12月4日のこと   ~お別れまで7日~ | おばあちゃんになった、わんこさんのおはなし。                    ~高齢柴犬の闘病・介護記録~

おばあちゃんになった、わんこさんのおはなし。                    ~高齢柴犬の闘病・介護記録~

ハイシニア柴犬介護記録です。
1年3カ月の闘病期間を含め、いつでも家族みんなで笑いながら過ごした、柴犬「わんこさん」との16年と8カ月の生活。
悲喜こもごもあったけど、トータルしてとっても幸せだった日々のおはなしです。

犬と一緒に過ごす生活って、いいね。

「うさ、あのな、私も気をつけているし、わんこさんもがんばっているけどな…。」

そう前置きをして、父が伝えてくれる、散歩の様子。わんこさんが散歩をすることは、困難から不可能になりつつあるようでした。悲しい現実を、父は言葉を選んで伝えてくれます。


外へ出したら、迷惑なほどの大声で鳴き続ける。よろめいて転び、まともな歩行ができない。

昨夜もそうでした。様子は私にもわかります。そして、せっかく連れ出してもらっても散歩中に排泄ができない。サークルの中で、お漏らしをするまさに直前になって、「キューン」と小さな声で知らせるけれど、もうどうやっても外に連れ出すのは間に合わない。わんこさんがおしっこの上で座り込んでしまうのを阻止し、大急ぎで片つけることが精いっぱい。


「キューン」で慌てて駆けつける私と母。まずはこれ以上汚れないようサークルの外に連れ出され、足まわりを拭かれるわんこさん。

その後、サークルの床をきれいにする間。玄関のタイルの冷たさが嫌なのか、どこかへ逃げようとして、コーナーの傘立ての置いてある狭い空間に頭を突っ込んで、行き止まりのため前に進めなくなる。後戻りして方向転換できないのが、認知症の老犬の特徴だといいます。これ以上進むこともできず、方向転換も叶わず、不満の鳴き声か助けを求めているのか。ファンファンファン、と子犬のように甲高い声で鳴き続けます。そしてここでも、 もう立っていられずに、ぺたんと寝転んでしまいます。

手がふさがれている母と私。わんこさんをなだめるため、「ファンファンファン」とわんこさんの鳴き声を真似て、声をかけ続けます。高いかわいらしい声が重なり合うと、なんだか合唱みたいね。そんなことをつぶやき、母と笑いました。


「うさちゃんは夜、起きてこなくていいよ。夜の間はわんこさんのこと、お母さんに任せておきなさい。」

ヒーター設置のおかげで、夜間のお世話も楽になったと、母は深夜の担当を全面に引き受けてくれました。私は睡眠中のわんこさんの声に気づけず起きないことがほとんどです。母はどんな小声にも気づいて起きてくれる。

「眠っていられるなら、なおいいことじゃない。もし起きてしまっても、お母さんが世話している気配を感じたら、世話なんて一人で足りることだから、降りてこなくていいからね。」

そう言われるけれど、私も鳴き声に気づきたいと思うんです。でも実際は気づかず眠ったまま。母が気づいてくれて、対応してくれて、本当にありがたい。


床に寝そべったわんこさんを、きれいに掃除しなおしたサークルに戻そうと、立ち上がるよう促しますが、ダメです。弱った足はフニャフニャ頼りなく、立っているのもようやく。

外で排泄するわけでもなく、最近は嫌がりながら連れ出されてゆく散歩。もう、今のわんこさんに外を歩かせるのは無理だね。

散歩を担当してくれる父に、

「長い間続けてもらっていた定期的な散歩は、わんこさんにはもう無理だから。明日の朝の散歩は、行かなくていいよ。」と伝えました。父は何も言わず、じっとわんこさんを見つめてから、部屋に入っていきました。これからは、状態のいい時に気が向いたら、連れ出してもらえればそれでいいよね、わんこさん。


夜の散歩。ヨロヨロですが、何とか足を出し。距離はわずかですが、歩けました。左目の目やには昨日よりひどくなっています。

わんこさんよりは明らかに年下ですが、そろそろシニアの域にさしかかったわんちゃんを連れたおじさんが、「わんこさん、がんばってますね。」と声をかけてくれました。ゆっくりのわんこさんを抜いて、次第に遠ざかっていく一人と一匹の後ろ姿。この日わんこさんは、おじさんに歩いている姿を見せられました。

このおじさん、以前に「僕も年をとったので、わんこさんの姿を見ていると、自分の行く先のことなど、何かとても考えさせられるんです。」そう言っていたことを、家族から聞いて、私も知っています。遅い時間の散歩でときおり顔を合わせればいつも、わんこさんのことを気にかけてくれていました。


実際に世話をする家族と、そのほか散歩仲間たちにも。わんこさんはみんなの優しさに支えられていました。



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