スパ☆太郎の日本一周!3000温泉の旅 -4ページ目

カルルス温泉で「温泉ワーケーション」その4

4泊5日のスケジュールで臨んだ北海道・カルルス温泉でのワーケーション。

最終回では、今回の経験から得た気づきや課題などについて

まとめておきたい。

 

今回、温泉ワーケーションを実行する上で決めていたことがある。

それは、移動日には「ワーク」の予定を入れない、ということ。

温泉ワーケーションの目的のひとつは、

日頃蓄積した疲労やストレスを解消し、温泉で心身の回復を図ることである。

今回、カルルス温泉との往復ではバスと電車の乗り継ぎが必要で、

移動だけでも3時間はかかる。

ただ座っているだけでも、見知らぬ土地に移動すれば

意外と心と体に負担がかかる。

そのうえ、移動日も仕事を完璧にこなそうと思えば、

大きなプレッシャーになる。

さらに、温泉ワーケーションの「バケーション」部分は

温泉入浴がメインとはいえ、

近くに目ぼしい観光スポットがあれば、

訪れてみたいと思うのは当然である。

そこは我慢する必要はないだろう。

ただし、観光やレジャーをスケジュールに組み込むなら、

移動日にまとめたほうが無難だ。

温泉宿に滞在中はできるだけ温泉入浴と仕事に専念したい。

滞在の中日に移動するのは時間的にもロスが大きい。

また、「移動日には仕事をしない」と決めていれば、

仕事のことは気にせず、存分に観光やレジャーを楽しむこともできる。

そこで、今回は初日に登別温泉での地獄めぐりと日帰り入浴を

スケジュールに組み込み、

最終日の帰路にはアイヌ文化を学ぶために

「ウポポイ(民族共生象徴空間)」を訪ねた。

ウポポイは昨年オープンした「国立アイヌ民族博物館」などで

構成される施設である。

アイヌ文化に関する展示のほか、

さまざまな体験プログラムも用意されていて、

3時間超滞在することになった。

最近、札幌に移住してきたこともあって

個人的にアイヌ文化に興味をもっていたため、大変見ごたえがあった。

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アイヌ社会を舞台にした漫画『ゴールデンカムイ』や

直木賞受賞作『熱源』等を読んで、アイヌに関する予備知識があったので、

展示等も大変興味深かったが、もし予備知識がなかったら、

展示を見ても消化不良に終わっていたかもしれない。

ウポポイを訪ねるなら、特に『ゴールデンカムイ』は漫画としても面白く、

おすすめである。

少し脱線してしまったが、移動日に仕事を入れず、

温泉や観光に専念することで、無理することなく、

大変充実した時間を過ごすことができた。

温泉ワーケーションでは「ワーク」の詰め込みすぎは禁物である。

ワーケーション先では、どんな種類の仕事をすべきか?

これは職種や仕事内容にもよるので悩ましい問題である。

ここでは話をシンプルにするために、

作業内容や手順がすでに決まっている「ルーティンワーク」と、

新しいアイデアや思索が必要となる「クリエイティブワーク」の

2つに分けて考えよう。

今回、私は試験的に「ルーティンワーク」と「クリエイティブワーク」の2つを

宿に持ち込むこととした。

ルーティンワークは何度もやったことのあるPCを使った作業である。

一方のクリエイティブワークは新しい企画を立案する仕事で、

ひたすら頭で考えることがメインとなる。

温泉ワーケーションの2日目はルーティンワーク、

3日目はクリエイティブワーク、

4日目は両方のワークをミックスで取り組むこととした。

実際に体験して感じたのは、「ルーティンワーク」は、

あえて温泉地でする必要性は感じないということ。

ルーティンワークはタスク完了時間がある程度読める。

だから、いかに効率よくこなすかが重要である。

その点、温泉宿だと作業スピードという点では、

あまりペースアップした感覚はなかった。

座卓での作業は姿勢がつらくなり、集中力が欠けたこと。

また、温泉地に来ているという気持ちの緩みも影響していたかもしれない。

一方、クリエティブワークのほうは、

普段の職場で取り組むときよりも捗った感覚がある。

リラックスした環境が頭を柔らかくするのかもしない。

特に温泉にぼんやりと浸かっている最中に

ふとアイデアが浮かんでくることがよくあった。

副交感神経が優位になってリラックスしているときほど、

脳は働きやすいといわれているが、まさにその通りの効果を実感した。

ちょっとしたティップスとなるが、クリエイティブワークをする際は、

朝の段階で「今日考えたい課題」を確認しておくといい。

すぐにはアイデアが浮かんでこなくても、

頭の中で課題が設定されていると、

温泉に入っているときなどにふとアイデアが浮かんだりする。

これは、今回のカルルス温泉にかぎらず、

さまざまな温泉地で体験したことである。

アイデア出しをするには、温泉は絶好の環境といえる。

結論を言うと、私の場合、

温泉ワーケーションでは「クリエイティブワーク」を中心にしたほうが

成果を得やすい、ということを再確認した。

だが、同時にルーティンワークもある程度、

用意しておいたほうがいいとも感じた。

というのも、「クリエイティブワーク」だけだと、

なかなか成果を実感できない局面があるからだ。

アイデアや問題解決策が浮かぶまでは、

もんもんとした苦しい時間が続く。

そこで、気分転換に「ルーティンワーク」に取り組むと、

確実に成果が出るし、脳も活性化される。

カルルス温泉では、4日目に両方のワークをミックスで取り組んでみたが、

仕事や時間の使い方にメリハリがついて、相乗効果があったように感じる。

仕事の内容については個人差はあるが、

今のところの私の結論としては、「クリエイティブワーク」を中心に、

「ルーティンワーク」も適度に組み込むと

温泉ワーケーションは成果を実感しやすい。

温泉ワーケーションでの仕事の仕方については、

まだ検証の余地はあるが、ひとつ確実に言えるのは、

温泉ワーケーションで過度に仕事の成果を求めるのは危険である、

ということ。

仕事の効率という面では普段の慣れた環境のほうが有利であるし、

温泉地という慣れない環境で思うように仕事が進まないことも想定できる。「職場や家で仕事をしたほうがよかった」と後悔するようでは、

わざわざ温泉ワーケーションに出かけた意味がない。

「ワーク」で成果を出すことも大切だが、

それ以上に「バケーション」も重要である、ということは忘れてはいけない。

温泉に入って、ゆっくり心身を休める。

これが温泉ワーケーションの重要なミッションである。

そういう意味でも、必要以上に仕事を持ち込み、

成果を期待しすぎるのは賢明ではない。

普段の仕事の5割程度の成果が出れば十分と

構えるくらいがちょうどいいだろう。
 

カルルス温泉で「温泉ワーケーション」その3

4泊5日のスケジュールで始まった、

北海道・カルルス温泉での「温泉ワーケーション」。

今回は、温泉ワーケーションの肝心要である温泉についてレポートしたい。

 

チェックインを済ませて、早速浴室へ。

館内は増築を重ねたせいか、入り組んだつくりになっていて、

初日は浴室にたどり着くまで少々迷ってしまった。

男湯と女湯は入れ替えはなく、滞在中の暖簾はそのままだった。

 

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鈴木旅館の浴室は内湯のみで露天はないが、まったく問題ない。

まず浴室の雰囲気がいい。

10年前に訪れたときより多少くたびれた感はあるが、

素朴な雰囲気はそのままだ。

 

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湯船は3つ。

いちばん手前の「玉の湯」は源泉100%かけ流し。

46℃の単純温泉がそのまま注がれる。

なので、体感は43℃~44℃くらいで熱め。

1分浸かっているのがやっとだが、すこぶる気持ちのよい湯だ。

泉質は単純温泉で、見た目は無色透明、無味無臭。

だが、ほんのりと温泉の香りを感知でき、さらに泉温の高さも加わり、

ガツンと存在感がある。

単純温泉といえど、あなどれない。

なお、カルルス温泉といえば、

乳白色のイメージをもっている人が少なからずいる。

入浴剤の「日本の名湯」シリーズで、

カルルス温泉は乳白色だからだ。

だが、実際は無色透明である。

入浴剤は無色だと効き目を実感できないからだろう。

真ん中にある湯船は「泉の湯」。

湧水を5~20%加えた上でかけ流しにされている。

体感は41℃くらい。ずばり適温である。

加水率が5~20%であれば源泉の個性もしっかりと感じられる。

加水率が掲示されているのは珍しいが、大変親切で好感がもてる。

加水の有無は法で開示する決まりになっている一方で、

加水率までは明記しなくてもよい。

だから極端な話、加水率が90%で循環ろ過されていても、

法律の上では立派な温泉扱いとなってしまう

(もちろん湯の個性は消失する)。

いちばん奥にあるのは「福の湯」。

こちらが最もぬるめで、体感は37℃~38℃。

湧水は10~30%加えられている。

加水率が高いため、最も源泉の個性は薄いが、

ぬる湯が大好物の私にとってはありがたい。

30分以上つかっていられるやさしい湯なので、

滞在中、最も長居した湯船である。

 

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さらにうれしいのは、源泉が打たせ湯のように落ちている点だ。

パソコンと向き合っていると、肩や腰が張ってしかたない。

そこで、打たせ湯の出番だ。

肩や腰に湯を当てる。ちょうどいい高さと湯量なので痛すぎない。

適度なマッサージ効果を得られ、滞在中、何度も救われた気分になった。

このように鈴木旅館の浴室は、

高温・適温・低温の3つの湯船を備えている。

これは、温泉ワーケーションの拠点としては最高の環境である。

以前の記事でも触れたが、

泉温によって自律神経をコントロールできるからだ。

 

朝など仕事モードになりたいときは、

熱めの湯につかって交感神経を刺激する。

そして、就寝前などリラックスモードに入りたいときは

副交感神経を優位にする。

1つの浴室に高温・低温の2つの湯船があるだけでもありがたいが、

鈴木旅館はさらに適温の湯船もある。

控えめに言っても「最高」である。

これほど温泉ワーケーションに適した浴室には、なかなか出会えないだろう。

私は滞在中、1日4回のペースを守って入浴した。

「寝起きの朝食前」「午後イチ(13時くらい)」「夕食前」「就寝前」の

4回である(9時~13時は清掃のため使用できず)。

朝と午後は熱めの湯に入って仕事モードに切り替え、

夕方から夜はぬるめの湯に入ってリラックスモードに切り替える。

泉温の異なる湯船をを使い分けることで、

いいリズムが生まれたと実感している。

最後に、鈴木旅館の浴室の魅力をもうひとつ。

浴室の床が木張りであることだ。

タイル張りに比べて、木製の床は素足で踏みしめたときの感触がやさしく、

気持ちがいい。

さらに、うれしいのは鈴木旅館では、

この木の床に寝転ぶことが奨励されている。

通常、浴室の床で寝転がるのはマナー違反であるが、

鈴木旅館では木製の枕まで用意されている。

湯船の傍らに寝転がりながら、患部に湯をかけて過ごすのである。

 

 

私も他の入浴客がいない時間を見計らい、寝転がった。

浴室で横になるのは不思議な感覚であるが、

浴槽の中とは異なる心地よさがある。

湯を体にかけると、その箇所がじんわりと熱を帯び、

湯が体に染み入っていくような感覚になる。

長時間、横になっていると眠りに落ちてしまいそうだ。

寝湯もまた、副交感神経を優位にするのに役立つだろう。

結論を言えば、鈴木旅館の温泉と浴室は、

温泉ワーケーションに最適といえるものだった。

5日間で計20回弱入浴したが、まったく飽きることなく、

何度でも入りたくなる湯である。

仕事が捗ったのも、この温泉のおかげであるのは間違いない。

カルルス温泉で「温泉ワーケーション」その2

4泊5日のスケジュールで敢行した

北海道・カルルス温泉での「温泉ワーケーション」。

今回はワーケーションの舞台となる旅館の詳細についてお伝えしよう。

 

登別温泉からバスに揺られること約20分、カルルス温泉に到着。

もともと小さな温泉地だが、いくつかの宿が廃業し、

現在は4軒の旅館が営業している。

そのなかで私が「温泉ワーケーション」の拠点として選んだのが

「鈴木旅館」。

3016湯の旅の最中、日帰り入浴で訪れて以来だ。

玄関では猫が出迎えてくれた。

計6匹ほど見かけたが、実際、何匹いるのかは不明。

 

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人にはあまりなつかないようで、必要以上に近寄ってくる猫はいない。

そそくさと逃げていく猫もいた。

つかず離れずといった距離感で、

猫が苦手な人も問題ないと思われる(猫アレルギーの人は別だが)。

フロントでチェックインの手続きをして部屋へ。

それなりに年季の入った建物なので、館内は素朴かつ簡素な雰囲気。

自炊設備こそないが、湯治場の風情を残している。

湯治宿の素朴さが好きな人には居心地のよい空間といえよう。

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部屋は1人客用の6畳一間。

トイレや洗面台は共用。

エアコンはついていないが、それなりに標高もあるので、

夏でも扇風機があれば十分しのげる。

チェックイン時にはすでに布団が敷いてあった。

部屋の目の前を川が勢いよく流れており、

睡眠時は心地よいBGMとなった(神経質な人は眠れないかも・・・)。

 

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鈴木旅館を選んだ理由は、おもに3つ。

1つめは、日帰り入浴で訪れたとき、

浴室の雰囲気や湯の質がよかったことである。

入浴がバケーションのメイン要素となる「温泉ワーケーション」において、

温泉の質は重要事項である。

浴室については次回詳しく紹介したいが、

もちろん源泉かけ流しで、昔と変わらず、

すばらしい湯が湯船に満たされていた。

2つめは、連泊も可能なリーズナブルな料金である。

私は1泊2食付き6900円のプランで宿泊したが、

1泊朝食付、1泊夕食付、素泊まりなどのプランもある。

素泊まりの場合4700円である。

素泊まりと2食付きでは2000円ほどしか差がないので、

迷わず2食付きにした。

また、カルルス温泉には飲食店や商店が一軒もないため、

車をもっていないかぎり、素泊まりは不便だろう。

ちなみに、食事は刺身や鍋、魚料理などが5品ほどついている。

何か特色があるわけではないが、手作り感いっぱいのメニューは、

料金を考えれば大満足だった。

毎回、米もお櫃にたっぷり盛られているので、

結局、昼食をとらなくても平気なくらいお腹は満たされた。

 

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なお、鈴木旅館には通常の宿泊プランのほかに、

7泊以上の湯治プランも用意されている。

7泊20食付で41,300円(1人泊の場合)。

昼食には丼物などが毎日付くそうだから、

大変リーズナブルである。

次回、温泉ワーケーションをする際は、湯治プランでもよいかもしれない。

3つめは、Wi-Fi環境である。

いくら湯治宿といえども、

ネットがつながらないと「ワーク」の部分で不都合が生じる。

事前に部屋までWi-Fiが飛んでいることは確認済みだったが、

正直、ストレスのない太さかどうかは出たとこ勝負だった。

実際のところ、まったく不便のない通信環境であった

(ZOOM等を使用する機会はなかったが、おそらくは大丈夫なレベル)。

結論を言うと、5日間の滞在中、

設備や環境面で困るようなことはまったくなかった。

今回はPCがあれば完結する仕事しか持ち込まなかったこともあり、

仕事面では特に不都合もなく、タスクのノルマも達成できた。

旅館のまわりにまったく店がないので、

人によっては心細く感じるかもしれない。

だが、私の場合、温泉入浴と部屋でのPC作業だけで

ほぼ一日が過ぎていくので、特に不便は感じなかった。

むしろ何もない自然豊かな環境を散歩し、リフレッシュできた。

強いて不満をいえば、座卓でPC作業をしなければならない点である。

やはり長時間あぐらの姿勢で仕事をしていると、腰が痛くなってくる。

温泉に入れば腰の痛みもなくなるが、

やはりイスとデスクのほうが仕事はしやすい。

湯治宿なので致し方ないが、

もしも宴会場などの広間にデスクとイスを入れて

ワーキングスペースにしてもらえれば、

温泉ワーケーション目的の人は拍手喝采だろう。

次回は、肝心の温泉についてお話ししよう。

カルルス温泉で「温泉ワーケーション」その1

今夏、北海道のカルルス温泉で「温泉ワーケーション」を体験してきた。

数回に分けて、その模様をお伝えしよう。

 

「温泉ワーケーション」は、連泊するのが基本中の基本である。

1泊2日の旅では、仕事も温泉も中途半端になり、

疲弊して帰ってくることになりがちだからだ。

個人で温泉ワーケーションを実行する場合、

長く滞在すればするほど宿泊費や食費がかさむ。

資金に余裕がある人なら、宿の選択肢はいくらでも広がるだろうが、

それができるのは少数派だろう。

多くの人は予算内で、できるかぎりリーズナブルな温泉宿を探すことになる。

私自身も今年1月に北海道・札幌に移住してきてから、

道内で「温泉ワーケーション」の拠点となる温泉を探してきたが、

だいぶ前から目星をつけていた温泉地と宿がある。

登別市にあるカルルス温泉である。

北海道随一の温泉街を擁する登別温泉から、

さらに山側に入ったところにある小さな温泉地である。

チェコのカルルスバード温泉と似た泉質であることから

「カルルス温泉」と名づけられたという。

今回は4泊5日のスケジュールでお目当ての宿を予約。

温泉が良質であることは日帰り入浴で把握していたので、

もう少し長く滞在することも考えたが、

「宿の居心地が悪い」というリスクもある。

今回はお試しということで、4泊5日が適当だと判断した。

いざ出発。往路はバス。

札幌駅のバスターミナルから室蘭行きの高速バスに乗り込む。

片道2070円。2時間弱で登別駅に到着した。

ひと眠りするとあっという間である。

 

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登別駅からは登別温泉街行きのバスが出ている。

カルルス温泉までは、さらに登別温泉でバスを乗り換える必要がある。

登別温泉までは約15分の距離。

登別のシンボルといえば「鬼」である。

至るところに鬼が出没し、出迎えてくれる。

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カルルス温泉の宿のチェックインまで2時間ほど余裕があったので、

登別温泉でしばらく時間を過ごすことに。

前回の訪問から十数年ぶりの登別。

コロナ禍の平日ということもあり、温泉街に人影は少ない。

多くの観光客でにぎわっていたのがウソのような静けさである。

閻魔様も心なしかさびしそうだ。

 

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登別温泉のいちばんの観光スポットといえば「地獄谷」である。

地獄谷は日和山の噴火活動によりできた爆裂火口跡。

直径約450m、面積約11ha(甲子園球場2.8個分)の広さを誇る。

 

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谷に沿って源泉や噴気の吹き出す、荒涼とした風景はまさに地獄。

だが、散策路がしっかり整備されているため、

谷の中まで足を踏み入れることができる。

 

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地獄谷からは、さまざまな泉質の温泉が1日1万トンも湧出し、

温泉街のホテルや旅館に給湯されている。

この光景を見学した後に入浴すると、

温泉が大地の恵みであることをあらためて実感できるはずだ。

源泉が湧き出す光景を見ると、やはり温泉につかりたくなる。

温泉街の並びにある「夢元さぎり湯」へ向かう。

気軽に入浴できる銭湯風情の日帰り施設である。

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大浴場は内湯のみ。湯船が3つ並び、2つの源泉がかけ流しにされている。硫化水素の強い香りがプンプンと漂っている。

ひとつは一号乙泉(硫黄泉)。

灰色がかった白濁湯は、少し熱めでキリッとした酸性の特徴をもつ。

もうひとつは目の湯(明礬泉)。乳白色の美しい湯。

泉温も少しマイルドで、個人的にはこちらのほうが好みであった。

 

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出典:夢元さぎり湯公式サイト

 

さあ、バスの時間だ。体から硫化水素の匂いを放ちつつ、

カルルス温泉行きのバスに乗り込んだ。

深い緑の山道を走ること20分。

カルルス温泉のバスターミナルに到着。

温泉街の入口にある大きな看板が出迎えてくれた。

ああ、相変わらず、いい鄙び具合である。

 

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〈次回に続く〉

北海道・長沼町で「温泉ワーケーション」その6

5日間のスケジュールで行なった温泉ワーケション。

今回は、長沼町での温泉ワーケーションを体験して

感じたことをまとめておきたいと思います。

 

通常の温泉ワーケーションでは、温泉宿にこもることになりますが、

今回は寝泊まりする部屋と温泉が離れているという

イレギュラーな環境でした。

徒歩20分ほどの距離に「ながぬま温泉」がありました。

デメリットとしては、気軽に温泉に入れないこと。

温泉宿であれば、朝昼夜と、一日に4~5回は温泉に入浴できます。

仕事に行き詰まったり、疲れを感じたりしたら、

「とりあえず温泉に入ろう」と気分転換がしやすい。

しかし、温泉まで距離が離れていると、1日に1回しか行けません。

ポジティブに考えれば、

そのデメリットとメリットは表裏一体と捉えることもできます。

私の場合、午後の時間帯にながぬま温泉に行くようにしていましたが、

それまではリモートワークに集中できました。

「早く仕事を片づけて、温泉に行こう。でないと、温泉でゆっくりできない」

という締め切り効果によって、仕事を早めにこなすことができました。

すぐに温泉に入れる環境だと、ちょっと集中できないと、

温泉に逃げてしまいがち。

気をつけないと、温泉ばかり入っていて仕事が進まない

という事態に陥りかねません。

その点、今回のワーケションは簡単に温泉に逃げることができないので、

仕事に集中できました。

仕事を終えてながぬま温泉に行けば、

あとはひたすらリラックス。

午前中から昼すぎまで集中して作業をし、

午後からひたすら温泉でゆっくりと時を過ごすという

温泉ワーケーションらしい時間の使い方ができました。

幸い、ながぬま温泉は広々とした休憩所があり、

何度も入浴できるので、ゆっくりと温泉を堪能しました。

このように、宿泊施設と温泉が離れているのは

デメリットばかりではないと感じました。

他の温泉地でも、ビジネスホテルのような安宿を拠点にしながら

共同湯や日帰り温泉に通うというスタイルも想定できます。

ワークと温泉のメリハリをはっきりさせたいという人には

リズムをつくりやすいかもしれません。

「温泉ワーケーション」の場にコワーキングスペースが存在することは、

メリットが大きいということにも気づかされました。

これまでの温泉ワーケーションでは、

宿のなかで完結するケースがほとんどでしたが、

宿の外にコワーキングスペースがあると、

やはりオンとオフのメリハリが効きやすいという印象を受けました。

 

温泉宿にこもっていると、一日中浴衣で過ごしたりするので、

オンとオフの切り替えが難しい局面もあります。

その点、コワーキングスペースがあると、

いっきに仕事モードに切り替わります。

最近ではワーケーションに力を入れている温泉宿も出てきて、

寝泊りする部屋以外にワーキングスペースを確保するケースも

見られるようになしました。

 

ある程度、市街地の温泉地であれば、

今後はコワーキングスペースが増えていく傾向もあります。

温泉宿とコワーキングスペースを行き来するというスタイルが

主流になる可能性もあります。

 

いずれにしても、選択肢が増えるのは

温泉ワーケーションを実施する立場の人にとってはありがたいでしょう。

旅先での思いがけない人との出会いは、

旅の思い出となります。

現地の人との交流が旅の醍醐味ともいえます。

連泊を基本とする温泉ワーケーションの場合も、

宿の人や地元の人、他の旅人との交流が旅の思い出を彩ることがあります。

今回は「バケーション体験メニュー」をひとつ選ぶという

プランの縛りがあったため地元の方との交流も楽しみました。

それだけでも十分だったのですが、

実はそのときにお世話になったTさんと思いがけず

再会することになったのです。

温泉ワーケーションの最終日に、ながぬま温泉まで歩いていると、

見覚えのある車が止まりました。

Tさんが偶然通りがかったのです。

そして、「時間があればお連れしたい絶景スポットがある」とのお誘い。

もちろん、断る理由がありません。

Tさんが連れて行ってくれたのは、

小高い丘にあるワイナリー。

最近北海道ではワインが盛んに作られていますが、

長沼町にもワイナリーがあります。

その敷地内に、ガイドブックには載っていない

絶景スポットがあるということで、

特別に許可をもらって案内してくれました。

 

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田畑の広がる長沼町、そして広大な石狩平野を望むことができます。

その先には日本海。

視線を左に移せば太平洋まで見渡せます。

北海道ならではのダイナミックな風景に感動を覚えました。

このような絶景を拝むことができたのも、

地元を知り尽くすTさんのおかげです。

まさに人との出会いが、旅の貴重な思い出をもたらしてくれました。

温泉ワーケーションでは、リモートワークをしながら、

ひたすら温泉と向き合うというのもありです。

それが忙しない日常の疲れやストレスを洗い流してくれます。

しかし、旅先での非日常の交流や体験も同じように、

心に刺激を与え、リフレッシュさせてくれます。

1泊2日のワーケーションであれば、

時間的に温泉以外のアクティビティは限られますが、

ある程度、連泊できるのであれば、

アクティビティなどに参加し、

現地の人と交流するのも楽しいかもしれません。

最後に、長沼町でのワーケーションの課題を挙げておきます。

今回は町のワーケーション受入プランを利用したので、

安価な住宅を利用することができました。

しかし、個人的に温泉ワーケーションを実行しようとすれば、

宿泊施設を確保する必要があります。

第一の選択肢は、ながぬま温泉に宿泊することでしょう。

しかし、特にワーケーション向けのプランがあるわけではありません。

公共の施設なので比較的安価に宿泊できますが、

最安値で1泊朝食付5800円~という料金設定です。

これを高いととるか安いととるかは、

その人の金銭感覚にもよりますが、連泊することを考えれば、

もう少し宿泊費は抑えたいところです。

長沼町は宿泊施設が多いエリアではないので、

ながぬま温泉以外の選択肢は限られます。

コワーキングスペースの上階に宿泊できる施設があるようなので、

そちらを利用するくらいでしょうか。

今後、ワーケーションに適した宿泊施設が増えることに期待したいです。

あとはロケーションも課題のひとつ。

北海道は各地に有名な観光地があり、

ワーケーション誘致に積極的な自治体も多いので、

アクセスがよいとはいえ、長沼町は分が悪い。

役所の担当者が「観光客に素通りされがち」と嘆いていたように、

道外からやってくる人にとっては、優先順位が下がるかもしれません。

また、公共交通機関がバスにかぎられ、車がないと不便な土地なので、

それもネックになりそうです。

しかし、札幌市近郊に住んでいる人であれば、絶妙な立地だと思われます。何よりアクセスがよいので、

気軽に気分転換をかねて温泉ワーケーションを実施したい

という人には適しています。

私自身、札幌に住んでいますが、

長沼町はすぐにアクセスできるので、

温泉ワーケーションの候補地となりえます。

長沼町にとっては、

まず道内のワーケションニーズをつかめるかどうかが、

成否を分けることになりそうです。

以上、6回にわたって北海道・長沼町でのワーケーションについて

紹介してきましたが、

温泉ワーケーションの選択肢を広げてくれる経験となりました。

※長沼町のワーケションプランは10月29日で終了しています