奈良のかき氷探訪 | つながっていこう~オンライン版絵本で支援プロジェクト【公式ブログ】

京都のくぼちゃんです。蒸し暑い夏の日々が本格的に始まりました。夏にぴったりな涼しいおやつといえば、「かき氷」です。冷たい氷が口の中で溶け、甘いシロップが広がる瞬間は、何とも言えない爽快感があります。今日はかき氷のお話です。

 

奈良のかき氷は、クオリティが高いのです。毎年、『奈良かき氷ガイド』(発行元:奈良かき氷ガイド製作委員会)が発行されます。奈良でかき氷を提供するお店を紹介する無料のガイドブックです。今年10年目を迎えました。

 

古来、真冬につくった氷を夏まで貯蔵しておく場所のことを 「氷室(ひむろ)」 と呼びました。 冷暗な山陰に穴を掘り、茅などでその上をしっかり覆って温度をできるだけ低く保つことで、季節を越えて氷を長期間保存できるように工夫されていました。そうして大切に貯蔵した氷は、暖かい季節がやってきてもなお残り、天皇をはじめとする皇族や高位の人々が涼を取って楽しんだと言われています。(ガイドブックより)

 

奈良は「氷の食文化はじまりの地」として知られています。古代の人々の知恵が詰まった氷室跡や、氷にまつわる祭祀を司った氷室神社が今も残っており、氷は歴史や文化の中で深い意味を持ち、神聖なものとして人々に信仰されてきました。

 

奈良公園にある氷室神社「氷の神社」として知られ、奈良県のかき氷ブームの火付け役となっています。かき氷の聖地ともいわれ、多くの人々が訪れます。境内の枝垂れ桜は有名で、樹齢100年を越える「奈良一番桜」と呼ばれ、奈良で最も早く開花する桜として親しまれています。

 

絵馬にもかき氷の絵が描かれています。

 

氷室神社では、「純氷」のかき氷をお供えして祈願を込めて参拝することができます。かき氷の聖地とも言われる氷室神社ならではの特別な参拝方法です。今回、かき氷献氷を申し込みました。かき氷は、かつて神様へのお供え物としても使われており、最高の氷(純氷)を捧げることで神様への敬意を表していました。

最高の氷を作るためには、48時間から100時間ほどかけてじっくりと凍らせます。これは「純氷」と呼ばれる方法で、ゆっくりと凍らせることで氷の中の不純物が取り除かれ、透明で品質の高い氷ができあがります。昔は川の水を使い、長い時間をかけて自然に凍らせていました。この方法により、透明で美しい氷が作られていたのです。

と、宮司さんがご説明くださいました。

 

「純氷」で作るかき氷は、まるで雪のようにふわふわでした。

 

かき氷には、「戦争や争いが溶けてなくなるように」という意味が込められています。冷たく美味しいかき氷を楽しむことで、暑さだけでなく、人々の心の中の争いも溶けていくことを願っています、と宮司さんがおっしゃっていました。

参拝者はかき氷を持って神前に進み、賽銭箱に奉納した上で「難問氷解」を祈願します。(目安として300円以上が推奨されています)

世界平和の願いを込めて、かき氷を献氷しました。

 

お供えのおさがりとして、かき氷をいただきました。シロップはイチゴ、ブルーハワイ、レモンなどが用意されていました。私の前の方が全色かけていたので驚きましたが、その方の奥さんが「紫陽花みたいね」とコメントしたのが微笑ましかったです。

 

氷みくじを引きました。氷の上におみくじを載せると、文字が浮かび上がります。大吉の文字が浮かび上がり、とても嬉しくなりました。この夏、素敵なことがたくさん訪れそうな予感です。涼しいかき氷とともに、心まで冷やしてくれるような幸運に感謝です。

 

奈良を代表するかき氷専門店「ほうせき箱」で、憧れのかき氷を食べました。「奈良かき氷ガイド」にも載っており、全国にスイーツかき氷を定着させた名店です。(完全WEB予約制)

 

「大人の抹茶DX」(左)

私は大和茶抹茶シロップがかかったかき氷をいただきました。見た目からして緑鮮やかな抹茶シロップが目を引きます。一口食べると、ふわふわの氷とともに抹茶の深い風味が口いっぱいに広がります。中には、濃厚なミルクシロップとマスカルポーネクリームが隠れていて、かき氷を食べ進めるとクリーミーな甘さがプラスされます。さらに、上にはたっぷりのミルクエスプーマが載り、その上に西吉野産純粋蜂蜜ときな粉が振りかけられています。蜂蜜の自然な甘さときな粉の香ばしさが加わり、ラム酒とコーヒー豆のクラッシュもアクセントとなり、大人の味わいを引き立てています。

「和紅茶カスタード」(右)

娘は和紅茶シロップと大和橘シロップがかかっているかき氷を注文しました。大和橘は「古事記」「日本書紀」に登場する日本最古の柑橘として知られ、純絶滅危惧種に指定されています。奈良の食材にこだわりを持ち、その歴史を感じさせる贅沢なデザートでした。

すべての食材が明記されているので、味わっていただきました。そして、店内のかき氷グッズにキュンキュンしました。手ぬぐい、マスキングテープ、アクセサリーなど、迷いましたが、最終的には封筒を購入しましたラブラブ

 

今日、紹介する絵本は…本

『かき氷 天然氷をつくる』

写真: 細島 雅代

文: 伊地知 英信

出版社: 岩崎書店

発行日:2015年5月31日

埼玉県長瀞町では明治時代から、山間に位置する専用の池で天然氷が製造されてきました。現在、この伝統を守るのは唯一の氷屋、阿佐美冷蔵さんです。天然氷製造に迫ったフォトドキュメントは、職人たちの苦労や天然氷の製造プロセスを深く垣間見ることができます。

 

この夏、『奈良かき氷ガイド』に載っているお店を制覇したいと思ったきょう一日でした。新たな夏の楽しみを見つけた気分です。