数十年前の話。
ある社長が、社員と一緒に倉庫で作業をしていた。
夜も遅くなったため、作業を中止し、全員で帰宅。
でも、その後、社長だけ倉庫に戻り、黙々と作業をしていると。
「社長、そりゃないっすよ。」
そんな声と共に社員も戻ってきて、黙々と一緒に作業を始める。
社員は、作業が終わっていないこともわかっており、社長も帰宅するふりをしていたこともわかっていた。
ドラマの中の話だけかと思いきや、実際にあった話だ。
自分は、こういう心意気が大好きだ。
こんな空気感で共に仕事に取り組んでいくことは、大変な反面、とても愉しいように思う。
ここには、権利意識も義務意識もなく、単に熱い心意気だけだ。
シンプルな中にこそ、本来的な人間の姿があるように思う。
権利を主張し、義務を履行しなければペナルティー、非難がついてまわる。
そんなこと当たり前じゃないかと思う人が大半かと思うが、そんな社会は渇きすぎて僕は嫌だ。
そもそも、人間はウワベの理屈では動かない。
熱量のみだ。
世の中、渇いた屁理屈がまかりとおっている。
本音ではなく、キレイな建前論ばかりが主張される。
泥水が汚いといってきれいな水に替えようとする。
きれいな水に替えれば、蓮の花はどうなってしまうのだろう?