんなじような問題やのに、
 ナンで3番4番と進むうちに
 間違うんやろ?
 この子の頭の中、
 どないなってるんやろ?」

親御様からすれば、
わが子のすることと言えども、
不可解で仕方がない。

 

一種のゲシュタルト崩壊を

起こすのが原因です。

 

で、これをおこさせる根っこは、

「だいたい、このラインやろ」

という、Y君自身の

物事に対する捉え方にあります。

 

Y君、おそらく、今までに

「だいたいこのライン」で

正解して、

それが40点か60点か、

はたまた80点かは

定かにあらずですが、

テストでなにがしかの点数を

取れた経験があるのでしょう。

 

「だいたいこのラインで、

 このラインの点数が取れるんか」

 

というような、

Y君独自の「方程式」めいたモノが

潜在的に出来てしまっている

可能性があります。

 

で、国語の様子を見てみますと、
「やっぱりな・・・!」なのです。

漢字の練習プリントの結果を診ても、
ひらがなの右横に
漢字(二字熟語)を書く

問題について、
一字は同じ漢字を使う問題が
3問連続すると、

大抵の場合、
3問目で「漢字を変身させて」
間違っているのですね。

あるいは、

「次のひらがなを
 漢字になおしなさい。
 ただし、送りがなが必要な場合は
 書きなさい。」

という場合、
ほぼ「必ず」といえるほど、
送り仮名は書いていません。

そこで、
「送り仮名って知ってる?」
と問うと、
「知ってる」と即答。

「問題、よ~く読んでごらんよ」

ちょっと間を置いて、

「あ・・・」

で、「だいたいこのライン」という

思考回路の子に多い
台詞があるのですが、
これまた判をついたよう。


「あ、そうか」

勉強のできない子、
勉強をしない子、
理解の浅い子ほど
「あ、そうか」が多い。


「あ、そうか~」
「あ、そうやったわ~!」

反射的に言っているだけで、

どこをどない
間違(まちご)うたんか、
何が原因でこないなったんか、
てんで突き止めんと、

しかも、

突き止めようという気すら感じられない

「あ、そうか」とか、「あ、そうやった」。

ナニが「そう」なん?
ナニが「そうやった」ん?

ツッコミどころ満載でっせ。

 

 

 

話を初めに戻しますね。


*****************

1個45円のおかしと
1個60円のおかしを
それぞれ5個買うと
ぜんぶで何円になりますか。

45+60×5=345

*****************

1個180円のシュークリームと
1本100円のジュースを
どちらも4人分買いました。
ぜんぶで何円になりますか。

180+100×4=580

*****************



Y君の解答を診ると、
ある共通する部分が見えてきます。

「それぞれ」と「どちらも」。

この意味が分かっていないのです。

いえいえ。
この言葉自体の意味は
分かっている場合が大抵です。

でも、意味を理解できていない。

言葉には、大きく分けて
2つの意味があるのです。

言葉自体の意味は言わずもがな。

もうひとつは、
この言葉が置かれている意味です。
つまり、この言葉が文の中で
どのように生かされているのかという
意味合いです。

分かっていないのは
「意味合い」の方です。

つまり、ナンでこの言葉が
ここにあるのかということ。

「それぞれ」も「どちらも」も、
言葉こそ違いますが、
意味合いは同じです。

「2つのものを1セットにして
 5個(4人分)買う」

ここに結びつけられないのです。

これ、何が原因なのでしょうか?


・・・親御様との面談の際に、
こういう糸口から、
お子様の頭の中を探索し、
解析しながらお話を進めてゆきます。

親御様にとって、
もちろん今よりも勉強が
できるようになって欲しい。
せやから(そうだから)、
塾に通わせようと思わはったんです。

でも、塾やねんやから、
そんなん当たり前です。

そんな、当たり前のことしたって
しゃーないわけです。


どこの塾さんでもしてはることを

おんなじようにしたところで

ナンのアピールにもならんし、

 

おんなじ土俵で

差別化なんぞとほざいている時点で

親御様の目線からすれば、

アウトです。

だって、飲食店さんが
お客様においしい料理を提供するのと
おんなじことですから。

大事なんは、
ご相談事の向こう側にある、

親御様がホンマに望んではること。

親御様のお話を伺うときが、
私の頭の中にある
「隙間」検索ロボットの
稼働開始どき。

大変な頭脳作業ではありますが、
大変な分だけ、ありがたいのです。

 

その子が理解できていない根っこ。

 

この根っこは、

今は理解が

できていない所だけれど、

ここを「治療」すれば、

そのまんま、この子の伸び代になる。

 

キラリと光る試金石。

 

「隙間」は、お子さんが

まだまだ伸びる

可能性を秘めた試金石が、

親御様と私とに見つけられるのを

ずっと待っている場所なのです。

 

さぞや

待ちわびていることでしょう。

 

もう待たせては

いられませんね。

 

 

 

 

 

 

 

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