おのころ心平です。
あなたは、
野口整体という整体を
聞いたことがありますか?
整体の神様と呼ばれる
野口晴哉(はるちか)先生
(1911年生まれ故人)
が創始した整体。
当時の療術界で
中心的な役割を果たし、
今もって多くの治療家に
影響を与えています。
研究熱心な治療家であれば、
必ずどこかで野口晴哉の
名前に突き当たるはず。
整体やカイロに通うなら、
その治療師に、そっと
「野口晴哉ってご存知ですか?」
と聞いてみましょう。
え?知らない、
ということなら
そっとその治療院から
フェードアウトしてしまうのも
一考です。
***
さて、
その野口先生の著書のひとつ、
『風邪の効用』(筑摩書房)。
頭を使い過ぎて頭が疲れても風邪を引く。
消化器に余分な負担をかけた後でも風邪をひく。
腎臓のはたらきを余分にした後でも風邪を引く。
とにかく体のどこかに偏り運動が行なわれ、
働かせ過ぎた処ができると風邪を引く。
だからお酒を飲み過ぎて
絶えず肝臓を腫らしている人は肝臓系統の風邪を引く。
ふだん余分に栄養物を摂って腎臓を腫らしている人は
腎臓の系統の風邪を引く。
しょっちゅう心配している人は神経系統の風邪を引く。
そうやってそれぞれその人なりの風邪を引くと、
その偏って疲れている処がまず弾力性を恢復してきて、
風邪を経過した後は弾力のあるピッチリした体になる。
***
風邪を引くと、鈍い体が一応弾力を恢復するのです。
だから血圧が高い人は血圧が低くなってくる。
血圧が低くなるというよりは血管が柔らかくなってくる。
血管にも弾力性というものがあって、
体の中の血管の弾力がなくなって
血管がこわばってくると破れやすい。
つまり弾力があるうちは血圧がいくら高くとも破れないが、
血管の弾力がなくなると破れてしまう。
だから血圧というより、むしろ血管の硬化といいますか、
血管の弾力状態の方が問題である。
まあ、これは血管だけでなく、
人間の体中、或は心も含めて人間全体の弾力性というものを
失わないように生活すれば、
突然倒れるとかいうようなことはないわけですが、
もしこわばったとしても風邪を引くと治ってしまう。
だから、体を使っているうちに、或る一部分が偏り
疲労の潜在状態になって、そういう部分の弾力性が
欠けてくると風邪を引き、風邪を引いた後、恢復してくる。
それで私は、風邪は病気というよりも、
風邪自体が治療行為ではなかろうかと考えている。
***
いかがでしょう?
急に冷え込み、
風邪をひきやすいこの季節。
でも、たとえひいても、
それは、あなたの器(うつわ)が
ひとつ広がりますよ、
というサインかもしれないと思えば、
なんだか少し気持ちが楽になります。
のどのいがらみ、
くしゃみ、
頭がボーっとする。
そんなとき、
「風邪の効用、病気は才能」
と唱えてみましょうー。
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