旅立った後のこと2 | おばあちゃんになった、わんこさんのおはなし。                    ~高齢柴犬の闘病・介護記録~

おばあちゃんになった、わんこさんのおはなし。                    ~高齢柴犬の闘病・介護記録~

ハイシニア柴犬介護記録です。
1年3カ月の闘病期間を含め、いつでも家族みんなで笑いながら過ごした、柴犬「わんこさん」との16年と8カ月の生活。
悲喜こもごもあったけど、トータルしてとっても幸せだった日々のおはなしです。

犬と一緒に過ごす生活って、いいね。

わんこさんを送ってからの私たちは、時期柄、年末の慌ただしい忙しさを乗り越えて。慌ただしさに、悲しみにひたりすぎることもなく助けられて。鳴き声で迷惑をかけたお隣さんに挨拶を済ませ、年が明ける前に獣医の先生にお会いして、今までのお礼を伝えられた。そして年末年始のお休みを迎えた。

12月11日に亡くなったわんこさん。亡くなって2週間目はクリスマス、3週間目は元旦。わんこさんの世話をしてゆっくり過ごすつもりで、何も予定を入れていなかった年末年始休暇は、家族でのんびり過ごせた。夕食時にはお酒を飲んで、必ずわんこさんの話題になり。私も父も、いつもよりも飲み過ぎた。もう夜や翌朝に散歩に行かなくてもいいのだし、急変に備えて酔いすぎるのをセーブしなくてはいけない状況もなくなったのだから。そして何より、どう扱ったらいいのかわからないくらい、大きな大きな喪失感が心を占めていたから。


酔った私は「もう新たなワンコは飼えないかもしれない。これから先20年のお世話ができるか自信がない。」などと言い、「うさちゃんまだ若いのに何言ってるの。」と母に諌められて。でも、それは本心なのです。飼うからには、一生を面倒見る覚悟がないといけない。今すぐはまだいいや、って思っているけれど、いつかわんこさんが新たなワンコを我が家に呼んできてくれるかもしれないね。わんこさんが大丈夫だと判断して連れてきてくれたのなら、私はその命に、また最後まで付き合えるんだろう。そんな日が来るかどうか、まだわからないけれど。


そして、私はわんこさんのおはなしを書き続けた。みんなワンコが大好きな人たちが集うここブログの世界で、優しさに見守られ励まされながら、わんこさんとの幸せな日々を綴った。おはなしを語ることで心を整理できたし、語らなきゃいけないから愛するわんこさんを失った悲しさの投げやりな日常におぼれず、目標を持って前へ進めた。わんこさんは、なんて私にぴったり合致する目標を用意してくれたんだろう。そんな風に思え運命を感じるくらい、のめり込んだ。パソコンの前で座ったまま眠って朝を迎えた日だって、少なくない。

おはなしが完結しなければ、私はわんこさん以外のワンコを迎え入れられない。もたついて、わんこさんがいいと思ったタイミングを逃すことがないよう、急げ、急げ。そんな風に飛ばしていた。わんこさんとの日々を文章に紡ぐのは、楽しかった。時に文章が勝手に駆け出しはじめるような感じがしていたし、言葉っていうのは生き物だと実感できた。


むかしむかし小さな子供だった頃の私は、熱が出て外出ができない時でも、絵本の世界では自由に心を飛び回らせていられた。シンデレラのドレスって何色?白雪姫って、どんな話し方をする人?人魚姫って、どんな声なの?ただの文字の羅列が、色や温度を持った鮮やかなイメージに代わる奇跡が、絵本の世界にはあった。そしていつか私もおはなしを作って、そんな奇跡を起こしたいと願った日が確かにあったことを、わんこさんのおはなしを紡ぎながら、ふと思い出したりした。だから、コメント欄にいただいた「わんこさんの姿が目に浮かぶよう」という形容に、心が震えた。夢が叶った!しかも最愛のわんこさんを、たった一瞬だったかもしれないけれど、蘇らせることができたなんて!思いがけない幸せなプレゼントをいただいた気分でした。たぶん、読み手の皆様の心にはそれぞれ愛しいワンコがいて、その子たちがいるからこそわんこさんのおはなしに共鳴してくれた奇跡なのでしょうね。


そうやって、悲しい思い出を乗り越えて、私は今日を迎えたのでした。お別れの日には本格的な冬を迎えていた季節は移り変わり、今はもう桜も散ってしまっています。けれど、どれだけ季節が変わっても、愛しい小さな生き物のかつての生き生きとした姿は、記憶の中では色褪せることはありません。

ねえ、みんなもそうでしょう?


            
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