私たち人間は、1日に6万回思考するといいます。その6万回のうち、90%以上は受動的思考です。受動的思考とは、自分の意志とは関係なく、無意識的に浮かび上がる思考のことです。
そして、私たちの苦しみは大部分受動的思考にあるといえます。
自分の意志とは関係なく浮かび上がる思考、それが自分にとって良いものであれば問題ないのでしょうが、悪いものであれば自らを苦しめる原因となるからです。
たとえば、過去にとても嫌なことがあったとします。いわゆるトラウマで、その記憶が幾度となく意識に浮かび上がれば、その都度苦しむことになります。
理性的に考えれば、トラウマといっても過去のことなので忘れてしまえば良いような気もしますが、その記憶から脱却するのはそれほど簡単なことではありません。
ところで、このような記憶の喚起は、意識構造から見ると、重力が関係しているような気がします。
重力は、質量が大きいほど強く働きますが、記憶もまた、そのインパクトが大きいほど質量も大きくなって引き付ける力も強くなると考えられるからです。
つまり、過去の記憶が自分の意志とは関係なく浮かび上がるのは、私がその記憶を引き付けたのではなく、その記憶に私が引き付けられたと考えられるのです。肉体は今にいながら、意識は過去に行ってしまったともいえますね。
話を戻しますと、それでは実際にトラウマの苦しみから解放されるには、どうしたらよいのでしょうか?
そのためには、先ず、意識構造を知る必要があります。
このような過去の記憶が浮かび上がる空間を、ヌーソロジーの言葉で人間の内面といいます。そして私たちの意識は大部分、人間の内面に埋もれています。人間の内面に埋もれ、身動きが取れない状態です。
一方、人間の内面があるのであれば、当然、人間の外面も存在します。つまり、簡単にいうと、内面に埋もれた意識が外面に出てくることができれば、それが即ち苦しみからの解放です。
で、人間の内面と外面の関係は、内面が観察される側(被観察系)とすれば、外面は観察する側(観察系)です。ですから、被観察系から観察系へとシフトできれば、過去のトラウマに苦しむ自分を客観的に観る眼が生まれ、苦しみから解放されるのです。
もう少し具体的に説明すると、下のイメージ図のように過去のトラウマに苦しむ自分がいるとします。

そして、この過去のトラウマに苦しむ自分を客観視できる位置を見つければ良いのですが、その一つの方法が「鏡」です。過去のトラウマに苦しんでいる自分を鏡を通じて見れば、それがまさに客観視していることになるからです。
勿論、この時に過去のトラウマに苦しんでいる自分と、客観視している自分との間に明確な差異が生まれなければ、本当の意味での客観視とはいえませんが、ただただ過去のトラウマにおぼれ苦しむのではなく、そんな自分を鏡に映して観ることで、少しずつでも客観視できるようになるかと思います。
その時のコツとしては、他者の眼を通じて自分を観るというものです。他者の気持ちに立つのではなく、純粋に他者の眼に立つのです。
ためになったと思われる方は、
ポチッとしていただけると励みになります^^
◆メインメニュー
◆サイパワーとは
◆素空慈先生の最新動画講義(日本語字幕付き)
◆素空慈先生の教えをより詳しく学びたい方は

