◆2026(令和8)年5月31日(日) 曇のち晴
昨年11月23日に実施した「探訪あいち 桑名観光サイクリング」に続き、2回目の桑名です。
今回はズバリ、「六華苑と諸戸氏庭園」のタイトルとしました。
昨秋と同様、桑名歴史案内人(観光ボランティア)の方にガイドしてもらいます。
なお、今回の実施レポートでは、前回記載した内容と重複するところは省略していますので、前回レポートと併せて読んでいただくと、六華苑と諸戸氏庭園の様子がよりわかるかと思います。
本日は晴で暑くなる予報でしたが曇り空。サイクリングに最適の日和です。
午前8時25分、集合場所のあおなみ線荒子川公園駅前を参加者7人でスタート。
河合小橋までは「明治の東海道(前ヶ須街道)」を走り、県道70号名古屋十四山線経由で弥富市へ。ひので公園にて休憩。
国道1号の尾張大橋(木曽川)と伊勢大橋(揖斐長良川)は、車道の幅が狭く交通量が多いので安全のため歩道を走ります。その歩道も路面が悪く、特に伊勢大橋は凹凸が大きく、ゆっくりペダルを漕ぎます。伊勢大橋のすぐ下流側では、新しい橋の建設が進められています。いつも渋滞する橋ですので、早く完成してほしいですが、まだ10年以上かかるのではないでしょうか。
午前10時前、六華苑に到着。自転車は川沿いの七里の渡し公園駐車場に停めました。
ここからは桑名歴史案内人の有竹さんにガイドしてもらいます。
有竹さんは私と同い年で、勤務先が同じでした。現役時代は職場の陸上クラブに入っていた仲です。ガイド歴5年目になるとのこと。
六華苑(460円)と諸戸氏庭園(500円)の共通チケットを利用すると、2つの施設が750円で見学できます。
六華苑は、桑名の実業家だった二代目諸戸清六(もろとせいろく)の邸宅として大正2年(1913年)に完成しました。設計したのはイギリス人建築家ジョサイア・コンドル氏。彼の建築作品は鹿鳴館を始め東京と神奈川県内に集中していたため、関東大震災や戦災等により現存する作品は非常に少なくなっています。六華苑は、地方に唯一現存するコンドル氏の住宅作品となりました。
桑名市は平成3年(1991年)に土地を取得し、建物は諸戸家からの寄贈を受け、整備工事の後、平成5年に「六華苑」として一般公開しました。洋館および和館は平成9年(1997年)に国の重要文化財に、蔵などの6棟が三重県の有形文化財に指定されています。また庭園は、平成13年(2001年)に国の名勝に指定されました。
「六華苑」の名称は公募により決まりました。「六」は「諸戸清六」の名から、「華」は「九華公園」から取ったそうです。
ちなみに、「九華公園」という名称は、中国に九華扇という扇があり、桑名城の通称が扇城であることによります。また、九華は「くはな(くわな)」と読むことができ、江戸時代には桑名を表すものとして使用されました。
洋館1階の玄関の床タイルはイギリス製だとのこと。ステンドガラスは空襲で割れてしまったため、残っていたモノクロ写真を参考に復元しました。色は推測だそう。
館内のガラスも当時のものは波打っていますが、復元されたものは平らです。当時のものを今は作れないからです。
各部屋に置いてあるアンティークな調度品は、ほとんどが当時のものではなく、市役所が購入したものだそう。
六華苑は築110年以上経ち、現在、建造物保存修理事業の事前調査中です。壁や床の一部が剥がされていました。当時使用されていた照明のスイッチなどの古い部材や装飾品も展示されていました。令和9年度から耐震補強・修理工事が行われ、5年ほど見学できなくなる予定です。
六華苑は貴重な大正時代の建物ですので、ロケ地にもなっています。
映画『わたしの幸せな結婚』(2023年)で、Snow Manの目黒蓮さんや女優の今田美桜さんが、2019年のNHK大河ドラマ『いだてん』で、中村勘九郎さんや役所広司さんが、ここに来て撮影されました。
また、結婚式の前撮りにも利用されます。ちょうど、和館の方で文金高島田の花嫁さんがいました。洋館の方でウエディングドレスでの撮影もできますので、洋装・和装の両方が一か所でできるのです。苑内にあるレストラン『Rocca』で披露宴を行うカップルもいるそうです。
本日は日曜日とあって、見学者が多く、またボランティアガイドの方も多数活躍されていました。
有竹さんによると、五十数名のボランティアガイドの方がいるそうです。研修も行われ、名古屋市の文化のみち二葉館、豊田佐助邸、爲三郎記念館(旧古川為三郎邸)などを見学したこともあるとのこと。
六華苑は名古屋の覚王山にある「揚輝荘(ようきそう)」に似ているところがあるので、彼に紹介しました。揚輝荘は松坂屋の初代社長である伊藤次郎左衛門祐民(すけたみ)の別荘だったところで、聴松閣(ちょうしょうかく)という邸宅や立派な庭園があります。
また、熱中症対策のため7月から9月の夏期は屋内のガイドだけになるそうです。愛知県サイクリング協会では、暑さ指数(WBGT:Wet Bulb Globe Temperature)等による活動制限などはありませんが、私自身は8月と9月上旬は探訪あいちは企画しないようにしています。7月も何らかのイベントに合わせた企画でない限り避けるようにしています。
六華苑を出て、七里の渡し公園の中を歩いて、諸戸氏庭園に移動します。
諸戸氏庭園入口の横には、レンガ造りの3つの蔵があります。
道を挟んだ先に水路があり、昔は上流地域で生産された材木や米が川を伝って運ばれ、ここで集積されていたそうです。この蔵は米の貯蔵庫でした。太平洋戦争前までは5つの蔵が連なっていましたが、2つは戦災で失われたとのこと。現在修復作業中で足場などで覆われています。
六華苑は四季を通じて入苑できますが、諸戸氏庭園は春と秋に期間を限って公開されます。今年の春の一般公開期間は4月25日(土)~6月14日(日)で、今回の探訪あいちも、この期間に合わせて実施した次第です。
案内リーフレットの表紙にも描かれているとおり、春の時期は、藤の花、菖蒲の花が咲きます。
諸戸氏庭園は初代諸戸清六、六華苑は二代諸戸清六(初代の息子)の邸宅でした。
入園は本邸(主屋)から。本邸は明治22年(1889年)頃に建てられました。平成10年まで実際に商売が行われていました。130年以上前の建物ですので、目立たないように鉄骨の柱や支えの鉄棒などで耐震補強がなされていました。
文化財を保存・維持していくには、大変な手間と経費がかかることを改めて実感します。
御殿玄関は関係者以外立ち入り禁止となっています。木材の濃淡を生かした精巧な寄木細工張りの床なので、もし壊れた場合、今はもう修繕できる職人がいないからです。
庭園に入ると、鮮やかな青もみじと苔むした一面の緑が目に飛び込んできました。昨秋は紅葉が美しかったので、同じ場所でもこんなにも景色が変わるものかと感動します。
そして、「推敲亭(すいこうてい)」からは菖蒲池が広がって見えました。
花菖蒲は4~5割ほどの開花状況でしょうか。花菖蒲と聞いて思い浮かぶのは紫色の花。この菖蒲池には、紫色のほか、斑入りや白、クリーム色の花菖蒲も見られました。数え方にもよりますが、約8千株あるそうです。菖蒲池には雪見灯籠や切石による八ッ橋があり、菖蒲が満開になれば、より一層美しい景色になることでしょう。
ガイドさんが菖蒲と杜若(かきつばた)の違いを教えてくれました。
花びらの付け根を見たときに、黄色い模様が入っているなら菖蒲、白い筋が通っているなら杜若だそう。
「藤茶屋」は江戸時代に藩主が藤を愛でるために立ち寄ったといわれます。正面から奥にすぼまっている部屋の形から「扇の間」ともいわれます。ゴールデンウィークに来れば、きれいな藤棚が見られたでしょう。
御殿広間の前に立つと、目の前に池泉庭園が望めます。諸戸清六が自前で引いた噴水と琵琶湖の風景を織りなしていて、竹生島(ちくぶしま)に見立てた岩島を据えています。大隈重信など、おなじみの政治家も訪れたそうです。広間に招かれた明治の賓客達と、同じ景色を楽しむと、自分たちも賓客になったような気持ちに。
庭園は、どこを切ってもフォトジェニック。写真撮影する人が多いのもうなずけます。
あっという間に2時間が過ぎ、お昼12時になってしまいました。
桑名歴史案内人の有竹さん、わかりやすいガイド、ありがとうございました。
さて、昼食場所に自転車で移動します。
旧東海道中には「七里の渡跡」があり、大鳥居が立っています。江戸方面から伊勢詣でをする際は、熱田から海を渡り、このあたりに船が着いていました。ここから伊勢路に入ることから「伊勢の国一の鳥居」と称されています。
第一候補である旧東海道沿いの『歌行燈』に行ってみると、30分待ちの案内。次の『川市』も入店待ちのお客さんがいて時間がかかりそう。3件目の『満る岩(まるいわ)』に入店しました。
ちょうど座敷が空いていて、7人が座れました。店頭看板に「うどん」と書いてあるとおり、うどんがメインで、ほかに丼物、蕎麦、中華そばなどがありました。
店内は昔ながらのうどん屋さんという雰囲気。古いおかもちが並んでいました。
私は天丼を注文。エビが2本、ピーマン、サツマイモ、海苔の天ぷらが載って、たっぷりの具の入った味噌汁と漬物もついています。タレも自分好みの味で、エビはきちんと下処理されているようで尻尾まで美味しくいただきました。これで税込み800円は破格の安さといえましょう。
他のメニューもリーズナブルで、ほとんどが千円以下です。物価高騰のご時世にありがたいことです。
ただ、提供までに40分も待たされたのが玉に瑕。老夫婦2人で切り盛りしているようなので、やむを得ないのかも。地元のお客さんが多いようで、時間がかかることは承知のようでした。
午後1時半頃、お店を出発。
「歴史を語る公園」の中を歩き、九華公園(桑名城跡)へ。
この公園にも「菖蒲園」が3か所あります。ところが、諸戸氏庭園の菖蒲とは違い、ほとんど咲いていませんでした。写真を撮るまでもありません。残念ながら見頃はもう少し先のようです。
徳川四天王の一人、本多忠勝像の前で集合写真を撮りました。本多忠勝は生涯を通じて57回の戦に出陣し、一度も深手を負わなかったという無傷伝説があります。関ヶ原の合戦の後、桑名に入り、桑名城下町の整備を行ったと伝えられています。
これにて名古屋に向って帰路につきます。午前中は曇っていましたが、しっかりと晴れて暑くなってきました。風もほとんどなく、順調に自転車は進み、予定時刻どおりに荒子川公園に到着しました。
本日の参加者は67歳から73歳までの前期高齢者でまとまっていましたが、無事故で楽しい探訪あいちが実施できました。皆様に感謝いたします。
【サイクリングコース】
荒子川公園駅(午前8時25分)→ 旧東海道 → ひので公園 → 国道1号 → 六華苑&諸戸氏庭園(観光ボランティア桑名歴史案内人によるガイド付き)→〔昼食〕→ 歴史を語る公園 → 九華公園(菖蒲園)→ 本多忠勝像 → <往路と同ルート> → 荒子川公園駅・解散(午後3時30分)
距離:45km
所要時間:7時間5分
【参加者】
白のトレックさん、高浜の石川です。さん、松井秀明さん、かむひあぁさん、YOSHIさん、fusaさん、幹事(まつぼっクリ) 計7人
自転車は、スペシャライズド2台、トレック、アンカー、ジャイアント(Eバイク)、ブリヂストン、パナソニックの7台
★当日の写真は、愛知県サイクリング協会のホームページ➔「フォトギャラリー」➔「探訪あいち2026」➔「5月31日(日) 六華苑と諸戸氏庭園」を御覧ください。
https://x.gd/BBTMA
https://hasirenai.com/photo-index2026.html
★2025年11月23日実施の「桑名観光サイクリング」の写真と実施レポートも併せて見ていただくと、春と秋の違いもわかるかと思います。
https://ameblo.jp/onwheels/entry-12949645959.html
https://x.gd/C95XV
https://hasirenai.com/photo-index2025.html