2月に入っても寒い週と暖かい週が交互に繰り返されていましたが、2月17日に瞬間風速30メートル近くの南風が吹き、春一番となりました。気温も20℃まで上昇し、冬とは思えない暖かさでしたが、翌日は一転して、西高東低の冬型の気圧配置になり、冷たい北風が吹き、寒気が一気に南下したため、朝の気温は0℃くらいまで下がりました。
20日も低気圧が北日本を通過し、南風が吹き、翌日は北風に変わり冬に逆戻り、23日も雨が降りましたが、南風のため気温が上昇し、翌日は冬に戻ることが繰り返され、寒暖の差の激しい2月でした。
一方雨が少なく、特に関東地方は寒気による雨雲も関東周辺の山を乗り越えられないため、西日本から東海にかけて寒気による雪が降っても、関東地方は快晴の日が続きました。そのため空気が乾燥した状態が続き、湿度は10%台から20%台が連日続き、毎日のように火事のニュースが報道されています。家の中では暖房も使うので、さらに湿度が低いことが想像されます。
乳児の肌荒れが、特にほっぺたの肌荒れがひどくなっています。乳児の皮膚は皮脂の分泌が少なく、角質も薄く、水分が蒸発しやすい構造になっているので、外気の乾燥がひどいと角質から水分が蒸発し、皮膚がさらに乾燥します。乾燥した皮膚から食物やダニなどのアレルゲンが侵入し、食物アレルギーやダニアレルギーになります。
毎回書きますが、スキンケアは、アレルギーの様々な病気の発症を防ぐ最も大切なことの1つです。また、伊勢原周辺では、この時期大量にスギ花粉が飛びます。車やベランダが花粉で汚れます。当然外を歩いていれば、鼻の粘膜だけでなく、皮膚にも大量に付着すれば皮膚炎を起こします。鼻水や目のかゆみなど花粉症状がなくても、皮膚炎を起こします。従って赤ちゃんも皮膚炎を起こします。外出から帰ってきたら、顔を拭いて(強くこすらないようにして)、保湿剤を塗っておきましょう。
乾燥は、梅雨入りまで続きます。気温が上昇しても湿度は低いままです。通常暖かくなると湿度も気温とともに上昇すると勘違いします。例年ゴールデンウィーク頃の湿度が10%くらいまで低下することもありますので注意しましょう。
乾燥は皮膚炎を起こしやすくするだけでなく、花粉症の人にとっても症状の悪化要因になります。スギ・ヒノキ花粉が飛散する季節は、前述のように乾燥の季節です。鼻の粘膜も空気が乾燥していれば乾燥します。乾燥した鼻の粘膜は花粉アレルゲンに対して過敏に反応しやすくなっていますので鼻水がたくさん出ます。
しかも、乾燥した鼻の粘膜を潤わせるために、鼻水がさらに出やすくなっていますので、症状が悪化します。夜間睡眠時は、部屋を少し潤わした方がよいでしょう。
湿度を上げすぎると、結露が多くなり、カビが多くなります。カビもアレルゲンになったり、時に肺炎の原因にもなりますので、加湿もほどほどにした方がよいでしょう。私は花粉の季節小さな加湿器を枕元に置いて、少し潤わせるようにしています。症状がひどい人はお試し下さい。
今年の花粉飛散量の予測では、神奈川県では昨年よりやや少ないと予想されていましたが、今年の2月は、前述のように強い南風と北風が吹いているため、1日の花粉の飛散量が大量になっています。特に目の症状を訴える人が多くなっています。例年3月のお彼岸前まで飛散しますので、頑張りましょう。
3ヶ月予報によると3月、5月は晴れの日が多いようです。さらに今年の夏は暑い夏になると予想されています。これからだんだんと暖かくなり、活動的な季節になります。何をするにも健康が一番です。今月は卒園・卒業の月です。来月は新学年が始まり、入学式の季節です。体調管理に注意して、よい思い出を作りましょう。
《1月後半から始まったインフルエンザの流行が2月の中旬まで続き、その後急速に減ってきました。今シーズンは、A香港型がほとんどでした。最近はB型が少し出始めましたので、もう少し注意しましょう。》
昨年暮れより成人でインフルエンザの流行始まり、伊勢原でも小中学生の流行が1月20日頃から始まりました。今シーズンの流行のインフルエンザの型は、A香港型で、これは全国の流行と同じです。学級閉鎖も少し見られましたが、最近は登校基準がしっかり決められているため、流行阻止に有効に働いています。
ただ今シーズンのインフルエンザは、微熱だったり、夜間熱があり来院時平熱でも流行しているクラスのお子さんは、やはり検査をすると陽性になっています。この程度では登校してしまうため、感染が拡大してしまったところもあります。
2月中旬になると急速に終息に向かいました。通常A型の後にB型が流行し始めるのですが、今年は当院ではほとんどB型の流行は見られていません。ただ情報によると、厚木や秦野ではすこしB型が流行し始めているようです。どの程度の流行拡大になるのか今のところわかりませんが、まだもう少しうがい・手洗いを忘れず励行していきましょう。
溶連菌感染症も相変わらず流行しています。インフルエンザと同時に罹ってしまっているお子さんもいます。花粉症などで鼻閉により鼻呼吸がうまくできないと口呼吸になり、溶連菌がのどにつきやすくなりますので、特にこの季節、花粉症の人はうがい・手洗いをよく行うようにしましょう。
感染性胃腸炎もインフルエンザ流行前ほどではありませんが相変わらず受診しています。インフルエンザの流行が減ってくると再び多くなってきますので、こちらにも気をつけましょう。
スギ花粉はこの2,3週が飛散のピークです。お彼岸になると終息すると思いますが、お彼岸過ぎると今度はヒノキ花粉が飛散し始めます。花粉症の人にとっては辛い季節ですが、終わりが必ず来ますので、頑張りましょう。
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<執筆者>
おのぼり小児科アレルギー科クリニック院長尾登 誠
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