離乳食早期から加熱卵摂取は卵アレルギーを予防しますか? | おのぼり小児科・アレルギー科クリニック 毎月のニュース

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神奈川県伊勢原市にある、小児科とアレルギー科のブログです。毎月クリニックの最新ニュースを掲載していきます。このニュースにご意見ご希望があればスタッフまでお願いします。

Q:離乳食早期から加熱卵摂取は卵アレルギーを予防しますか?

 

A;積極的なアトピー性皮膚炎治療と併用し、離乳食早期から加熱した卵を少しずつ段階的に摂取することで、ハイリスク乳児の鶏卵アレルギーを完全に予防できることが明らかになった。国立成育医療センターの医師らによる研究によると、アトピー性皮膚炎の乳児を対象にした研究で、食物アレルギーの予防戦略として、摂取を遅らせるより早期摂取のほうが有効であるというエビデンスが増えてきている。

 

そのことから、今回国内の2施設で、アトピー性皮膚炎を有する生後4~5ヶ月の乳児を対象に研究報告された。満期産で鶏卵アレルギーの既往歴がないなどの条件の下、生後6ヶ月から、加熱全卵粉末を含むカボチャ粉末を摂取する「卵群」とカボチャ粉末のみの「プラセボ群」に分けた。卵群は、加熱全卵粉末を1日に50mg(ゆで卵0.2gに相当)から開始し、生後9ヶ月以降は250mg(ゆで卵1.1gに相当)を摂取した。その間全例アトピー性皮膚炎の治療は積極的に行い、皮膚の状態はコントロールされていた。

 

結果は生後12ヶ月時点における経口負荷試験(加熱全卵粉末7g:ゆで卵32gに相当)で確認した卵アレルギーの発症率で評価した。対象は乳児147例で始められた。ところが100例までの中間解析で、有意差が確認された。卵アレルギーの発症率は、卵群で9%(4/47例)に対して、プラセボ群38%(18/47例)で明らかにプラセボ群が多く発症した。最終解析でも、卵アレルギーの発症率は、プラセボ群38%(23/61例)に対して卵群8%(5/60例)であった。このことから、アトピー性皮膚炎があるアレルギーハイリスク乳児でも、鶏卵アレルギーの発症を心配するあまり、摂取を遅らせていた従来の考えが誤りで、むしろ生後6ヶ月より少量ずつ摂取した方が、鶏卵アレルギーの発症を予防できることが明らかになったようです。

 

当院でもアトピー性皮膚炎と診断されると離乳食開始を遅らせたり、卵の摂取を遅らせたり、幼児期から学童になってもエビ・かに・そばなど有名なアレルギーを起こしやすい食物を除去している母親を見かけます。いきなりアナフィラキシーショックになることは少ないので、無用な除去を控え、症状が出るようなことがあってから除去し対策を立てることができますので、無用な除去はやめましょう。

 

 

 

Q:抱っこひもでの事故対策を教えて下さい?

 

A;「抱っこひも安全協議会」は昨年ヒヤリハット体験を募集し、756件の回答がありました。子供が落下しそうになったのは72%、足や手などの強い圧迫18%、窒息7%などで、落下しそうになった例が突出していました。落下の危険のうち80%は、子供を乗せたり、降ろしたり、抱き方を変えたりするときだった。抱っこをして前屈みになったときも多い。

 

前屈みは落としたものを拾うなど、日常的にとりやすい姿勢です。子供の成長に伴う体の動きの変化にも注意が必要です。生後4~6ヶ月の乳児は、突然のけぞることがあり、7~12ヶ月になると、抱っこひもから腕を抜く、体を左右に揺らす。1~2歳では抱っこひもから自分で抜け出した例がありました。対策は「前屈みにならず腰を落とす」「手で子供を支えながら使う」。抱っこひもは親の負担を減らしかつ子供を守る道具であることを忘れずに。


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